見出し画像

【レザークラフト】初心者の頃に陥りやすい落とし穴

こんにちわ。HAKUです。
今日は自分がレザークラフト初心者であった頃を振り返って、「失敗したなぁ」と思うことをシェアしたいと思います。

これからレザークラフトを始めてみたいと思っている方や、レザークラフトを始めたばかりの方に参考にしていただけたら嬉しいです。

1.落とし穴=「コスパ至上主義」

私自身レザークラフトで数々の失敗を繰り返してきましたが、振り返って考えてみると初心者の頃の失敗の根本原因は「過度にコスパにコダワリすぎたこと」じゃないかな、と思っています。

何か支出をする時に、コスパ(コストパフォーマンス/費用対効果)を考えることはとても大切。また、新しいコトを始めようとする時は、「飽きずに続けられるかどうか分からない」「自分にできるかどうかも分からない」と未知数だらけですからお金を使うのにも慎重になります。

もし途中で止めてしまったとしても「ま、いっか」と諦められるくらいの初期費用に抑えたいなぁ…そんな風に思われる方も多いのでは?ええ、実際に私もそうでしたからお気持ちはすごく良く分かります。

ですが、あまり行き過ぎてしまうと自分で自分の首を締めてしまうことにもなりかねません。

2.コスパ至上主義がもたらしたもの

「コスパ至上主義」に囚われてしまった私が初心者の頃にやってしまった失敗例を3つ挙げてみましょう。

 ①道具代を抑えるために100円均一などで代用品を探し回る 
 ②材料代を抑えるためにハギレパックを購入する
 ③書籍代を抑えるためにネット情報だけを頼りにする

いかがでしょう?いずれもコスパ優先で取った行動。今振り返ると失敗だったなぁと思います。次からこの3つの例についてもう少し掘り下げてみましょう。

2-1.道具代をケチると難しいことがさらに難しくなる

初めての方は特に、レザークラフト関係の道具に対して割高感を覚えると思います。私も最初はそうでした。そこで少しでも出費を減らそうと100円均一やホームセンターで代用品を探し回りました。

今振り返るとこれは失敗。なぜなら、専用の道具を使わずに代替品で済ますことは難しいレザークラフトを余計に難しくする行為だったと思うからです。

初心者の私がホームセンターの防振用の「ゴム板」を使い、100円均一の「木槌」で作った記念すべき処女作がこちら。

画像1

あー、すっごい恥ずかしい。恥ずかしいけれど、今思うと「まぁ、そうなるわな…」とも思います。

他にもカッターマットを100円均一のものから刃物メーカーのものに変えたときは「あ、こんなに違うんだ」と切りやすさに驚いたこともありました。コバ磨きに使うスリッカーも、当初はホームセンターで買った木っ端にヤスリで溝を切った自作品を使っていましたが、専用品を購入したら使いやすさが段違いでビックリしたことも。

代用品を探したり、別の用途のものを工夫して取り入れたりというのは新たな発想を生むためにとても良い事だと思います。ですが、慣れないうちからコスパ最優先で代用品を使うと、このようなリスクもあるわけです。

前回のnoteで「レザークラフトは難しい」と述べましたが、初心者の方が専用工具を使わずに代用品でレザークラフトをするというのは、「難しいことを余計に難しくする行為」になってしまう可能性が高いと思います。

難しいことがさらに難しくなれば、上手く行かない可能性も高まります。上手くいかないことが続けばレザークラフトが嫌になってしまうかも…。代用品探しが単なる「遠回り」になるくらいだったら良いのですが、せっかく興味を持ってはじめたレザークラフトが嫌になってしまうのは残念過ぎます。

レザークラフトの道具の中にはン万円もするような高級・高品質なものもあります。初めからそういった高級な道具が必要とは思いませんが、最初は素直に国内のクラフトメーカーさんが販売している道具を揃えるのが無難かと思います。

それでも「いきなりまとまった出費はちょっと…」という方は、是非前回の「レザークラフトは中長期的に楽しむ」という記事を思い返して下さい。「早くやってみたい!」という気持ちも分かりますが、無理のない範囲で少しずつ道具を揃えるというのもアリだと思います。

2-2.初心者だからハギレを使うは正解か?

「まだ初心者だし、高い革はモッタイナイから安いハギレ革を使おう」
とても合理的というか自然な発想だと思いますが、そこにも少し注意が必要だと思います。それは、ハギレは初心者の方にとって却って扱いにくいケースがあるからです。

一言にハギレと言っても市場にはいろいろなものが出回っています。種類や鞣し方もバラバラのものを詰め合わせたものもあれば、「え、これハギレって言っていいの?」というくらい大判でキレイなものまで様々。価格の割に量が多いこともあって初心者が使うにはもってこい、と思われますよね。

良心的なハギレ商品もたくさんありますが、本来的な意味でのハギレとは傷がある、シワがある、革の繊維が緩くて使えないなどの理由で切り落とされた部分。繊維がゆるいと伸びやすかったり、なかなかコバがきれいにまとまらなかったりと扱いが難しい部位だったりします。

