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【仏像ニュース】奈良博で展示中の多聞山・常念寺《釈迦如来像》の中から地蔵菩薩像6体などの納入品があることが判明

奈良国立博物館(奈良博)では、今週末の9月3日(日)まで、特別展「聖地南山城―奈良と京都を結ぶ祈りの至宝―」が開催されています。奈良博での同展が、おそらく大幅に縮小されて、東京国立博物館でも特別展「京都・南山城の仏像」として開催されるため、わたしも少し注目していました。

奈良博『聖地 南山城』は9月3日…今週末までです

奈良博での会期終了が差し迫っているなか、同展で展示・公開中の仏像の中に、仏像6体などの納入品が入っていることが判明したと、奈良博から発表されました。

その仏像とは、京都の多聞山・常念寺の《釈迦如来像および両脇侍像》です。この像を、会期中にX線CTスキャン調査を行ったところ、中尊(真ん中の)《釈迦如来像》の像内に、仏像をはじめ複数の納入品があることが判明したのだそうです。

頭部と体部のCTスキャン画像

上の写真が、プレスリリースで発表された頭部と体部のX線CTスキャン画像です。「頭部に納入された複数の巻子かんす状の品は、木材等を用いて後頭部に固定されています」とあります。

また体部にも複数の巻子かんす状の品があるほか、小さな仏像が少なくとも6体確認できたそうです。「像容からすると地蔵菩薩の可能性が高いと考えられています」とのこと。上の画像では、巻子かんす状の品や仏像などが、ガラガラと入っているように見えますが、それらの像の陰を整列された画像も発表されています。

地蔵菩薩と思われる6体の納入品

以上のほかにも仏像の眉間に生えている白い毛(眉間の点)、「白毫(びゃくごう)」の内部には、鉱物質のものを納めているように見受けられ、仏舎利になぞらえた品と推測されるそうです。

多聞山・常念寺の《釈迦如来像》

今回のニュース……会期中にX線CTスキャン調査なんてするんだなぁと驚いたのと同時に、特に巻子かんす状の何かを見てみたい! という気持ちになってしまいます。きっと仏像の発注者や制作者、製作年などが記されているだろうし、経典などが固定されているのかもしれません。いつ誰が、どんな思いを込めて仏像を作ったのかに迫れるかもしれません。

とはいえ、仏像の状態が悪いとも思えないので、今後も非破壊による検査が続くことになるのでしょうね。でも知りたいなぁ……。

なお、9月16日から東京国立博物館で開催される、特別展『京都・南山城の仏像』に、この多聞山・常念寺の《釈迦如来像および両脇侍像》がいらっしゃるのかは、現在のところは不明です。←まだ同展の展示品一覧が発表されていないため。でも、おそらく来ないだろうなぁ……と思いますw

東京国立博物館・特別展『京都・南山城の仏像』

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