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かまいたちのM-1ラストイヤーが終わって半年が経ちましたがいかがお過ごしですか

こんばんは。お酒が飲み足りない日は芸人さんたちの飲み配信を見ながら寝るまで酒を飲むのが最高ですよ。

レッドシアターでしずるの人気が急上昇した時の田所さんの話、周りの芸人が全員出ているレッドカーペットにライスが呼ばれなかった時の話、ライスとしずるが一緒にKOC決勝に進出した時の話、うるブギがようやく最近同期のフルポンと話せるようになった話、フルポン村上さんのパブリックイメージとは違うお笑いの熱い話。かまいたち・天竺鼠・藤崎マーケットの名前もチラリ。面白いです。

以上、おすすめ飲み動画のご紹介でした。

いやそんなことはどうでもよくて、数ヶ月前にM-1の感想を書き殴ったけど、かまいたちの話が殴り足りなかったので、大した話ではないけれど好きなように書こうと思います。ただの脳内整理です。個人の感情的メモです。まじでそんなん分かってるよ!ってことしか書けないです、すみません。

М-1のない1年がやってきた2020

もうここまで肩に力がグッと入って、ここまで一喜一憂して心が振り回されるようなM-1は最後かもしれないと思うと、寂しいというよりも気が楽になりました。やっと終わったわ、みたいな。正直、最近は毎日のようにテレビで見かけるのでM-1優勝できなかったことなんてどうってことなくなってきました。なんならあんなに悔しかった当時の感情すら忘れかけてきています。寂しいもんです。

一方でGAGは今年漫才もコントも期待できる新ネタを持っているし、マヂカルラブリーもKOCはさておきM-1は出るだろうし、なんだかんだ年末になったら昨年くらい熱狂する気もしています。私はさらば青春の光のしゃべくり漫才大好き人間なので彼らにはとにかくまた出場してほしいし、"いいかげん売れてほしい芸人ランキング"で1位を獲得していたランジャタイにもいいかげん結果残して欲しい。熱狂の片鱗が見えてきた。楽しみ。

一口にお笑いファンと言ってもいろんな人がいて、特定の芸人さんを狭く深く応援する方もいれば、事務所問わず若手からベテランまで幅広くチェックする方もいます。私を分類するなら狭く深くタイプでしょう。

これまで自分のそのスタンスがダサく感じて恥ずかしいと思ったこともあったし、各事務所の若手のネタまで隈無く観ている方を見ると、私はお笑いファンと名乗れるほどではないのかな、と思うこともあった。むだな劣等感のようなものさえ感じた。だって賞レースの結果ひとつでいちいち祈ったり、えらく感情的になったりするのバカみたいじゃんって。単純に「面白いから」「楽しいから」見始めたお笑い。私はなぜ今苦しんでるんだろうかと。フラットに見れる人が羨ましくなることもたくさんあった。今じゃ胸張ってお笑いファンですと言えますけど。お笑いがすごく好きなのでね。

しかし、ある1組に気持ちを乗せて純粋に応援してきたからこそ味わえる感情だってある。私はこのM-1で、かまいたちのファンでよかったと思いました。

こればっかりは今年優勝しちゃうだろと思っていた2018

まずはM-1グランプリ2018決勝に時を戻したいと思います。3番手で籤を引かれたかまいたちが披露したのは、ポイントカードのネタ。私は放っておくとすぐにライブの内容忘れる人間なので確証はないですが、ポイントカードはトトロより後にできたネタで、おそらくトトロの発想を発展させて完成したもの。知らんけど。

Q.タイムマシンで過去に戻れるとしたら何をする?
A.山内「コンビニのポイントカードを作る」
 濱家「好きな子に告白をする」

ポイントカードはこのQ&Aが軸にあって、理由づけの部分で議論を重ねていくネタ。2019年のお客さんなら最初の「ポイントカードを作る」という回答でもう少しウケたんじゃないかしら。2018年はご存知の通り序盤がかなり客席重ためだったので、様子見の雰囲気でしたが。

ただし、山内はなにをバカなこと言い出してるんだと思わせてからの印象の変化を、すごく上手に作り出せていたなと思います。「告白失敗したら濱家には何も残らへんけど俺にはポイントカードが残る」「タイムマシンを確実じゃないことに使うのはもったいない」とある意味で筋の通った主張で捲し立てる。一般人の感覚とはズレた筋ではあるものの、妙に納得させられそうになる。面白い!

