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『ペスト』

『ペスト』

著者:カミュ
訳者:宮崎嶺夫
出版社:新潮社(新潮文庫)
発行年:1969年10月30日


(内容紹介)
 アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。


 令和2年4月30日の91刷版の文庫を持っています。3年前、テレビで紹介されていて本書を買ったような記憶があります。ただ、何だかリアル過ぎて、買ってからすぐ読むことができませんでした。で、今年になってから少しずつ読み進めました。確かに、今回と似たような感じの状況が淡々と書かれています。色々と思い出したり考えたり……こういう感情が乗っかったうえで本書を読むのは、「古典」そのものの向き合い方としてどうなのだろうと思うこともありましたが、こういうことがない限り本書を読むことも(おそらく)なかったかもしれないという結論に至り、最後まで何とか読みきりました。また、主要登場人物のなかで、封鎖された町から何とか出ようとする人がいて、当時転勤で地方にいた身としては、すごい共感できる行動で心打たれました。ただ、その人みたいな行動はできないな、最終的にああいう結論に至るのも無理かもな、とも思いました。

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