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コーディネーター・アラジンのブログ #104 教室断熱ワークショップ

Classroom Insulation

ポッキーの日の土曜日、ボランティア生徒たちが1年B組の教室の壁に断熱材を入れる「教室断熱ワークショップ」を行いました。

このワークショップは、3年前の2020年の9月の三連休に3Bの教室をHakuba SDGs Labの主催で、行われた、「白馬高校断熱プロジェクト」を引き継いだものです。

最初の断熱プロジェクトの呼びかけチラシ(2020.9)

学校の教室は、窓は2重サッシですが、天井や壁には断熱材は入っておらず、一つのストーブでは、逃げる熱が多く、教室全体を温めるには力不足で、無駄に灯油を使っています。

そうそう、私が白馬高校で勤務して驚いたことの一つに、「ゆこ」という言葉がありました。冬が近づいて、生徒たちが「ゆこにゆく」「ゆこにゆこう!」なんて言うので、何のことかとよく聞いてみると、教室のストーブに入れる灯油をもらいに、「油庫」に行くというんですね。漢字で書くとわかるんですが、初めて聞いた音でした。わたしの大阪での何十年の教員生活では、ストーブはすべて都市ガスでしたから、ストーブ係は、職員室にストーブにつなぐガス管をもらいに行くのが日課でした。
そういえば、私が小学生の頃は、ストーブ係は、バケツを持って、「石炭庫」に石炭を取りに行ってましたね。時代や所が変われば様々ですね。

さて、行政に断熱工事を要望して、予算化を何年も待つというのではなく、生徒たちが自らの教室を専門家に手伝ってもらいながら安価に断熱化し、作業と同時にエネルギー問題などの課題を身近に感じるワークショップとして始まり、これまで二つの教室の断熱化を終え、今回は3つ目の教室ということになります。

今回も、指導してくださるのは、株式会社守破離の横山親方(代表取締役)。また、断熱材の提供は、株式会社イノアックコーポレーション様で、自社開発の新製品の難燃断熱材サーマックスを使いました。以前より、難燃が売りの優れた素材です。

朝登校してきた生徒は、まずトラックから資材を教室に運びます。

その後、挨拶のあと、今回ほとんどの段取りをお世話くださった守破離の親方から、断熱ワークショップの意義と、気候変動や断熱に関するセミナーを、YouTube動画を使って学びました。



サーモグラフィで壁の温度を測ります。

断熱改修ワークショップは、以前は壁に取り付ける木枠の製作から始めましたが、今回は、守破離の親方にすでに木枠は窓の周囲の壁に施工をしてもらっていましたので、木枠の間にはめる断熱材のカットから始まりました。

その次が、断熱材の上に貼るべニア板のカットと、隠し釘で張り付ける作業なんですが、困ったことに、もとのコンクリート壁が平でなく、多くの箇所で下部が膨らんでいて、断熱材が木枠から出っ張ってしまうことが分かりました。
そこでやむを得ず、断熱材を膨らみにあわせて削ることになりました。断熱材は柔らかいので、これを普通のカンナで削ることにしました。カンナを使うのは初めての生徒ばかりでしたが、親方の見よう見まねで上手に削ることができました。

断熱材のカットと壁の膨らみに合わせて削るカンナ掛け。

うまく断熱材を取り付けたところには、今度この教室が解体されるまで見ることができないのですが、自分たちが作った証のサインや落書きをしました。

記念の落書き。もう一度見ることはあるのだろうか?


次に、断熱材を隠すベニヤ板をボンドと隠し釘で貼っていきます。

隠し釘は後で簡単に折れるようになっているので、意外と打ち込みにくい!

全部ベニヤ板を貼り終えたところで、今回の作業は終了。

本当は、この後、新しく作った木の窓枠に、二重窓を取り付けます。
さらに、天井裏にも断熱材を敷く作業があります。また、廊下側の壁も同様の断熱材をはめてベニヤ板の壁を作るという作業が残っています。

今回は、ここまでですが、どれくらいの断熱効果があるのかが、楽しみです。

こうしたプロジェクトは白馬高校の取り組みが最初ですが、県下の学校でも上田高校などで取り組みが進んでいるようです。先駆的な実践ができて誇らしいですね。

今年夏の朝日新聞には、白馬高校から広がった学校断熱ワークショップの紹介記事がありました。夏なので、「学校冷やし方改革」なんて見出しですが、この時期なら「学校暖め方改革」ですね。

朝日新聞 2023-07-18


PS.
今回の断熱ワークショップを報道してくれた大糸タイムス記事も紹介しておきます。

大糸タイムス 2023-11-14