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塔8月号 月詠

耳元の空気がゆれるふりかえる今ふれたのはどなたの熊鈴

土に還るまでが遠足 分裂を繰り返しながら町まで帰る

ゼラチンを溶かした湖面をわたるようにだれも起きない夜を抜け出す

人間のからだはふしぎ靴下をはいたまま遠浅の海へ

今日のことはまた思いだすよ無防備な日焼けは遅れてやってくるから

2021年8月号

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