『探偵は女手ひとつ』

【ネタバラシはありません。】

『探偵は女手ひとつ』

著者:深町秋生

出版社:光文社

発行年:2016年12月20日

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 帯〈過疎にあえぐ地方都市ならではの事件、クールでタフな女探偵。これが現代日本だ!〉。現代日本と書いて「いま」と読むやつです。

 本書の探偵は、山形市で探偵事務所を開いているのですが、仕事のほとんどが便利屋のような依頼が多いです。パチンコの並び代行や農家の手伝い、雪かきなどの様々な仕事をこなしています。リアルです。

 短編集で、6編が収録されています。タイトルが統一されています。そういう趣向は結構好きです。「紅い宝石」「昏い追跡」「白い崩壊」「碧い育成」「黒い夜会」「苦い制裁」。

 また、登場人物の会話が、関西弁ではない方言で書かれているので、とても新鮮でした。久しぶりにそういう本を読んだような気がします。最初、せりふが方言だから読みにくいかなと一瞬不安になりましたが、そうでもなかったです。良いアクセントになっています。

 個人的に好きな短編は、雪かきを依頼してくるお得意さんから探偵の依頼をされる「碧い育成」です。依頼人が示した謎が絶妙で、その真相に意外性もあって楽しめました。それに、雪かきは私が思っている以上にきつい作業なんだろうなあ、と考えてしまいました。雪国に生まれなくて良かったです。

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