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2人声劇『いつまでも抱きしめて』

いつまでも抱きしめて

二堂道流
来亜メグ
ニュースキャスター 男性か女性どちらか兼役


道流「二堂道流です!よろしくお願い致します!」

メグ(N)元気な挨拶で新人が来たのは年明けだった。

道流「メグさん、この資料なんですけど…
メグさん、昼ご飯食べながら教えてください…」

メグ(N)彼はやる気に溢れていて、教育を担当した私になんでも聞いてきた。
飲み込みも、覚えも早く、入社して2ヶ月が経つ頃には立派な戦力として育っていた。

道流「メグさんと仕事してると楽しいです!」

メグ(N)明るく笑う彼の姿に心を奪われた女性は社内でも多かったようだ。
23歳・独身・一人暮らし…仕事も出来て明るくムードメーカー的な存在。

道流「メグさんって彼氏とかいるんですか?」

メグ(N)新緑が鮮やかな頃に突如聞かれた仕事とは関係ない質問。
「いない」と答えると、好きな人は?と聞かれた。
その時には既に彼を好きになっていたが、私は「あなたには関係ないでしょ」と答えるのが精一杯だった。

道流「メグさん、俺…メグさんの事好きです!お願いします、付き合って下さい!」

メグ(N)梅雨の終わりの頃に言われた告白。
舞い上がる気持ちでいっぱいだった。
それから彼との付き合いは始まった。

道流「お誕生日おめでとう、メグ…
ハッピーハロウィーン、メグ!いたずらしちゃうぞー!
メリークリスマス、メグ…愛してる」

メグ(N)彼との時間は幸せそのものだった…でも、社内での彼の人気は相変わらずだった…他の女共は彼に色目を使い、私との仲を引き裂こうとする。

道流「俺はメグしかいないよ。安心してね。」

メグ(N)私がどんなに泣いても女共は彼に色目を使い続けた…彼を見ていいのは、私だけ。
ワタシダケガ、カレヲミテイイ…
ワタシハ、カレダケノモノ…

道流「愛してるよ、メグ…ずっと傍にいてあげる…離れないよ」

メグ「私も離さない…ずっと貴方を抱きしめていて上げる……あぁ、道流…愛してるわ」

道流(N)2人の世界がずっと続いていた…彼女を愛し、抱きしめられる…どんな姿になっても…

メグ(N)ずっとずっと抱きしめてあげる…どんなに変わっても…私だけが貴方を見ていいの。私だけの道流…

ニュース「本日未明、K件S市にあるアパートの近隣住民から、異臭がすると通報を受けた警官が腐乱死体を発見しました。
この事件でアパートの住人、来亜メグが逮捕されました」

道流「ずっと傍に憑いてるよ…ねぇ、メグ」

メグ「ずっと貴方を成仏(はなさ)ない…貴方は私だけのもの…ふふふ」

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