ヘンテコな形の縄文土器(異形土器)が、千葉県松戸に大集合! 📷撮影可能📷
松戸市立博物館では、9月14日から11月4日の会期で、企画展『異形土器 縄文時代の不思議なうつわ』が開催されます。
主に東日本(関東以北?)から集めた、縄文時代後期の何に使ったのかよく分からない不思議な形をした、異形土器が展示されるそうです。
全てがヘンテコな形をした縄文土器ばかりが、170点も展示されるということで、行こうと思えば行ける場所ということもあって……行ってみたいなと思っています。
●会期:令和6年9月14日(土)~11月4日(月・祝)
●休館日:月曜日、なお月曜祝日の場合は開館し翌日休館
●開館時間:9時30分~17時(入館は16時30分まで)
●会場:松戸市立博物館 企画展示室(松戸市千駄堀671)
●観覧料:
【企画展】一般310円、高校・大学生150円
【常設展共通観覧券】一般520円、高校・大学生250円※中学生以下無料 ※11月3日(文化の日)は企画・常設展とも無料
ということで、まずは展示品の撮影が可能なのかを同館に問い合わせてみました。結果【全ての資料が撮影可能】ということでした。ただし一部の資料はSNSへの投稿が不可ということです。撮影できるっていうのはうれしいですね。ますます行ってみたくなりました。
■第1章「異形土器の出現と変遷」
第1章では、プロローグという感じのようです。「異形土器はいつごろ、どのような形で現れ、どのように形を変えていったか」を、研究者の最新の考察が披露されるのでしょう。そして、関東でしばしば見つかるという「異形台付土器(いけいだいつきどき)」と「釣手土器(つりてどき)」の変遷を辿るそうです。
■第2章「異形土器の拡散」
関東で異形土器が作られたのとほぼ同時に、北海道・東北でもよく似た異形土器が作られます。土器作りのルールが広い範囲で共有されていたことがわかります。(プレスリリース文ママ)
■第3章「越境する注口(ちゅうこう)土器」
異形土器が作られたのと同じころ、注ぎ口のついた急須のような形の注口土器もさかんに作られました。注口土器はよく似た形のものがたくさん作られ、異形土器と同じように地域を越えて広がりました。(プレスリリース文ママ)
■第4章「土器からみた地域間の関わり合い」
よく似ているのは特殊な土器だけではありません。普通の形のうつわにもよく似た文様がつけられます。縄文時代後期の人びとが地域を越えて深く関わり合っていたことがうかがえます。(プレスリリース文ママ)
■Webで立体画像(3Dモデル)で展示品を見られます
展示予定資料の一部については、会期終了まで3Dモデルを公開しているそうです。せっかく作ったのだから会期終了後にも見られるようにしておいてくださいよ……と思うのですが……きっと見られると思います。
■シンポジウム&ギャラリートーク
企画展に関連するシンポジウムやギャラリートークが豊富ですね。
「異形土器と注口土器からみた縄文後期社会の変容」(科学研究費学術変革領域研究(A)「日本列島域における先史人類史の統合生物考古学的研究 ― 令和の考古学改新 ―」共催)
日時:令和6年10月5日(土)10時~16時
会場:森のホール21 レセプションホール
定員:190人(申込先着順)
【パネリスト】
中村耕作氏(国立歴史民俗博物館)
吉岡卓真氏(さいたま市教育委員会)
福永将大氏(九州大学総合研究博物館)
渡辺幸奈氏(京都大学大学院)
西村広経(松戸市立博物館)
【学芸員講演会】
「縄文後期の異形土器」(博物館友の会共催)
日時:10月26日(土)13時~15時
会場:松戸市立博物館講堂
講師:西村広経(にしむらひろつね)当館学芸員
定員:75人(応募多数の場合は抽選)
【ギャラリートーク】
日時:9/14(土)・29(日)・10/26(土)・11/4(月・祝)各11時~12時、9/14(土)・29(日)・10/20(日)・11/4(月・祝)各13時30分〜14時30分
会場:松戸市立博物館企画展示室
参加方法:事前申込不要。開始時間に企画展示室前ロビーにお集まりください。
■行く前に読んでおくと理解が深まりそうな資料
