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【らんまん】牧野富太郎が通った小石川植物園へ行ってみました
東京都心にこんな緑豊かな場所があったとは⁉︎ という点は、さすがに驚きませんが、とても気持ちの良い場所でした。
小石川植物園のことです。植物園というから、こじんまりした場所だと思っていましたが、広々とした森でした。
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先日、仕事の空いた平日の午後に、「そろそろ不忍池(しのばずのいけ)の蓮が咲き始めたかもなと思い、見に行ってきました。するとポツリポツリと咲いていたんです。
とたんに自分が植物好きだったことを思い出して……そういえば、東京大学の小石川植物園にでも行ってみようかと思い立ちました。
Googleマップによれば、不忍池から植物園までは、自転車で14分ほど。ただし植物園は、わたしがいる台東区からは西にあるんです。台東区の台は、上野の山を指すわけですが、縄文や弥生の時代には入り組んだ入江だったんですよね。
植物園があるのは文京区です……。かつては海の底だった台東区民からすると、山手の高級住宅街ですよ。弥生時代の遺跡が最初に発見された弥生エリアを超えないといけないんです。つまりは海の底から丘を越えないといけません。そう……坂道が多いんです。
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そんなことを頭の中でブツブツ言いながら、途中のミニバスケット(ミニスーパー)で身体を冷却したり水分補給しながら、30分ほどかけて、やっと小石川植物園に到着しました。
入場料は500円。都立の庭園に比べると高いような気もしますが…まぁ仕方ありません。
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なんとなくの目的地は、柴田記念館ですが、その前に園内をぐるっと巡ってみることにしました。
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これはムラサキシキブだといいます。庭園や庭先に生えているものしか見たことがなかったので、こんなに大きく育つ樹木だったなんて、初めて知りました。
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植物園に着いた時には汗だくだったのですが、木陰を歩いていると、じょじょに嫌な汗もひいてきました。暑いことは暑いのですが、やはり森の中は気持ちいいですね。池もあったりして、涼感効果はバツグンです。
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何も調べずに行ったので、瀟洒な洋館が見えてびっくりしました。なんだあれは⁉︎ と。
小石川植物園のランドマークといえば、まったく愛想のない本館です。これはなんじゃろ? と思っていると、看板には「旧東京医学校本館」とあります(重要文化財)。植物園の案内図にも、いちおう記載されていますが、総合研究博物館の小石川分館ということで、同じ東京大学の施設ではあるけれど、細かく見ると所属が異なるようです。
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いやぁ、それにしても手入れの行き届いた日本庭園です。ちゃんと宣伝すれば、もっと多くの人が来るだろうになぁ、なんていうのは余計なお世話なんでしょうね。そのおかげで、静かで贅沢な雰囲気が保たれているわけですしね。
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キョウチクトウですかね。咲き始めたばかりなのか、花びらが新鮮な感じがしました。これが咲き始めると、夏だなぁと実感します。
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旧医学校の本館、以前は公開されていたようですが、現在は無期の非公開。耐震性が確保できていないということで、数年前から非公開としているそうです。耐震工事を施さないと公開できないということなので、この先、公開されることはないような気がします。文化庁や都などへ移譲すれば良いのになと、個人的には思ってしまいます……元々、国の土地に国が建てたものですからね。
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それにしても日本庭園が本当にきれいでした。この空間を独り占めできるのは、贅沢の極みですね。
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旧医学校の脇を登っていくと、ちょっとした東屋があります。
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何かの遺構跡なのか、赤レンガが並んでいました。
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でっかいサルスベリだなぁと近づいていくと、シマサルスベリという、沖縄や台湾のものだと書いてありました。
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囲いで囲われているサネブトナツメ(酸棗)という薬用樹木だそうです。江戸時代の1722年に中国から輸入されたそうです。てっきり枯れている倒木なのかと思っていたら、枝にはしっかりと葉がついていました。
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関東大震災の記念碑なんていうのもありました。当時は2万人の避難民が園内にいて、その一部の人たちは約2年後まで、園内の救護施設で暮らしていたそうです。
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ちなみに、我らが牧野富太郎さんは、関東大震災時には、61歳でした。帝大の講師をされていた時期なので、この小石川植物園内で研究していた頃のことです。震災当時のことを、自叙伝で次のように回想しています。常人が聞いたら不謹慎極まりないのですが、牧野富太郎さんぽい回想で面白いです。
震災の時は渋谷の荒木山にいた。
私は元来天変地異というものに非常な興味を持っていたので、私はこれに驚くよりもこれを心ゆくまで味ったといった方がよい。
当時私は猿股一つで標品を見ていたが、坐りながらその揺れ具合を見ていた。
その中隣家の石垣が崩れ出したのを見て家が潰れては大変と庭に出て、庭の木につかまっていた。
妻や娘たちは、家の中にいて出てこなかった。家は幸にして多少の瓦が落ちた程度だった。
余震が恐いといってみな庭に筵(むしろ)を敷いて夜を明したが、私だけは家の中にいて揺れるのを楽しんでいた。
後に振幅が四寸もあったと聴き、庭の木につかまっていてその具合を見損なったことを残念に思っている。
その揺っている間は八畳座敷の中央で、どんな具合に揺れるか知らんとそれを味わいつつ坐っていて、ただそのしまいぎわにちょっと庭に出たら地震がすんだので、どうも呆気ない気がした。
その震い方を味わいつつあった時家のぎしぎしと動く騒がしさに気を取られそれを見ていたので体に感じた肝心要めの揺れ方がどうも今はっきり記憶していない。
