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コーディネーター・アラジンのブログ #29 ナージャの発見

The Discoveries of Nadya

先週行われた長野県の高等学校後期入試とその判定、合格発表準備のために、生徒たちは今日まで学校はお休み。
もうすっかり春休みムードなんですよね、高校生たちは。

今日は、キリーロバ・ナージャ著の「6カ国転校生ナージャの発見」という本を紹介します。(集英社インターナショナル)

ナージャは、ソ連生まれ。両親の転勤で、ロシア、日本、イギリス、フランス、アメリカの小学校を、カナダと日本の中学校を転々とし、それぞれの学校で受けた教育体験から、世界の教室はこんなに違っている!「ふつう」なんて存在しないということを教えてくれています。この本は、私たちの世界の見方を驚きを持って変えてくれる、易しい素敵な本です。

さて、初めに触れた高校入試ですが、実は! 実は!!! 高校入試があるのは世界中で日本くらいなんです。 知ってた? お隣の韓国にも無いよ!

(韓国では、小学校から中学校、中学校から高校に行く場合も基本的に受験はありません。中学校の内申点をもとに共通試験合格者を決め、学区内の学校に抽選で割り振る平準化政策を採用しています。)

フィンランドでは教育が大学まで無償なのはご存知ですよね。しかも「受験がない」のです。学力テストも偏差値もありません。そして塾もありません。おー、なんと素晴らしい。

もともと、高校入試は日本もなかったんですよ。戦前の旧制中学は今の中高一貫校のように連続していて、西洋の今の学制に近いのが「ふつう」だったんです。公立の中高一貫高校が最近増えてきていますが、むしろ戦後、中高分離校が出来、それが「ふつう」になっていただけだといえます。

話がそれてしまうので、深堀りは止めておきますが、下のサイトが参考になりました。


話は、ナージャの本に戻りましょう。

話題1.筆記具は、鉛筆かペンか?
よく、高校にやってくる留学生が、日本人の高校生が鉛筆でノートを取るのを見て驚いていましたね。小学生みたいだと。
ナージャの本によると、彼女の経験した6カ国の小学校では、
   鉛筆・・・日本、イギリス、アメリカ、カナダ
   ペン・・・ロシア、フランス
     (ロシアでも美術の時間と、数学の図形を描く時は鉛筆)
中学や高校になると大抵はペンになります。鉛筆は日本だけ。

これは、ナージャによると、
   鉛筆・・・よく書くための道具
   ペン・・・よく考えるための道具
というわけで、どちらが正解というのではないのです。

話題2.小学校の座席配置は?
   一人掛け・・・日本(机を引っつける場合もある)
   二人掛け・・・ロシア(男女ペア)
   5~6人掛け・・・イギリス
   向かい合わせ・・・フランス、アメリカ
   座席以外にも座る・・・アメリカ
それぞれ、ねらいがあるようで、座席の在り方は、教え方の方針を示していて、真剣に聞かせたいのか、発言を求めているのか、みんなで意見をまとめてほしいのか。したがって、これも正解はないというわけです。

話題3.小学校の体育は?
    整列する・・・日本(背の低い順)、ロシア(背に高い順)
    整列しない・・・イギリス、フランス、アメリカ

以下、小学校の入学年齢は?
   ランチは、給食?弁当?家で?
   数字の書き方は? 7に横棒入れる? 4は突き抜ける?
   ・・・

と次々と話題が出され、日本で「ふつう」と思っていることが、全然違っていることに驚かされます。しかし、どれもそれぞれ何に重きを置くのかそのの国の文化が反映されているので、違っていていい、どれもが正解なんですね。

物差しが違えば見え方も変わる。世の中にはいろんな物差しがあるということを忘れないことが大切ですね。

私のいつも言っているスローガン、
Open Your Heart to the World! 
もいい線いってるかもよ。

よかったら、この本読んでください。