こないだのつまみ #11 古本と肴 マーブル
東京の東陽町(とうようちょう)というところに、好きな店がある。その名は『古本と肴 マーブル』。SNSでその存在を知った。アカウントプロフィールには「小さな古本屋。立ち飲みカウンター有」とあり、のっけから惹きつけられてすぐに行き、即ファンとなったのだった。
営業日は月、木、金、土(不定休あり)、当日SNSに上がるつまみの品書きが実にいい。端的に言って私ごのみ、酒飲みの心くすぐるようなメニューばかりなんである。ご店主ひとりでやられていて、つまみの数は決して多くないが“そそられる”ものばかり。訪れるひとは殆どが「盛り合わせ」を頼んでいる。
古本に囲まれつつ飲む。背表紙を眺めながら気になる本を探しつつ、あるいはただ古書独特の空気に包まれつつ、ぼんやりと飲む。ある種の人間にとってはたまらない場所なんだ。『マーブル』ならではの風情や空気感がいいつまみになってることは言うまでもなく。
まさにご店主のセンス光る、という感じの品々。うーん……思い出してまた、たまらん。盛り合わさったお皿を眺めてうれしかった気持ちがよみがえってくる。この日は欲しかった『小津安二郎の俳句』(松岡ひでたか著、河出書房新社)、そして『日本語相談』が書棚にあったので購入、ぱらぱら読みつつ飲んだ。
しあわせだった。
※5~6人でいっぱいのお店です。訪ねる際は「あくまで古本屋さん」ということをお忘れなきよう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?