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今年の夏は暑かった

今年の夏はいつにもまして暑く感じた。事実そうであったのかもしれない。数字を持ち出して比べることはできるだろうが、さほど意味はないように感じる。年々、身体は変化している気はする。そして、身体的な行動で持って行う私のひとつの趣味、写真を撮るということもそれらの影響を受けざるを得なかった。

Nikon Df, Nikkor-S.C. Auto 55mm F1.2

暑さがどうにも集中力を妨げる。集中力という言葉が適当なのかはわからない。ただ、リラックスして周囲から視界に入ってくるものを私の感覚で持って撮り起こすには暑すぎた。暑さの不快感や激しい疲労によって中断する日がしばしばあった。フィルムも高温は大敵で、そうなると消費期限が迫っているというのに中々詰める気にもなれないのだった。

Nikon Df, Nikkor-P Auto 105mm F2.5

夏が終わったわけではない。しかし今もう真夏のど真ん中でもない。日陰にいても蒸されるような暑さはもう和らぎつつあり、夜は特に秋を感じるようになっている。それでも、入道雲は昼間の青空を這い上がるように、まだ夏は始まったばかりとでも言いたげであった。

Nikon Df, Nikkor-S.C. Auto 55mm F1.2

個展が終わってからの生活。職場に負担をかけたのではという少し後ろめたい気持ちと、現場の忙しさとで今に至っても仕事関係のことに頭をとられていることが多い。仕事は楽しんでいる。来年どうなっているかわからないという不安はあるが、今の環境は自分の能力や適性が今までで一番合致している。ここ数年は周囲に恵まれていると実感している。一方で、体調が戻ってからさて撮りに行きたいと思っても、先述の理由であまり思い切り撮りに出られていないもどかしさもある。今も。フィルムは生もので消費期限が刻々と迫るし、新しくフィルムを買って現像に出して地元のお店に貢献したいという思いもあるのだった。そして少しずつではあるが撮っている。


Yashicaflex C, FUJIFILM PRO400H

帰省した折の夏祭り。地元の旧友にも顔を合わせる。そしてその親も、私の両親も、刻々と老いていく。旧友が40を超えているということは私もそうだということだ。私は大学を出るときようやく0歳児のようなものだったから、今20歳くらいの瑞々しさを心のどこかに持って生活している気がするが、他人からみれば40過ぎの小ぎたないひとりの人間である。

何がいまの私の瑞々しいかけらとなってくれているのか。写真だけではない。それらは道具であり、また結果や思い出だ。詩も。私の中からこんこんと湧いて、音を出している音楽だ。字を書くこと、楽しむこと、見て美しいと思うこと。季節の匂いをおもうこと。空間をはしる線たちを見ること。美味しい食事。静かにあること。耳朶をうつ音色。音楽は私を運動する。いずれも何か根っこの方でつながっている気はする。


Olympus XA2, FUJIFILM 記録用100

最近はまた改めてインクや万年筆に傾倒している。一本一本はさほど高くないものの、手に取りやすい金額の万年筆たちで気兼ねなく使えて、例えば誰かに気安く勧められるのはどれだろうと検討しているうちに、どれもこれも使って見なくてはという思いに至ったのだ。そうこうしているうちに数本だったものが十数本ほどに増えてしまった。インクも何本か増えた。最初に買ったiro-shizukuの深海もまだ半分ほど残っているのに。誰か近場に同じ程度にインクや万年筆が好きな人がいたら、と思う。インクの空き瓶を持ち寄って、交換などしてみたい。

しかし書く目的がないと、それもつまらない。私は昨年度仕事でばたばたしているうちに中断してしまった日記を再開した。その日その日でペンやインクを変えながら書いていると、今のところ調子よく続いている。三日では終わらなかった。よかった。私は継続するということが苦手な人間である。だから、じっくり力をつけるとか、受験勉強や資格勉強などが得意ではない。


Olympus XA2, FUJIFILM 記録用100

しばらく色々な万年筆を使ってみて(このあたりはまたnoteにしてもいいかもしれない、自分の記録として)、一番最初に思い切って買ったPILOTのCUSTOM74はやはりいいものだったなと思った。それぞれの書き味が違うが、しなやかさやモノとしての丈夫そうな雰囲気などを改めて感じた。字はMDノートの日記やmarumanのクロッキー帳に書いている。クロッキー帳は薄い紙なのに、不思議とあまり裏抜けしない。


Nikomat FTn, Ai-s Nikkor 50mm F1.4, Kodak GOLD200

最近は友人のいちがみさんのラジオに定期的に呼んでいただいている。話す内容はある程度のテーマはあるが、台本もない適当な雑談になってしまっているのが申し訳ない。けれど今まであまりやってこなかったタイプのアウトプットの仕方で、楽しめるようになってきた気がする。私は自分の声や喋り方があまり好きではないから、収録後に聴くと「うーん」という心持ちになる。

こんな感じで、1:1の場合もあれば、他の出演者の方と3人での収録もある。週一で定期配信するよう心掛けているそうだから大変だ。毎月お題で写真を募集して、この写真のここがいいとかこれがいいとかそういった話をする回もある。次はエピソード50。

アウトプットでいえば、個展で少し間が空いてしまったけれど、次のフォトブックの制作に取り掛かり始めた。しばらくメディアの形態などによって区切った作り方をしていたが、次はまた一旦頭を空っぽにして一冊目のような感覚で好きな写真を選んで編もうと思う。間が空いたせいで選定対象がとても多くなってしまった。少しずつ過ごしやすい季節になってきているので、こういう作業をし出すと今度は撮りに出たくなり…と今までと逆の行動が起きてしまう。ままならない。

字も思うように線を引くのが難しい。ただ丁寧に続けるしかない。