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さぁ、公開初日。この映画は木村知貴と一緒に作った。

はじめまして。映画監督の大西諒です。

これは、4年ほど前までサラリーマンだった
僕が『はこぶね』という映画をつくり、
公開初日を目前に控えて書く制作経緯の1回目です。
宜しくお願いします。

自分の為に書いた物語が長編映画に変わるまで

サラリーマンとしておよそ10年、激しかった仕事をして
ちょっと疲れていた僕は、ひょんなことで映画学校に通いはじめた。

映画学校では、
自分が今までに感じてきた事を物語に変換することが、
疲れた自分にとって一種のセラピーの様になることを学んだ。

『はこぶね』は、中途失明で視力を失った主人公の話ではあるが、
あくまで僕が僕のために書いた物語だ。

自分を責め、赦し、認める過程のように、
泣きながら自分の為に書いた脚本だった。

人に見てもらえるかどうかわからない、
"自主映画"という臨界点で、僕はただ自分の為だけに書いていた。

そんなプライベートな脚本を、
俳優の木村知貴が気に入ってくれた事によって
話が大きくなっていった。

これは木村さんと初めて会った日に、もらったメールだ。

大西さま
本日はお疲れ様でした。
脚本が自分自身、とても好きで参加させて頂き、有意義なオーディションでした。ありがとうございました。
本日冒頭に、監督が映画祭等に出していきたいと述べられ、改めて思った事なのですが、初めて今の脚本読んだ時にも思ったんですが、これを膨らませて長編でも行けそうだなと。加えて、今年中に完成させたとしても、短編だと国内外、来年の映画祭。いや、来年はまたオリンピックがありますし、そもそも映画祭自体どうかなと。長年色々と映画祭等に参加していると思う節もありまして。
多分、早々と世界規模でコロナ以前、コロナ以後の映画が出てくるはずです。偉そうな事を言ってますが、いま何を作るべきか、僕には分かりません。でも、この脚本、作品はなんらかの形で世に出なければいけない作品だと勝手に思ってます。
長々とすみません。脚本が好き過ぎて言わなくてもいい事まで言及してしまいました。戯言程度に留めて下さい。
木村

2020年4月5日

ここから今日まで3年半経ったが、

・短編だった脚本の長編化と撮影準備を進めながら、
・嵐の様な撮影の後、編集を進めながら、
・宣伝配給の相談をしながら、

そんな制作過程を一緒に進めながら、その後に飲む酒はいつも楽しかった。
一人のサラリーマンだった僕が行った事のない
何軒もの店で毎月朝まで飲んだ。

やたら酒好きだけど、酒に強くはない木村さんは
僕を連れていった先の店でいつも先に寝てしまうのだが。

色んな木村さんと、『はこぶね』の木村知貴

木村知貴は言葉にするのが苦手だ。
何度も「ちゃんと言葉にしてほしい」と喧嘩をした。
でも単に使う言葉が違うだけなのだと思う。

木村知貴は芝居で語る。
僕には絶対に言葉にできない感情を、歩みを、
心と体をつかって語る。そんな俳優だ。

3年半、色んな木村さんを見てきた。

・短編しか作った事のない完全に無名な僕を、
 キャリアで判断しない木村さん。
・芝居をする時は、いつも楽しそうな木村さん。
・シラフの時に我慢してくれても、
 酒を飲んだ後には吐き出す木村さん。
・積み上げてきた信用を使って、
 全身全霊で宣伝して下さる木村さん。

そして、抜群の説得力で主人公の
西村芳則を演じた『はこぶね』の木村さん。

長いようで短かかった3年半。
映画を作るのが、こんなに大変だとは思わなかった。
だけど、ついに劇場公開だ。
ついに『はこぶね』の木村知貴を多くの方に見てもらえる。

期待も不安もあるが、ただ楽しみたいと思う。
『はこぶね』の主人公 西村がその人生をしっかり見つめる様に。

『はこぶね』は8/4(金) ~ 8/10(木)まで1週間、
テアトル新宿にて連日20:50~レイトショーで上映されます。

今夜遅く、日付変わって8/2(水)24時(0時)から
8/4(金)公開初日分のチケット販売が開始
されます。
こちらのテアトル新宿特設ページからの販売です。

映画を通してつながった出会いに感謝。
皆様、ぜひ『はこぶね』をご覧頂けると嬉しいです。
どうぞ宜しくお願い致します!

『はこぶね』監督 大西諒

映画『はこぶね』(2022)

■キャスト
 木村 知貴、高見 こころ、内田 春菊、外波山 文明、
 五十嵐 美紀、愛田 天麻 、森 海斗、範多 美樹、高橋 信二朗、谷口 侑人

■スタッフ
 監督•脚本•編集:大西 諒     撮影•音楽:寺西 凉
 録音:三村 一馬         照明 :石塚 大樹
 演出•制作:梅澤 舞佳、稲生 遼     美術 :玉井 裕美
 ヘアメイク:くつみ 綾音      題字:道田 里羽
 宣伝企画:川口 瞬、山中美友紀    宣伝イラスト:野本 修平
 宣伝美術:鈴木 大輔
 2022年 | 99分 |日本 |シネマスコープ |宣伝・配給:空架 -soraca- film

■受賞歴
第16回 田辺・弁慶映画祭 弁慶グランプリ&観客賞&フィルミネーション賞&俳優賞スペシャルメンション(木村知貴)
第23回 TAMA NEW WAVE グランプリ&ベスト男優賞(木村知貴)

■お問い合わせ
 宣伝・配給: 空架 -soraca- film / soraca.film@gmail.com

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