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北海道における法人住民税の超過課税 道内企業の売り上げの行方

こんにちは
函館減税会です
すべての増税に反対し、減税を実現するための活動をしています。

前回、函館市(基礎自治体)の法人住民税を取り上げました。

今回は北海道(広域自治体)の法人住民税について取り上げます。
企業は市に住民税を払っているのと同様に、道府県にも住民税を払っているのです。

前回も書いた通り、法人税は企業にとっては費用(コスト)ですから
できるだけ法人税の小さい場所で企業活動を展開しようとします。
また、函館市を含む北海道の各自治体では、働き口を確保するために
企業誘致に取り組んでいます。

しかし、北海道では、標準税率よりも多くの税を徴収する超過課税を法人住民税で実施しています。そこで今回は、北海道における法人住民税の超過課税について書いていきます。


北海道の法人住民税

法人住民税とは何か。基礎自治体と広域自治体ごとの割り当て

前回のおさらいになりますが、法人住民税は地方税制度の一部で、次のように説明されています。

法人も個人と同様に、地方団体(都道府県と市町村)が提供する行政サービスを享受しています。そこで地方団体は地域社会の会費として、その構成員である法人にも、個人と同様に幅広く負担を求めています。これを法人住民税といいます。

総務省 地方税制度 法人住民税

法人住民税には均等割法人税割があります。

  • 均等割は企業の規模に対する定額課税

  • 法人税割は企業の法人税額(つまり利益に応じた額)に対する定率課税

今回の記事は令和4年度までの決算カードを基に作成しており
令和4年度時点では法人税割の超過課税のみが確認されました。
そのため今回は法人税割のみに注目していきます。

法人税割は企業の法人税額に対して定率で課税されます
つまり、法人は利益に対して次の3つが課税されるのです

  • 国から課される法人税

  • 法人税額に定率課税される道府県民税

  • 法人税額に定率課税される市町村民税

また、税率は次の様になっています

  • 法人税率は原則23.2%

    • 区分により変化

  • 法人道府県民税の標準税率は1.0%

  • 法人市町村民税の標準税率は6.0%

北海道における超過課税。他府県との比較

北海道の法人住民税法人税割の税率は1.8%です。
標準税率のおよそ倍額を課税していることになりますね。

比較のために、他の広域自治体の法人住民税法人割の税率を確認しましょう。総務省が出している、法人住民税・法人事業税税率一覧表で確認できます。

  • 静岡県 1.0% (標準税率)

  • 東京都 2.0% (※市町村民税相当を除いた税率)

  • 大阪府 2.0%

  • 他のすべての道府県 1.8%

驚くべきことに、ほぼすべての都道府県で超過課税になっています。
企業ならカルテルの疑いがもたれるレベルですね。

法人住民税の超過課税を辞めるための施策

減税のための歳出削減目標

減税は歳出の削減によって成し遂げられます。どの程度の歳出を削減すればよいかを確認するために、北海道の法人住民税の税収を確認します。

北海道の超過課税の額については、総務省のWebページで公開されている、決算カード(都道府県版)で確認できます。各年度の決算カードの中央付近に地方財源が書かれています。

次の図は、近年の北海道法人住民税の税収の推移を表しています。

北海道の法人住民税法人割の税収

近年の法人住民税法人割の超過税収は概ね32億円程度のようです。
32億円程度の歳出を削減すれば、法人税割の超過課税を廃止できます。

歳出削減の方法

歳出削減のためには、歳出削減と減税を訴える人を集めて、政治家を動かすしかありません。そのために、減税会として数のまとまりを作るというのが我々の活動です。

政策実現のための財源を考えるのは政治家の仕事なので、有権者は歳出削減と減税のみを訴え続ければよいです。

一方で、近年では対案を示すというのが政治家・民間を問わず求められていると認識しています。歳出削減のために、北海道の法人住民税法人割が何に使われているか、使途を確認しましょう。

法人税割の使途は基本的に以下の二つです。

  • 北海道の一般財源予算

  • 地方交付税の財源の一部

一般財源予算については、事務事業評価を通して無駄な歳出を選出できます。

そのほかに、法人住民税は地方交付税の財源の一部になっています。
さらに、かつての法人住民税は近年地方交付税財源として創設された地方法人税と法人税割に分割されています。(総務省の地方法人税のWebページを参照)

地方交付税は以前のnoteで説明したように、地方自治体の依存財源の最大のものです。興味深いことに、地方税の一部が交付税財源になり、地方に交付税として配られる、という取って配る構図があるのです。北海道は地方交付税の交付団体ですから、まさに取ってさらにもらっているという二度手間税制になっています。これは、地方法人税によって実現されています。

地方法人税を無くすためには、国の法律を改正する必要があります。
全国規模の減税活動が必要ですね。

まとめ

前回のnoteで扱った内容と同様に、北海道でも法人住民税の超過課税がなされていることがわかりました。また、北海道のみならず、静岡県を除くすべての都道府県で超過課税がなされていることが分かりました。不思議なことにほとんどの超過課税の税率が1.8%でした。偶然とは思えません。

さらに、今回調べていて初めて知ったこととして、地方法人税という税があります。取って配るなら取るなというのがよく言われます。次回以降に、地方法人税についても調査しようと思います。

様々な減税会で事務事業評価の勉強会が開催されています。函館減税会でも、これから活動の一つとして事務事業評価に関する調査等を行っていこうと計画しています。皆さんのちからで減税を実現しましょう!

参考資料


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