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詩 落ちたユズの実

誰かの家の木に、
たくさんのユズがみのっている。

だいだい色をしたユズの実たちは、
熟して採りごろだけど、
だれもその実を採ろうとしない。

その木は、隣の家の庭まで枝を伸ばしているから、
たくさんのユズの実が、隣の庭に落ちている。

だれが落ちたユズの実を、片付けるのだろう。

僕はユズの木に実る、
ユズ。

木に光をいっぱい浴び、
小さな青い実がって、
だいだい色に染まるまで、
毎日、毎日、成長する。

僕は仲間のユズたちと、
競うように色づいて、
季節とともに実りゆく。

やがて秋が訪れて、
実りとともに、鳥たちは、
隣にみのる柿のを、
ヘタだけ残して、食べてゆく。

どうして僕たちは、鳥たちに、
相手にされないのだろうか。

どうして人間たちも、僕たちを、
採ろうとしないのだろうか。

早くしないと、僕たちは、
地面に落ちて、死ぬだろう。

いったい、僕たちは、
何のために生まれたか。

そして、その日はやってくる。

風の強い日の午後。
僕は必死に、木にしがみつく。
力が尽きて、手を放す。

気づけば、地面に落ちていた。
ころころ、転がる僕。

僕は見る。

空は、こんなにも、大きかった。

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