『若者はなぜ「決めつける」のか』

『若者はなぜ「決めつける」のか ――壊れていく社会を生き抜く思考』

著者:長山靖生

出版社:筑摩書房 (ちくま新書)

発行年:2015年2月10日

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 20代の頃に買ったいわゆる「若者論」に関する新書を、30歳になって読んでみます。【その3】です。著者紹介を見てみますと、『若者はなぜ「決められない」か』という新書も出しているようです。2003年刊行なので、それから12年経ってから本書が発売されました。10年という歳月が、「決められない」から「決めつける」という変遷をたどることになるとは……。さて、帯の後ろには、本書に出てくるワードがたくさん書いてあります。意識高い系、就活、ブラック企業、フリーター、パラサイト・シングル、ニート、自己責任論、新世紀エヴァンゲリオン、ネトウヨ、ゆとり社員、空気を読む、キャラ、婚活、草食系男子、無縁化……等。いま挙げた言葉ですが、(個人的には)全部なじみのあるものばかり。それもこれも90年代以降に登場したものと思うと、そりゃ自分のからだに否が応でも染み込んでくるよなあと思いました。そうそう、セカイ系という言葉もありました。何だか懐かしくもあります。あと、「勝ち組」「負け組」という言い方は、90年代後半になってから流行り出したみたいです。感覚的に確かにそうだったかもしれません。また、終盤の結びを読んで、5年経った今もその状況であること、この先もずっとそうなのかと思ってしまうと、なかなかに気が滅入ります。

われわれが生きている社会の困難は、決められないままでは乗り越えられず、決めつけての猪突猛進でも行き詰まるおそれが大きい。確固たるもののない時代を生きるには、決めつつ疑い、改めた後も迷い、そしておずおずとでも進むということを繰り返していくほかない。(p.232)

 人生をサバイブする方法の一つとして、言葉遊びになってしまいますが、「明るい悲観主義」を掲げて、少しでも前向きに暗中模索していく精神を持たないといけないのかなと考えました。

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