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やってみせ 言って聞かせて させてみて 誉めてやらねば 人は動かじ

こんにちは。はこにわガジェットです。
当マガジン「マネジメントハッカー」では主にマネージャーやリーダーの方を対象に仕事のマネジメントに関わるノウハウやTIPS等をお伝えしていきます。

今回のテーマはこちら。

部下の仕事に対するモチベーションが高まらない

こんな課題に対して、私はいつもタイトルにも記載したこの格言を心がけて対応しています。

やってみせ 言って聞かせて させてみて 誉めてやらねば 人は動かじ

こちらは大日本帝国海軍 山本五十六氏の格言です。
今日はこの格言を今日のビジネスの場で実践するプロセスをご紹介しましょう。

そもそも仕事に対するモチベーションとは

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そもそも、仕事に対するモチベーションとはどういったときに生まれるのでしょうか。人間だれしも1日は24時間で、大きく分ければ仕事の時間とプライベートの時間に分けられます。

仕事がつまらない・嫌だという人は良く見かけますが、仕事をしていない時間はプライベートの時間なわけです。ではなぜプライベートの時間は良くて、仕事は嫌なのでしょうか。そこにはどんな差があるのでしょうか。

モチベーション理論で非常に良く知られているのが、マズローの5段階欲求説です。これは、人間の欲求を以下の5段階に分けて説明しています。

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・自己実現欲求:自分の可能性や能力を高めたいという欲求

・承認要求:他人から認められ、尊重されたいという欲求

・社会的欲求:集団への所属や連帯感の欲求

・安全欲求:自身の身の安全や安心を守りたいという欲求

・生理的欲求:食事・睡眠など生きるために必要な本能的欲求


上位の欲求ほど高位であり、現代社会において仕事のモチベーションは社会的欲求以上のレイヤーで生まれていると言われています。私自身の経験からは、この高位のレイヤーの欲求に関係が強いと感じるのが、エドワード・L・デシの自己決定理論です。

自己決定理論

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自己決定理論では基本欲求として以下の3つの欲求が挙げられています。

・自律性:自ら行動を選び、主体的に動きたいという欲求

・有能感:何かを成し遂げて、周囲に影響力を持ちたいという欲求

・関係性:他者と結びつき、互いに尊重しあう関係を作りたいという欲求

この3つの欲求を満たすことができれば、仕事上でもモチベーションが上がってくると言われています。

例えば、作業を事細かに指定されて考える余地もない仕事ですと、自ら考えて改善しようという気が起きないですよね。
これは自律性が低いことでモチベーションに悪影響を与えていると言えます。

また、誰の役にも立たない、意味のない仕事をしているのであれば、たとえ給料がもらえていても仕事の満足感は低いでしょう。これは有効性が棄損されている例と言えます。

最後の関係性は、まさに仕事をすること事態で満たされると言えます。全く人と関わらない仕事は、今日ではほとんどないですからね。

プライベートでは自分がお金を払って好きなことをできますので、基本的欲求である自律性・有能感・関係性の3つが満たされやすいのでしょう。

一方、仕事はどうしても自分の好きなことだけをやるというわけにはいきませんから、その中のでいかにして上記の欲求を満たすか、マネージャーの目線で言えば、どうやって部下の基本的欲求が満たされる職場環境を作り出すか、が課題となります。

自律的に仕事をするまでのステップ

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私は、この3つの欲求の中でも、特に自律性が重要だと考えています。

自律的に仕事をする人は、自分の仕事がどうしたらもっとよくなるかを誰に言われずとも自分で考えて勝手に改善していきます。自分で工夫した仕事は面白いですし興味が焼きます。するとモチベーションも向上し、そうなると、自ずと成果も上がってくる訳です。

しかし、自律的に仕事をさせることは簡単ではありません。
「もっと、自分で考えて動け」とか「仕事に興味を持て」とマネージャーが言っても、本人が心からそう思わなければ行動は変わってきません。

余談ですが、人間の行動が変わるためには、価値観が変わる→判断が変わる→行動が変わる、というステップが必要だと言われています。行動を変えるには価値観の変容が重要なのです。

