一ノ瀬 現

小説を書いて生きています。 ここでは、好きなものを、好きなだけ。

一ノ瀬 現

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    創作に関係する、ここで書きたいこと。

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    創作に関しない雑記

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あたらしいひみつきち

 はじめまして。一ノ瀬 現と申します。  「カクヨム」にて小説を書かせていただいています。  小説を読むことも書くことも大好きです。たまに、散文を画像でTwitterに投稿したりもします。  もちろん、小説以外にもたくさん好きなものはあります。歌も好きだし、映画、YouTube、お笑いも好きです。  でも、ありったけの「スキ」を発信できる場所を私は持っていなくて、書ける場所がどうしても欲しくなりました。  創作に関係のないこともどうでも良いことも、書きたい、綴りたい、言葉

    • もう一歩、前進したいから

       「詩」を書こうと思った。  小説の文章と詩の文章は全然違う。そう、ふと思った。  流れも雰囲気も平仮名や漢字の使い方も、ひょっとすると、その文章が書かれた目的も異なっている。  小説はその情景や心理をただ伝えるための手段で、詩は美しいと感じさせたり、ことばの力で心に鋭いナイフを切り込むためで。  もちろん、はっと息も止まるくらいに美しい描写の小説もある。でもやっぱり情景描写・心理描写、書くことの多い小説で言葉を全て綺麗に並べることは、私の今の技量では難しい。  ずっと

      • 夜空をおよぐ

         暗闇に包まれた夜空は、海の深いところに似ています。  夜に広がる藍色の天井。その正体が人に気づかれぬよう移動してきた海だとすれば、黄色い光はきっと満月でなく、海月の微笑む姿なのでしょう。  輝くヒトデは意気揚々と一層美しい光を放ちます。  誰にも知られまいとして藍に染められた海洋生物、彼らはヒトデを羨むかもしれませんし、ヒトデを後目に毅然とした態度のまま泳ぎ続けるかもしれません。  ぽとりぽとりと零れた海の滴は静かに時雨を奏でます。それは涙と同じだけの塩分を含む、何よ

        • 好きな表現技法

           この前気づきました。  どうやら自分は暗喩と擬人法が好きなのだと。  これらの表現技法が使われた文章では、作者の想像力が必要になります。  例えば「汗をかくグラス」とかもグラスはただ結露しているだけで、生き物でもないのに汗をかくなんて思考にはあまり至りません。  そんな一捻りした発想の文章を読むたび「なるほど!」と感動します。  これに気づいたのはnoteをはじめる前の話。実はこれをできる限り意識してnoteを書いてました。  少し恥ずかしいですが、自分の文章を引用し

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        あたらしいひみつきち

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          喫茶店で書きたい

           常連ばかりの集う、こじんまりとした喫茶店。その一番奥の隅にある席で独り黙々と小説を書きたい。いつしかそのお店の一部かのように馴染みたい。  苦い香りが鼻腔をくすぐり、珈琲を淹れる音が響く。冷房は風が静かに吹くくらいに効いていて、たまにドアベルの鳴る音や誰かが本のページをめくる音がする。  明かりはあまりついておらず、少し薄暗い程度が丁度よい。深海みたいで閉塞的だと尚いい。  ちょっとだけ寄るというより、しばらくその場に留まりたくなる夏の避暑地みたいな喫茶店。  そんなお

          喫茶店で書きたい

          海月ぷかぷかプランクトン

           微生物、どの種類が一番好きですか。それとも微生物は嫌いですか?  私はどの微生物も好きですが、とくにミカヅキモが好きです。緑色のからだをしていて月に似ているのが綺麗だからです。  ぷかぷかしている微生物、肉眼では見えないけれどそこには確かに存在していて、面白いなぁと思います。  微生物が発見されたのは17世紀後半らしく、それまではいると想像もされていなかったであろう微生物。  この世界には「謎」の段階ですらない私たちの知らない事実がまだまだ隠されていそうです。すぐに全て解

          海月ぷかぷかプランクトン

          炭酸はじける夏の音

           外へ飛び出すことを今か今かと待ち構えていた炭酸たちが、シュワっと一斉に弾ける音を聞きました。共にそのときを待っていたはずなのに開いた途端に散っていく、炭酸にとっての冒険開始の合図です。  夏以外にサイダーを飲まないのかと訊かれれば、私は季節に関わらず飲むと答えます。  でも、グラスの壁にぶつかる氷の音、冷やしすぎなほどのサイダー、ラムネ瓶のからんころんと鳴る透き通ったビー玉、汗をかくグラス、そのすべてが夏だけの特別な所有物であるように思えてなりません。  もう、夏です。

          炭酸はじける夏の音

          あめのふるまち

           しばらく前の話です。  空が青に染まった雨上がり。  紫陽花が雨を滴らせているのをみつけました。  湿り気を纏った紫陽花に、私の心はものの一瞬で奪われてしまいました。  主張しすぎることのない柔和な紫、優しく溜まった一滴の雫、その組み合わせがえもいわれぬ美しさを引き立てていたのでした。  花弁をしっとりと濡らす雫が、別れを惜しんで淡い紫に佇んでいました。それは紫陽花にしなだれていたようにも思えました。透き通った雫は重力に抗う様子もなく、滑らかに、静かに落ちていったので

          あめのふるまち