◉西村広経『広域分布する異形土器』
◉西村広経『博士論文(要約) 日本列島東北部における縄文時代後期中葉土器群の研究』
◉中村耕作・編集『縄文時代異形土器集成図譜 1』
◉中村耕作・西村広経・吉岡卓真・渡辺幸奈『土器からみた縄文時代後期後半の地域間関係と社会』
◉渡辺幸奈ほか『函館市南茅部地域周辺における縄文時代の食変遷3』
中村耕作・編集『縄文時代異形土器集成図譜 1』は、「図譜」と記されているとおり、異形土器の形や柄を描いたイラストが充実しています。
■資料をNotebookLMに要約してもらった
上に挙げた5つの論文をNotebookLM(AI)に読み込ませたうえで、「『異形土器はいつごろ、どのような形で現れ、どのように形を変えていったか』を、読みやすい文章で教えてください。」とプロンプトに入れた、その回答が下記です。
なお、上で挙げた論文を、わたしは一度も読んでいないので、下記の内容が正しいのかは分かりません。
●縄文土器における異形土器の出現と変遷
異形土器は、縄文時代後期中葉(加曽利B2式期)に突如出現します。これは、土器文化の活性化が認められる縄文時代後期前半期(堀之内2式新段階から加曽利B1式期にかけて)よりも後の時代です。
【関東地方】
関東地方では、加曽利B2式期以降、釣手土器と異形台付土器が主に東関東で多く見られるようになります。
●釣手土器
釣手土器は、紐で吊り下げられる構造を持ち、関東では2方向、3方向、または4方向から釣手に紐を通し、天井部で紐を結んで吊り下げる構造でした。 関東の釣手土器は棒状または板状の釣手で空間を区切り、その区切り方によって3つの形態に分類されます。
●異形台付土器
異形台付土器は、胴部に穴が開けられていることから実用的なものではなく、儀礼に使われたと考えられています。住居跡の床面から完全な形のものが発掘される例が多く、2個1対で使用されたり、住居跡の埋没過程の儀礼に関連するものと考えられています。
●異形台付土器
異形台付土器は、加曽利B3式期から曽谷式期にかけて多く見られるようになり、安行1式期にはやや減少します。5 安行2式期後葉には形態に大きな変化が見られるものが多くなり、後期末には3階建てのような構造を残しつつ終焉を迎えます。
【東北地方】
東北地方では、後期後葉(瘤付土器第2段階)になると、香炉形土器や異形台付土器といった多様な器種が登場します。
●香炉形土器
香炉形土器は、関東地方の釣手土器と同様に吊り下げる構造ですが、天井部に穴が開けられ、そこに紐を通して吊り下げるというシンプルな構造です。東北地方では釣手に透かし模様が施されているものが多く、関東地方よりも複雑な形態をしています。
●注口土器
注口土器は、関東とは対照的に安定した器種として存在し続け、環状土器や巻貝形土器など、様々な異形化が見られます。また、顔面装飾が、深鉢、香炉形土器、下部単孔土器、壺など、様々な器種に施されるようになるのも特徴です。
【新潟県】
新潟県では、瘤付土器段階において、村上市の元屋敷遺跡で釣手土器・香炉形土器のバリエーションが多く確認されています。 しかし、瘤付土器第Ⅲ段階以降になると、遺跡数が減少し、新潟県元屋敷遺跡の1例のみとなります。新潟県内では、晩期の香炉形土器が多く発見されていますが、後期からの変化を直接的に示すものではありません。
異形土器の分布の変化と土器型式分布圏
異形台付土器と釣手/香炉形土器は、初期は関東地方を中心に分布していましたが、その後、北海道、東北地方にも分布が広がります。しかし、5期(安行1式期)に入ると地域ごとに選択的に残存するようになります。これは、4期(曽谷式期)以降、北海道・東北地方で土器様式に差異が生じ、地域性が顕在化していったことと関連していると考えられています。
まとめ
縄文時代後期中葉に出現した異形土器は、地域ごとに異なる展開を遂げ、それぞれの地域で独自の役割を担っていたと考えられています。その後の分布の変化は、当時の社会構造や地域間交流の変化を反映している可能性があります。
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