これに対して一般的感性を持つ濱家さんは、「過去に戻ったからと言って確実にポイントカード作れるとは限らんやろ」「お前だってポイントカード作った影響で出会わなくなる人おるかもわかれへんやないか」など、劣勢に追い込まれた末に破綻したことを言い出し、パニックになる。この、濱家さんが山内論に振り回されるシーンが1つの大きな見せ場であり最後の大展開。

ただ、漫才に怒鳴り合いの要素を入れると聞き取りにくい、うるさい、と感じる観客は少なからずいるので、リスクにもなるのかもしれません。「今年(2019年)は去年に比べて濱家の言ってることが聞き取りやすかった」という意見も見たので。まあこの程度のリスク気にしていたら何もできないですね。

かくいう私も耳がキーンとするようなトーンでの怒鳴り声は得意でないし(マヂラブ村上さんはあの高いトーンでどんなに怒ってても永遠に耳キーンしない天才)、反論のズレっぷりはわざとらしく見えるので(分かりやすい笑いどころですけどね)、この場面少し変更しないかなとはうっすら思っていたんですが。そんなもんはただの好みなので、トータルバランスとしてあのメリハリが良かったと思います。

問題は点数でした。前述の通り1,2番手のステージがかなり重たかったけれどかまいたちで完全に勢いづき、山内さんも裏でガッツポーズ。(見取り図のネタもスーマラのネタもめちゃくちゃ面白かったのにな)しかし点数が想像以上に伸び切らず最終順位は5位。

正直、なんで和牛とかまいたちにこんな点差が出るんだろうと考えても分からなかった。ただの素人に分かられても困るかもしれないですけど。和牛も間違いなく大好きな漫才師だけれど、あの時ばかりはあまりに悔しくて悔しかった。

点数発表時には何度も頷いていた山内さん。けれども大会後、彼がSNSに綴った本音は「納得してません」だった。あの点数には私もモヤモヤが止まらず感情の行き場を失くしていたから、山内さん本人の「納得いっていない」という言葉にはだいぶ救われたことを覚えています。数多くの芸人さんが後日このネタをラジオ等のメディアで褒めちぎってくれたという事実も、私のHPをかなり回復させてくれました。

夏の日の2019 ~Love見間違いOhそうじゃないよ、いきなりエントリーしていたよ、夏の日のかまちゃん~

ポイントカードは彼らの最高傑作に値するネタだと思うし、本当にたくさんの実力ある芸人さんに高い評価を受けたネタだし、本人たちもラストイヤーの不出馬表明をしていた時期に出ない理由を聞かれると「2018年にポイントカードといういいネタが完璧なタイミングでできたけど、それでも届かなかったから。」と答えていたほど。私も確かにポイントカードでだめなら優勝はもう厳しいのかもと思うことがあった。そのくらいあのネタに対する信頼が本人にもファンにもあったんです。

だからといって、M-1で優勝したいと言ってこれまで15年間漫才と真摯に向き合ってやってきたのに、それなのに、最後自らチャンスを手放すのか。そんなんでいいのかと。先の長い人生あと1回だけなんだぞと。エントリー締め切りまで感情があちこち行ったり来たりでした。

しかしその日は突然やってきた。忘れもしない2019年9月3日。私たちのリーダー山内健司がM-1出場をTwitterで報告しました。(なおその前日に出場匂わせアリ)

その翌日には濱家さんからのシンプルな報告。(ちょっとかっこつけんな)

この時の嬉しさは言葉では表せません。何が何でも出てほしかったけれど、声を上げるだけ彼らの負担になるんじゃないかとか。きっと出ないんだろうから、過度な期待はやめようと自分の気持ちに蓋をしたりとか。1ファンながらそれなりに疲弊した。なので、かまいたちが最後のM-1に出場表明をしてから、しばらくは曇天も快晴に見えたし、足取りが軽くて仕方なかった。ジムもサボらず通った。(なお現在は退会済み)

銀行のような安定感と遊園地のようなワクワク感のコラボ漫才、満を持して決勝の地へ

そうして迎えた2019年決勝。1stラウンドは2番手で登場のかまいたち。出順早すぎて膝から崩れ落ちてローテーブルにぶつかって青痣をつくったことも、今となってはいい思い出です。ネタはお馴染みのUFJ(USJ)。レジェンドネタ。

UFJは舞台の使い方が見事で、大きい笑いを生むポイントが多く、完成度もパンチ力も彼らの漫才の中で一番高いと思う。個人的にはポイントカードやトトロの着眼点が好きだけれど、山内さんが論破していき濱家さんが反撃に苦しむ構成よりも、山内さんの異常性が強調され続け、濱家さんが的確にバシバシとツッコむ構成の方が分かりやすく、笑いも起こりやすい。上沼さんに「かまいたちはこれまで正直あまり印象に残らなかった」といったようなコメントをされていたけど、そのあたりも多少関連しているのかなと思いました。

