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アルアンドコール
その人はそっと僕の肩へ手を伸ばし、指を口元へ伸ばした。5本の指は細く白く、爪が艶々としていた。
僕の唇をそっと割られる。
髪がふわりと香り、僕は口を開いたまま彼の人を見つめる。汗をびっしりかいていた。
美しいその人に、僕は籠絡された。ひたすらに僕は魂を奪われ続けた。身体が軽くなっていき、その人のその爪に触れるたびに心地よく音が鳴った。
ああ、夢を見ているようだ......。
*
私はこの人へ口づけをする。長い長い接吻の後で、私の内臓は混沌として火照り出す。もっと頂戴。もっと頂戴。
暗いものはより暗く、明るいものはより一層明るくなった。こめかみにじわじわと何かが染み込んでいった。
ああ、夢を見させて......。
僕は彼女の中へするりと入り、時間をかけて身体を馴染ませた。皮膚を燃やすように、染み込む僕の薄い皮膚。熱いため息は、僕の魂そのものだった。
もっともっと僕を求めなよと囁いた。赤くなった耳は、薄くて可愛い。
私の前には......いち、に、さん、し......いくつの君がいるのだろう。明日は土曜、嬉しいな。どう?嬉しい?
嬉しいよ。もっともっと戯れようよ。
うーん......。ううん......。もう駄目。足が言うことを聞かないの。もうそばへ行けないの。
僕との時間はもう終わり?
終わりよ。また一緒に踊ってね。
*
にやりと僕は微笑んだ。
もう僕は君の中に入ってしまったよ!
今夜君はずっと僕と踊るんだよ。ほら手を伸ばして!僕に触れたね。君の指先は僕の唇とよく馴染むよ。君を終わらせるまで僕は君に寄り添い続けるから。ねえ、口づけしてよ。
*
昼の光が私を嘲笑う声で、目が覚めました。夢に彼は出てきませんでした。一晩中私は、水を飲めども飲めども喉の渇き続ける夢を見ていたのです。
ああ最悪。彼は悪魔でした。
頭がふわふわして、とても痛い......。
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