何と言っても地が四、五寸もの間左右に急激に揺れたのだからその揺れ方を確かと覚えていなければならん筈だのにそれをさほど覚えていないのがとても残念でたまらない……もう一度生きている中にああいう地震に遭えないものかと思っている。
これを思い出すたびにセットで思い出すのが、噺家の五代目古今亭志ん生さんの関東大震災時のエピソードです。志ん生さんの場合は、グラグラと揺れ始めると、酒屋に走って、これが飲める最期の酒ということで、酒を飲みまくったといった感じだったと思います。
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スズカケノキです。街路樹でよく見かけるモミジバスズカケノキは、このスズカケノキとアメリカスズカケノキとの雑種なんだそうです。看板には「よく知られている」とありましたが、全く知りませんでした。
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↑ こちらは今や一般的になった、モミジバスズカケノキ。
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園内の各所には、昭和時代の半ばくらいに建てられたと思われるトイレ棟が散在していました。外から見るのとは異なり、中はよく掃除が行き届いています。ただ、苦手な人は苦手だろうなぁと思います。
わたしは使いませんでしたが、温室の脇にあるトイレは、外見がきれいでした。
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イロハモミジの並木が気持ちいいです。
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江戸時代の御薬園の遺構も残っています。
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立派な温室がありましたが、外が暑いので、入る気にならず、外から眺めただけでスルーさせてもらいました。
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遺伝学の基礎を築いたメンデル(Gregor J. Mendel 1822-1884)が実験 に用いた由緒あるブドウの分株です。第2代植物園長を務めた三好学が、大正2(1913)年、チェコのブルノーにメンデルが在職した修道院(現在のメンデル記念館)を訪ねたとき、旧実験園に残っていたブドウの分譲を依頼して、その翌年に送られてきたものです。その後、メンデル記念館のブドウは消滅したことがわかり、本園のブドウを里帰りさせて現地にも同じブドウの株を復活させました。
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万有引力の法則を発見したニュートンさんの庭に生えていたりんごの木。世界各国に分譲されています。日本には昭和39年(1964)に、2代目から接ぎ木された孫木がイギリス国立物理学研究所のゴードン・サザーランド卿から日本学士院長・柴田雄次博士に贈られたそうです。その株が、この写真の「ニュートンのりんご」。
ちなみに柴田雄二博士は、この後に紹介する柴田桂太博士の弟さんなのだそう。
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イチョウの精子(精虫)が発見されたのも、小石川植物園でのこと。イチョウの精子と言われても、ピンときませんけど……そうなんですね。上の掲示板から一番近い木がそれかな……と思って撮っておいたのが下の写真なのですが……これ、明らかにイチョウじゃないですねw ヒマラヤスギかなんかでしょうか。ものすごく立派な木だったんですけど……。
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こちらがランドマーク的な植物園の本館ですね。研究施設として現役なので、一般の来園者は入れません……そのため、来園者は仰ぎ見ることはあっても、建物としてじっくり見ることはなく、スルーする人が大半でしょう。
設計したのは内田祥三(よしかず)さん。東京帝国大学で建築学を教え、後に東京帝大の総長も務めました。最もよく知られているのが、安田講堂ですが、そのほか関東大震災前後以降に建てられた同大の建築物の多くが、内田さんの設計です。
植物園の本館からは、「すごいな」感が少ないのですが……建てられた1939年当時は、近代的なかっこいい建物だったんでしょうね。また、彼が設計した多くの建物が、今も現役で使われているというのが、本当にすごいことです。また、Wikipediaの冒頭に記されている下記の文章を読んで、少し感動してしまいました。
1943年に東京帝国大学総長に就任。平賀の死後、興亜工業大学(現・千葉工業大学)への支援を引き継ぎ、同大の運営に尽力。敗戦前は、帝都防衛司令部として東京帝大を使用したいという軍部の強硬な申し出を断固として断り、終戦直後にはアメリカ軍が連合国軍総司令部、第8軍司令部として東大を接収要求した際に、各方面に働きかけて止めさせる。
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本館をぐるっと巡ることはできませんが、横の構造が軍艦の艦橋(ブリッジ)のような形をしていて、面白いなと思いました。コンクリでも、こういう柔らかい形の建物を作れるんだよということを主張しているかのようです。
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こじんまりとした柴田記念館です。
理学部の植物学教室の教授だった、柴田桂太さんの「生理化学研究室」として、大正8年(1919年)に建てられたと、パンフレットに記されています。
外観で分かるとおり、館内は広くありませんが、入ることができます。ギーっと音が鳴るドアを開けると、当時のままの様子がうかがえます。11月頃まで、牧野富太郎展のようなものが展開されています。館内は、撮影OKですが、SNSへの投稿は禁止。noteだったら良いのか? と聞いてみようかと思いましたが、面倒なのでやめました。
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柴田記念館の目の前にはシダ園がありました。牧野富太郎さんも歩いたのだろうか? なんて思いましたが、どうやらそれほど古いものではなさそうです。
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上は立ち入り禁止エリア(の一歩手前から撮ってます)。下は、昔の建築物の遺構なのでは? と推測。こちらは場所からして、牧野富太郎さんが研究室を構えていた建物の遺構ではないかと思います。
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植物園のマスコット的な猫がいました。猫好きなわけでもないのですが、いちおう撮っておきましたw
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ということで、小石川植物園の探訪は終了です。東京ドーム付近に出て、湯島の切り通しを通って帰りました。とにかく暑かった……。
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