また、ハギレパックなどの一番の難点は厚みがバラバラであるという点。また改めてnoteで触れられたらと思いますが、レザークラフトにおいてどのくらいの厚みの革を使うか、どのように厚みを調整するかはとーっても重要。

ですが初心者の方には厚みを調整する術がありません。初心者で革漉き機を持っているという方は至極稀でしょうし、手作業で革を漉く方法もありますが難易度は高め。初心者の方ほど厚みがバラバラのハギレをどうすることも出来ずお手上げ状態になってしまうわけです。

もし皮革購入の選択肢が「半裁か、ハギレか」の2択しかないのであれば仕方ないですが、今は一定のサイズに切り分けられ、厚みも調整されたカットレザーが豊富に売られています。

ハギレは「切る」「縫う」「漉く」「コバを磨く」など個別の基本技術の練習に使い、何か作品を作る際には皮革の種類も明確で厚みの調整されたカットレザーを活用するのが良いのではないかな、と思います。

2-3.無料ネットの情報を効果的に利用するには?

必要な情報が無料で手に入るWebはとても便利です。私も様々な職人さん、クラフターさんたちが発信する情報をネットから得て勉強させて頂いています。教則本にないような工夫されたテクニックなど、有益な情報がたくさんありますよね。

ただ、ネット上の情報に触れる際に気を付けておいた方が良いと思う点もあります。それは「良くも悪くも、作り手のクセが強い」という点。

例えば、私自身もネットで情報発信をしている一人ですが、作り方にはかなりクセがある方だと自覚しています。CADで型紙を作って、しつこい位にマーキングをして…なんて面倒な方法は教則本にはありません。私なりに、作品をキレイに作るために試行錯誤した結果、行き着いた方法です。

この「私なりに」という点が「作り手の個性・クセ」という部分。恐らく、自分も含めてですが情報発信をしている人の多くは、まず教則本などに載っているセオリーとされる方法を試し、さらに上手くなるために独自の方法論を模索し、身に着けたものをシェアしていると思います。

試しにYouTubeで色々な方の動画を観てみると分かりますが、同じようなアイテムでも全く同じ作り方をしている人は皆無。構造にしても、そもそもの設計思想が違ったり、道具の使い方が微妙に異なっていたり、手縫いの仕方も様々。どれが正解という訳ではなく、人それぞれ。まさに「個性」です。

ネットの情報は便利な半面、こうした個性の強く出る情報に広く触れることになるので、初心者の方は逆に混乱してしまうのではないかな、と個人的には思っています。

また、ネット上ではアフィリエイト収益を得ることが主目的のブログ等もたまに見かけます。実際に所有・使用している道具の写真や制作風景、作品等の画像がほとんどなく、アマゾンアフィリエイトのリンクで必要な道具を「オススメ」しているもの。ヒドイものだと他人の写真を勝手に使っているものまで…。一見、情報がまとまっていて便利なように思いますが、きちんと経験・体験に基づいた「オススメ」なのか見極めが必要です。

なので、私は初心者の方は一度入門書などに目を通してセオリー的な手法を基礎知識としてインプットしておいたほうが良いと思っています。もちろん入門書も書き手によって個性はありますが、基本とされる道具の使い方や制作手順などは掴めるでしょう。

その上でネット上の様々な情報に触れると、作り手ごとの「個性」がより分かるので気づきや学びが多いと思います。基礎知識がないうちは「ふーん」と見過ごしてしまっていたことが、「あぁ、こういう工夫をしているんだ!」「こんなやり方もあったんだ!」っとネット情報をより有益なものにできるわけです。

私も最初はネットの情報だけで何とかやりくりしようと考えていましたが、一度体系的に基礎知識をインプットしておいたほうがよいと思い入門書にいくつか目を通しました。おかげでネット情報を有効に活用できたと思っています。

「レザークラフト関係の本ってどれも高額…」
「一般の書店ではなかなか置いていない」
「通販では内容が確認できないから躊躇ってしまう」

そんな方は図書館がオススメ。私も実際に利用しました。

私の住んでいる自治体ではインターネットで市内複数箇所の図書館の蔵書検索できます。そして、借りたい本があった際には仮に遠くの図書館の蔵書でも、自宅最寄りの図書館で貸し出し・返却をしてくれるサービスがありました。もちろん図書館の利用者証があれば無料で利用できます。

さすがに刊行されたばかりのものはありませんでしたが、レザークラフトのバイブルと言われていた『革工芸 手縫いの真髄』、野谷久仁子さんの『手ぬいで作る革のカバン』、『レザークラフト技法事典』などは図書館で借りて読むことができました。是非一度、お住いの自治体サービスを確認してみてください。

3.まとめ

いかがでしたか?「もし、初心者の頃の自分に声をかけてやれるなら」と想像しながら書いてみました。失敗も経験のうち。たくさん失敗したほうが学び上達できる側面はありますが、一方で初心者の頃のつまづきは諦めや挫折にも繋がりやすいと思います。

あぁやっぱりレザークラフト無理かも…なんて思っている初心者の方が、この記事でもう一度挑戦してみようと思ってもらえたら嬉しいです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?