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【俳句連作20句】ぐるり

ぐるり
いづこより迷ひ来た麦かと思ふ
野茨が視覚をずらしつつ咲きぬ
蛇動きけり水の中蓮の中
萍の犇めき合ひて微動して
白繭のわづかな重さおそろしく
夏帽子から夏の日の匂ふなり
たとふれば夏野に拾ふ首飾り
毛虫焼くゐたかもしれぬ姉のため
硬き草連なりてをり夏の風邪
青葉靴乾いた音を立て止まる
夏雲のいま木を人を追ひ越して
葉を虫は食み進めたり日の盛
ほそく息吐けばつめたき青田かな
緑蔭や平行四辺形に家
ががんぼと呼んでやうやく結像す
土手に日の名残ただよふみづあふひ
七月や川面に膜のひび割れて
空蟬を包みて歪む暮色かな
河原風その延長の揚花火
箱釣やみなくらがりを随へて

第23回炎環賞 応募作品20句

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