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『Yの悲劇』

【 ネタバラシはありません 】

『Yの悲劇』

著者:エラリー・クイーン
訳者:越前敏弥
出版社:角川書店(角川文庫)
発行年:2010年9月25日

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(内容紹介)
 全米一裕福だと噂され、同時に悪評轟く異形の一族の一員、ヨーク・ハッタ―の腐乱死体が発見された。死因は毒物によるものと判明する。その後ハッタ―家では奇怪な毒殺未遂事件が発生し、ついにエミリー夫人がマンドリンで殴殺される。元シェイクスピア俳優ドルリー・レーンの推理が明かす思いもよらない犯人とは? 長く読み継がれるミステリ史上最高の傑作を、名翻訳家の読みやすい新訳でおくる決定版!
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 本書は作品としては再読です。越前敏弥さんの訳としては初めて読みました。こうして古典がまた新しく生まれ変わるのも良いものだなあとしみじみ思います。前作『Xの悲劇』は主に屋外で色々と起こりましたが、今回はとある一族の屋敷内で事件が起こります。これぞ本格ミステリといったところです。マンドリンが出てきたところで、「そうそうコレコレ!」と少し興奮しました。これ以上書くとネタバラシになるので控えます。ただ、現代のミステリばかり読む目の肥えた読者なら、もしかしたら……という思いもよぎったりします。初めて読んだときの衝撃は、思い出補正を差し引いたとしても、ものすごかった記憶があります。(私は『X』より『Y』の方が細部まで覚えていました。つまり、それだけ濃密な読書体験だったからだと思います。)――まあ、私が一抹の不安を覚えるのは筋違いなので控えるとして、本書を含む古典名作は永遠に読み継がれていくに違いないと思った今日この頃でした。

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