では、部下が仕事に興味を持つようにするには、マネージャーはどんな工夫をすれば良いでしょうか。

この問いに対して、私はこれまで2つの工夫をしてきました。
それをご紹介します。

1.部下の興味と仕事のベクトル合わせ

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一つ目は部下の興味と仕事のベクトル合わせです。

人間誰しも、好きなことがあれば嫌いなことがあり、得意なことがあれば苦手なことがあるものです。そして、仕事は自分の好きなこと、得意なことをやった方が成果が上がります。

そうは言っても仕事は選べないし、好きな仕事ばかりやっていたら誰もやりたがらない仕事はどうするのか?という疑問が出るでしょう。

その通りです。
好きな仕事ばかりできるほど世の中は甘くできていません。
ただ、逆にどんな仕事も全てつまらないと言うことはなく、仕事の中に少しはその人の興味が持てる部分、楽しいと思える部分があるものです。この興味の持てる部分は人によって違います。

ある人は人と話すことが好きだったり。
別の人は一人で集中して分析することが好きだったり。
また別の人は他人の手伝いをすることが好きだったり。

ある人にとっては興味のない分野の仕事でも、他の人にとっては興味のある仕事だったりするのです。マネージャーは仕事をうまく配分して、その人が好き・面白いと思える仕事の割合を増やしていくのです。

しかし、部下の興味がある分野を把握するのは難しいですよね。
本人に聞いてもはっきり答えられる人はまれです。
そこで活用できるのがキャリアアンカーです。

キャリアアンカー

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キャリアアンカーとはマサチューセッツ工科大学の博士によって提唱されたキャリア理論です。「アンカー」とは船の錨(いかり)のことです。その人のキャリアにとって、船の錨のようにその根底にある考えを指すものです。

キャリアアンカーでは、人が仕事をする際に大切にする価値観を以下の8つに分類しています。

・専門コンピタンス:専門性を高めたい。
・全般管理:出世したい。組織をマネジメントしたい。
・保障・安定:安定した仕事をしたい。
・起業家的創造性:新しいものを作りたい。
・自律と独立:人に指図されず自由にやりたい。
・社会への貢献:社会的に意義のあることをしたい。
・ワークライフバランス:仕事と家庭を両立したい。
・純粋なチャレンジ:競争・挑戦をしたい。

私はこの8つを書き出して、部下にこの中で自分の考え方と合うものを上位3つ教えて下さい、という質問をしています。これなら大体の人が選べますし、その人の考え方の傾向をつかむことができ、非常に有効です。

2.部下の小さな興味を大きく育てる

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さて、こうして部下が少しなりとも興味の持てる仕事をアサインできたとします。しかし、まだまだ自律的に仕事に取り組む姿勢までは至っていません。ここからが勝負です。

ここで私が実践しているのが冒頭に引用した格言「やってみせ 言って聞かせて させてみて 誉めてやらねば 人は動かじ」です。

部下が自律的に動くまではマネジャーは辛抱強く育て、待たねばなりません。新しい仕事を任せる際は以下のステップで行います。

1回目:マネージャー自身で行う
まずは1回目はマネージャー自身がその仕事を実践し、やり方を見せます。

2回目:マネージャーが主体で行いながら部下に手伝わせる
2回目はマネージャーが主体的に進めながら、部分的に部下に手伝わせます。

3回目:部下を主として仕事を進める
3回目は部下に主体的に仕事を進めさせ、マネージャーはサポートに徹します。この際、進捗が悪いとか少し間違っているからといってすぐに口を出さず、辛抱強く見守ることが重要です。マネージャーが口を出しすぎると、部下が自分で仕事をしている感覚が薄れ、やらされ仕事になります。部下の「自律性」を尊重しましょう。

そして、部下が初めて自分が主体的にその仕事を完成させたら、良いところを見つけて誉めましょう。もちろん、マネージャーから見れば不十分な部分はあるでしょう。しかし、今はその不足を指摘すべきタイミングではありません。部下が工夫した点、自分で考えた点を大いに評価するべきです。

このように、部下と進める仕事が今どのステップにいるかを管理しながら、徐々に部下に主体性を持たせて仕事を進めていくことができるのです。

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