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詩「御守りが壊れた日」

泥の中に咲いた花
罅割れた鏡の向こうの世界
手を振る少女の瞳を覗く
夢はもう消えたのね

蕾が開く音を聞く
焼け野原に並んだ約束たち
爪を剥いで数えたら
指は二十本ありました

あの頃はもう戻っては来ないって
その延長線にいまがあるって?
認めたくないからって
逃げられもしないんだって

ねえどうしてなの教えてよって
誰も知らないことなんだって
こんなに喚いても変わりはしなくって
地団駄踏んで 駄々こねて

あなたが教えてくれたこと
いまになって
ああなんて
眩しいほどに降り注ぐ

明けない夜と止まない雨
傘とランプでしのいできたの
冷たい海に浸かって見上げる
空に星はありますか

静けさの中の騒がしさ
キレイなものが消えていく
千の針を飲んでも終らない
痛みを飲み込む術を教えて

死んでしまえば知らなかったことだったって
知ってよかったかもしれないって?
認めてしまえばいいのって
逃げたくないんだからって

ねえどうしてなの教えてよって
誰も知らないことだったって
どんなに喚いて泣いて叫んで
届かないこと 知りたくないよ

君が教えてくれないこと
どうしてこんな
もどかしい
身に沁みて痛いよ

助けを乞うた
形振り構わず
もう終わるって決めたから
みっともないのはこれで最後
開けた空からまた降り始める
雨が ねえ雨粒が痛いよ

きっと大丈夫
何度唱えて
きっと大丈夫になるよ
きっとなりたいから

あなたが教えてくれたこと
いまになって
ああなんて
眩しいほどに降り注ぐ


昨日、終わりを意識して、出かけた。
結果、道が開けて、終らせることをやめた。
そして、御守りが壊れた。
悪い事、終わろうとした日に、
御守りが壊れたのは二度目だ。


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