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詩 冷たい雪と、ぬるい風、そしてサクラの花

3月も
もう終わりというときに、
雪が降る。

忘れていた寒さや、
雪の冷たさ。

花が咲きはじめて、
緩んだところに、
不意うちされる。

寒さにふるえ、
あわてて、
厚着すると、
今度はまた、ゆるむ。

そして激しい風が、
うなりをあげる。

激しいのに、
風はぬるく、
あたたかい。

厳しい中にも、
少しの愛情にも、
似たものを感じる。

それは僕のこころが、
春の気配を感じるから。

もうそこにいる。

冬の陰に隠れたり、
冬の陰から出てきたり。

いたずら好きの春は、
もうそこにいる。

ぬるい風にあわせるように、

サクラが、やっと、
咲きはじめる。

来週の、今頃は、
もう散り始めているだろう。

とても短いサクラの花。

まだ、咲きそろわない、
サクラの樹々をながめていると、

なぜか、ふわっと、こころが
なごむ。

そして、なぜか、こころが、
ゆれる。

なぜだろう。

こんな気持ちにさせる花は、
サクラだけかもしれない。

淡いピンクの花が、重なり合う光景は、
美しさと、儚さを、あわせ持つ。

明日が来る保証なんて、
サクラの花にも、
僕にも、
どこにもない。

今年も見ることが出来た、
サクラには、
そんな想いもあるのかもしれない。

いま咲いているサクラを、
しっかりと、
目に焼き付けて見ておこう。

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