養子縁組とは?
養子縁組は、様々な事情により実の親によるこどもの養育が難しい場合や、同性カップルの間で法律上の家族関係になる場合、 相続税対策で利用されることがあります。
そこで今回は、養子縁組の全体像をご一緒に見ていきましょう。
養子縁組とは?
養子縁組とは、血縁関係にない人の間に法律上の親子関係を作る制度です。
普通養子縁組とは? 特別養子縁組とは?
養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。
普通養子縁組の場合は、実親との親子関係が続きます。一方、特別養子縁組の場合は、こどもの保護・福祉を目的としているため、実親との親子関係は終わります。
普通養子縁組の手続の流れは?
STEP1 必要書類の準備
養子縁組届1通(成年の証人2人が署名したもの)
戸籍謄本(養親・養子の本籍が届出地の市区町村でないとき)
本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証等)
家庭裁判所の許可書謄本(家庭裁判所の許可を必要とする場合)
STEP2 届出
次のいずかの市区町村の窓口に届け出ます。
養親または養子の本籍地
養親または養子の住所地
STEP3 入籍
届出をした日から法律上の効力が発生します。戸籍に反映されるのに2週間程度かかることがあります。
特別養子縁組の手続の流れは?(児童相談所に里親登録をする場合)
STEP1 児童相談所に相談
児童相談所(フォスタリング機関:立川市の場合は愛恵会乳児院)に「養子縁組里親になりたい」ことを相談します。
STEP2 里親登録・試験養育
児童相談所で申請要件の確認、研修の受講、申請、家庭調査、児童福祉審議会里親認定部会での審議を経て、東京都知事が認定登録をします。
その後、お子様とマッチングを行い、おおむね6ヵ月間の試験養育を行います。
STEP3 家庭裁判所に申立て・審判
試験養育を経て、こどもと里親が新生活に慣れてきたら、里親が家庭裁判所に特別養子縁組の申立てを行います。
申立て後、家庭裁判所の調査(里親・実親への面談、家庭訪問など)が行われ、家庭裁判所が審判をします。
STEP4 届出・入籍
審判確定日から10日以内に、養親が特別養子縁組届を養親の本籍地または所在地の市区町村に提出します。届出をした日から法律上の効力が発生します。
養子縁組をすると相続はどうなる?
養子縁組をすると親子関係になるため、相続権が発生します。
普通養子縁組の場合は、実親が健在であればと一緒に法定相続人になります。特別養子縁組の場合は、実親との親子関係は終了しているため、養親のみが法定相続人になります。
故人に養子が複数いる場合
被相続人(故人)に養子が複数いる場合、相続税の基礎控除額を計算するときの法定相続人として数えることができる人数の上限が決まっています。
被相続人に実子がいる場合:養子のうち1人まで
被相続人に実子がいない場合:養子のうち2人まで
配偶者の連れ子を養子にした場合や、特別養子縁組である場合は上限はなく、何人でも法定相続人の数に含めることができます。
配偶者の連れ子がいる場合
配偶者に連れ子がいる場合、実親が結婚しても、義父・義母との法律上の親子関係は発生しません。
そのため、義父や義母が亡くなっても法定相続人になれません。
配偶者の連れ子にも財産を分けたい場合は、連れ子と養子縁組したり、遺贈や生前贈与の検討をおすすめします。
故人が孫を養子にしていた場合
被相続人(故人)の配偶者、父母、子以外の人が遺産相続をした場合は、税額控除を差し引く前の相続税額にその2割を加算するというルールがありますが、被相続人が孫を養子にした場合は、次のような扱いになります。
孫の親(被相続人からみると子)が健在である場合:養子である孫には2割加算が適用されない
孫の親(被相続人からみると子)が先に亡くなっている場合:その子(被相続人からみると孫)は代襲相続人となるため2割加算が適用される
養子にこどもがいる場合
普通養子縁組後に生まれた養子の子は、孫として代襲相続人となれます。
しかし、養子縁組前にすでに生まれていた養子の子は、祖父母との血縁関係がないため、代襲相続人にはなれません。
まとめ
養子縁組をすると相続にも影響が出ます。相続税対策に有効だからと縁組をしたら、実のお子さんや親御さんの関係がうまくいかなくなるということもあるかもしれません。
もしも、養子縁組について心配ごとやお困りごと、疑問がありましたら、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました!^ ^