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塔12月号 月詠

トーストが焼けるうちにも朽ちてゆく私の細胞そちこちに散る

誰ひとり匂いも感受できぬまま街の骸のうえに立つ街

吐息よりはやく走って夏がくる厚い胸板ああこの馨り

ヤマシギにおやすみなさいと促され秋は縫いとじられていきます

たぷたぷと午のひかりがゆれている零さないよう春まで運ぶ
 
 

2021年12月号

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