大谷で知った暗がりの表現

週の途中にできた突然の祝日

朝の空模様は何とも言えないものだった。

天から10億円が降ってこないかと願うことの無意味さに祈り始めて30分が経過してから気が付いた。

何もしないのももったいないと思ったため、栃木県宇都宮市にある大谷石採石場跡に向かうことに。

大谷石採石場跡はその名の通り大谷石を採掘していた場所の跡地で、今は様々なCMやMV、特撮なんかの撮影によく使われている。

現在、そこでは昆虫写真家である栗林慧さんが撮影した写真のプロジェクションマッピングが行われている。

そんな情報を持っていたので以前から気になっていた場所だった。


到着は10時ごろだったが、すでに多くの車が止まっていた。

どこに向かえばいいかわからなかったので、とりあえず平和観音という大きな観音様の近くまで歩くことに。

平和観音がそびえる広場にはそこそこの観光客と実験のようなものを行っている集団が。

話を聞いてみると、観光地向けの小さい電気自動車の実地試験らしい。

採石場周辺は道が狭く、お盆時期などは多くの車で結構な渋滞が起こるそう。

それの解消のため、試験的に運用しているらしい。

目的地まで乗せていってくれるらしいので、せっかくなのでお言葉に甘えることにした。

電気自動車への搭乗経験が多くないため、エンジン音が聞こえないのはなんだか新鮮だった。


目的地の駐車場に到着して少し歩くと、さっそく展示の入り口が見えてきた。

入場は無料 少し驚いたが退場の時に何か買おう、と思いありがたく中に入らせてもらった。

中の温度は11度、少し肌寒いくらいだが、到着したころは少し照っていたのでちょうどいいか、なんてことを考えたりしていた。

いや寒いわ舐めてました許して

入って少し歩くと壁面に大きくホタルの写真が映し出されていた。

るろうに剣心の最初のところだ~ とか ヘルヘイムだ~とか考える間もなく、大きな穴から日が差す場所に映るホタルが新鮮で見入ってしまっていた。

また奥にはさらに大きくアカタテハやアオクサカメムシが羽ばたいていた。

写真だけでなく、種を運ぶクロナガアリやバッタを捕食するオオカマキリなどが映像として流れていた。

映し出される写真の多くは背景が真っ黒であり、その昆虫の動きがはっきりわかるものだった。

これまでにない迫力で映し出される昆虫たちを眺め、その美しさを再認識した。


退場の際に栗林さんの薄い写真集を買った。

栗林さんが特に思い出深い写真を集めた、という説明の写真集であり、いずれも綺麗で帰ってすぐにじっくり眺めてしまった。

栗林さんといえば、被写体の生態に限界まで迫った迫力満点の写真 というイメージが強かったが、特に心を惹かれたのは背景が暗い写真たちだった。

自然の暗さの時は、影の部分を含めた美しさが際立ち、いつまでも眺めていられるとまで思った。

藤子・F・不二雄の漫画における好きな表現に「明るい暗さ」というものがある。コマの中の色は白が多いはずなのに全く暗く見える、というものだ。

心を動かす表現というものは暗い中にあるのかなあ なんて珍しく少し感銘を受けたりした。


ちなみに写真はない なぜならカメラを忘れたから

そうゆうとこやぞ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!


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