観覧車と毒ガス
久々に京都に帰った。
実家は大阪なんやけどめちゃくちゃ楽しい日々を過ごした大学生活が京都やったこともあって京都の方が帰ってきた感じが凄いする。
新卒の頃に入った会社の面談で
「君もうそんなんだったら京都に帰ったら?」と
言われたこともある。京都に俺の家はない。
京都に帰る前に尼崎にも行った。
友達の家で軽く酒を飲んでごはんを食べた。
酒を飲むとなぜかどうしても外に出たくなるらしく
近所の公園に向かった。
結構楽しくなってしまっていたらしく20を超えた大人たちがけたましく人間跳び箱をひたすらしていた。理由(わけ)なき衝動に駆られる夜も悪くない。向かいのベンチではカップルが俺たちを何の気にもせずただひたすらにディープキスに勤しんでいた。
俺が見えないのか。
すぐそばに居るのに。
酔うと走り出したくなる人は一定数いると思うんやけどあれの筆頭は俺である。ウマ娘くらい走る。ウマ娘は初め艦これよろしく馬が女の子に擬人化されるのであってまぁ走る時は馬なんかなと思って人がやってるのを見てたら普通に女の子がそのまま青々と広がる本馬場を全力で駆け回っておりそれはもう別に陸上競技でええやろとも思った。てゆうかあのテイストでやるなら美少女よりオッサン達を走らせた方がめちゃくちゃいい画になりそうやけどな。賭けてるボリューム層達が賭けられる側に回るっていうのは少し見てみたい。
酔うと走り出すんやけど今回はゲーム性が欲しかったのか友達を巻き込んで鬼ごっこをすることにした。
酒を飲んだ後は言うまでもないが運動なぞしようものなら一直線に嘔吐。わかっていてもやめられないのは人は失うことに悦を覚えるからである。全て失い不幸な顔をして本当はマスクとベイブが好きなのに今日も単館上映の映画を見るのである。
結果18回くらい吐いた。
翌朝尼崎の銭湯に行った。
酒も抜けやらぬまま浸かった風呂はとても気持ちよくなぜか忘れられず最近はシャワーより湯船が増えた。
併設の食堂の座敷で朝定食を食べ、
雨が降り終わった曇っている空をボーッと眺めてた。
あの座敷にいた人は全員何も考えていない顔をしていて本当によかった。
1日が終わってしまいそうだったので京都に向かった。
昼飲みでもするかと二日酔いをまるでなかったかのように木屋町に向かう。その前に小腹が空いたので昼飯を食うことにした。
天丼が食べたいと友達が言ったので入店。
小腹を埋めるには
天丼はミートA 弾道Aな気もするけど。
この後飲むこともあって2人ともごはんは小盛り。
お値段変わりませんが大丈夫ですか?と京都感溢るるイントネーションで尋ねられ「大丈夫です」と返すと
「この前来はった外国の方は大盛り2杯も食べられたんですよ!」と突然言い放った。
若干のしてやったり顔をなぜかしていた。
そんな勝ち誇られても食ったのはお前でもないし
俺らはTVチャンピオン 大食い王決定戦でもないし
いっぱい食べる君が好き♪なのは可愛い子に限るし
敗戦に象徴される黒船以降の欧米に対する鬱屈したコンプレックスを一気に解消すべく、我々の上の世代の人間が神風のように猛然と追い続けた、天丼という名の、天丼という名のテーマでもないやろ。とか思いつつ全てを飲み込んで
「負けてらんないっスね!😉」としか返せなかった。
白ひげに並ぶ時代の敗北者じゃけぇ...😢
変な気持ちで天丼を食べ立ち飲みをし、友達は鴨川で吐き俺らは京都を後にした。
何年経っても飽きない京都。
また思い出がひとつ染み込みやがりました。
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