ネタの内容からは話が逸れますが、濱家さんは痩せて本当に見栄えが良くなった。現在はさらに痩せて少し心配したくなるほど細いけど、M-1決勝時点のビジュアルはスラっと細身で垢抜けていて、漫才にもプラスに働いたんじゃないかな。身長差が大きすぎるとノンスタイル然りかまいたち然りマイクの集音に影響が出る部分はあるけれど、去年は山内さんのフォルムも濱家さんのそれも、かまいたちの漫才によく合っていたと思う。

昔は本人の見た目と漫才の関係性なんて気にしていなかったけれど、風貌や立ち姿って漫才に知らず知らず影響を及ぼしていると度々感じています。藤崎の田崎さんに前髪があった時期、確かにネタの内容が入ってきにくかったかも笑 M-1決勝で盛山さんの手癖やズボンの裾が言及されたように、漫才師って視覚的要素の部分を気にしているなと感じることが多々ある。銀シャリのお2人が囲碁将棋の立ち方を絶賛していたこともあったね。

とにもかくにもこのUFJちゃんがウケにウケて2位通過。得点が出た時の感動はとてつもなかった。鳥肌もいいところ。和牛の審査コメントで塙さんに「かまいたちは見たことがあるネタで和牛は新ネタだったのでそこで点差をつけました」って言われたり、後日周りの友人に「かまいたちどんなネタやるのかと思ったら超みたことあるネタでなんか萎えた笑」って言われたりしても、納得の高得点という後ろ盾がありましたのでニコニコと冷静に対応ができました。どうもありがとうございました。

トロフィーへのパスポート、すてきな冒険はじまる

夢にまで見た最終ラウンド。ネタはトトロ。先に話したようにポイントカードとシステムは似ていて、一般的な意見を提示する濱家さんと、ぶっ飛んだな言いがかりをつけてくる山内さん。観客は「山内何言ってんのわろた」と、濱家さんと感情を共有しながら話を聞いていくと、次第に山内論に面白おかしく飲み込まれていくような構成。そんな簡単に飲み込まれねえよ、って方はすみません。かまいたちの真骨頂みたいな題材だと思ってます。準決勝2週間ほど前に突然やる予定のネタを切り替えて、単独以来日の目を浴びなかったトトロをかけだした時は正直おったまげましたが、最終的にあのレベルまで仕上げてくるのがかまいたちの凄さです。

Q.人に自慢できること
A.山内「となりのトトロを一回も観たことないこと。」
 濱家「手品が得意なこと。」

今回の軸は上記のQ&A。ポイントカードもこれも、超あるあるな1つの質問を題材にここまで面白く膨らませるの、実に凄くないですか、素晴らしい。

山内さんの独特な回答に対して「いやいや、自慢とはオンリー1的なことやねん」とツッコむ濱家。そうだそうだと観客。こんなんで黙るわけのない山内。「お前の方が自慢になっていない。手品うまい人なんて他にもいっぱいいるし、みんなが頑張れば今からでも追いつける」「俺のトトロ見たことないは、今からじゃどうにもならない」ここでドカン!「みんなが俺の自慢に追いつく方法がない」「お前の自慢は道具に頼ってる」「俺のトトロ見たことないはトトロすらいらんのよ」怒涛の攻めを見せる山内は、こうなったらもう誰にも止められない。しかも言っていることが特に間違ってはないのがこのネタの肝。

2018年のポイントカードの展開と近いネタではあったけれど、ボケのバリエーションや流れの中での緩急、本題から逸れたところでの笑いなど2019年の方が全て上回っていたように見えました。テンションもかかってる感じが全くなく、ちょうどよくてすごく見やすかった。本人たちも後日緊張しなかったと明かしていたので、そこが関係しているんじゃないかな。ネタ選択を急遽トトロにして以来、あまり客席にハマっていない場面に何度か立ち会ったので、勝手に心配していた自分が情けないです。信じることの大切さ。最後の最後は信じました。トトロを信じて天命を待ちました。負けたけどw

この日私が特に印象的だったのは漫才の締め。漫才を締める言葉は十人十色。言葉の違いはもちろん、言い方一つとってもキレツッコミタイプ、ボソっとタイプ、川西タイプといろいろあるけれど、この漫才の最後に濱家さんから出たもうええわは、これまで私が聞いていきた数々の「もうええわ」「いい加減にしろ」「やめさせてもらうわ」の中で、1番だった。

山内さんとの会話のキャッチボールを心から楽しんで、コミュニケーションを取り続けた最後の言葉。彼らが頂点を目指し続けたM-1最後の言葉。ラストイヤーの「もうええわ」。15年間走ったなあ。これが本物か、と思いました。かっこよかった。

歴代最高レベルの大会準優勝、おめでとうございました。立派です。本当にかっこいいです。

誰かを強く応援しているからこそ得られる感情がある。熱くなれる。繰り返しますが、かまいたちのファンでよかった。

M-1グランプリ、それは時にファンの祈祷場ともなる

最後は自己反省タイムです。恥ずかしいので出来れば読み飛ばしてください。というか長いですねこの記事。よくここまで読みましたね。

特定の芸人さんのファンをやっていると、賞レース前の調整期間はどうしても、「なんでこのネタを選んだんだろう」「なんであそこのボケを削ったんだろう」「なんであの時あんな表情をしたんだろう」全てに理由が欲しくなって、詮索してしまうことがあります。そんなの先方にとっては迷惑なエゴだと、分かってはいるけれど。

M-1期間の寄席に行っても、目の前に本人がいるんだから笑顔笑顔、と意識的に見ていた。けれど、もし目の前でなければ「ここでちゃんとウケるのか」「あそこのくだり変えてきたかあ」と肩に力を入れ思考を巡らせ、和牛がM-1後にラジオで言及していたように、"お祈り"するように見ていたと思う。

 笑おうって言い聞かせながら見るのも大変に失礼な話なんだけども、言い訳すると、こっちだって望んでやっているわけじゃないですよね。客観的に見たら分析家気取りで笑ってしまう恥ずかしい話だけど、私たちだって人間。祈ってしまう。自分のこの性質を理解しているので、これまで賞レース前の寄席は足を運ばないようにしていたんですけど、今回は天竺鼠や囲碁将棋も含め、これで最後なのかと思うとどうしても目に焼き付けたくて、自分を止めることができずに行ってしまいました。

そしてなにより、かまいたち最後のM-1のネタを私は祈るように見てしまった。あの時それしかできなかった。悔しいですね。ただこれまでの"お祈り"とはニュアンスが違って、あまりの緊張とあまりにウケている感動で笑うことに手が回らず、このままウケ続けてくれと.....いや、お祈りはお祈りだ、大いに反省します。本当に恥ずい。書いてるだけで恥ずい。めちゃくちゃ恥ずかしい話やん。墓場まで持って行ったらよかった。けど賞レースはわりとこの見方しちゃう人いるんじゃないだろうか。

あれから半年経って私も成長して大人になったのでもうしませーん。(予定)皆さんも本人の目の前で祈祷を始めちゃうと相当やりにくいと思うので、少なからず客席にいる際は賞レースを忘れて、その空間、その場のネタを楽しみましょうね。

これ余談なんですけど、M-1の翌日に早速かまいたちのネタを何度も見返し、あのときを取り戻すかのようにヘラヘラ笑いました。何度観ても笑っちゃうネタってすごいね。

M-1で惜しくも優勝を逃したかまいたちの現在は?年収は?調べてみた!

あれから半年。売れっ子。売れっ子も売れっ子。ニューヨークによると、今の若手芸人は第七世代とかまいたちしかテレビ出れないらしい。すごいねえ。

東京進出してから、順風満帆に全国区で人気や認知度が上がっているかまいたち。ここまでジワジワとスピーディを両立した理想的な売れ方してる人なかなかいないよ。もちろんそこにはたくさんの努力もあるけれど、タイミングや運も味方につけてるね。誇らしいです。

山内さんに関してはついにお笑い賞レースの審査員にまで上り詰めています。(濱家さんは同番組リポーター)「今後M-1とKOC両方で審査員になる」がボケじゃなくなる日も近いかもしれません。

さて、かまいたちさん。不出馬宣言から一転、M-1出場を決めてくれて本当にありがとうございました。あの時のあの決断があったからこそ、私たちはまた1つ夢を一緒に見ることができたし、尊い思い出を胸に刻むことができました。

15年間お疲れ様でした。夢を追いかけ、現実にしていく姿に何度も心を打たれました。ありがとうございました。これからもよろしく頼みます。

かまいたちを好きになってよかった。

さらば、M-1、私の鼬。
ずっとずっと、あなたのファンでした。

じゃ、また。
永遠ラジィ


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