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パートナーシップ合意契約とは?

パートナーとの共同生活は、いつでも順風満帆とはいかないものです。育った環境や価値観の違うふたりが共に暮らすので当然なのですが、できるならばトラブルは未然に防ぎたいものです。

そこで今回は、おふたりの関係性を明らかにし、共同生活を送るうえでの約束ごとを契約書にする、パートナーシップ合意契約についてご一緒に見ていきましょう。


パートナーシップ合意契約とは?

事実上の婚姻関係にあるおふたりの関係性や約束ごとを契約として書面にまとめたもの

異性間の法律婚カップルの場合は「婚姻契約(結婚契約)」といいますが、その同性カップル版です。「準婚姻契約」「同性パートナーシップ契約」ともいいます。

どんなときに必要?

・同居を始めるとき
・子どもを迎えるとき
・親との同居や、親の介護が必要になったとき
・事業を始めるとき
・自宅を購入するとき
・ローンを組むとき
・パートナーを受取人にする生命保険に加入するとき
・遺言書、任意後見契約、死後事務委任契約などを作るとき
・養子縁組をするときなど

パートナーとの間で契約書を作りたいと思ったときに、いつでも作ることが可能です。例えば、上記のようなタイミングが考えられます。

どんなことを決めるの?

・ふたりが愛情と信頼に基づく真摯な関係であること
・同居・協力・扶養や費用分担について
・共同財産・貯蓄・借金・ローンについて
・家事の分担について
・お互いの親との同居・お世話・介護について
・こどもの養育方法・教育方針について
・親族との交流・帰省・冠婚葬祭について
・病気・ケガ・事故・災害時の対処法について
・休日や記念日の過ごし方について
・お互いのプライバシー確保のための約束事について
・ケンカの解決方法について
・DV・不貞行為があった場合について
・離別時の財産分与についてなど

公序良俗に反しない限り、おふたりの間で自由に決められます。例えば、上記のような内容が考えられます。

医療・ケアに関する条項

契約書を作成するときは、ご自分やパートナーが病気やケガになったときに備えて、医療・ケアに関する条項を設けることをおすすめします。

法的な拘束力や救急・医療現場での強制力はありませんが、おふたりの関係を説明しやすくなります。

  • 治療の立ち会い・医師からの説明

第○条 甲及び乙は、そのいずれか一方が罹患し、病院において治療又は手術を受ける場合、他方に対して、治療等の場面に立ち会い、本人と共に、又は本人に代わって、医師らから、症状や治療の方針・見通し等に関する説明を受けることを予め委任する。

  • 入院時の付き添い・面会・手術同意書の署名

第○条 罹患した本人は、その通院・入院・手術時及び危篤時において、他方に対し、入院時の付添い、面会謝絶時の面会、手術同意書への署名等を含む通常親族に与えられる権利の行使につき、本人の最近親の親族に優先する権利を付与する。

  • 身体能力や判断能力が低下したときの生活のサポート

第○条 甲及び乙は、そのいずれか一方の身体能力又は判断能力が低下したときは、他方は一方の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を可能な限り援助し、一方の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況を配慮する。

公正証書で作ったほうがいい?

はじめは公正証書ではない「私文書」で作成し、必要に応じて公正証書で作成するのがおすすめ

公正証書とは、法律の専門家である公証人が作成する公文書です。

証明力に優れているため、ペアローンを組んだり、保険の受取人をパートナーにする場合に、金融機関や保険会社から公正証書で作成するように求められることがあります。

公正証書で作った場合に公証人に支払う手数料は13,000円~2万円くらいです。行政書士などの専門家に原案作成や手続サポートを依頼する場合は、それとは別に3万円~5万円程度の費用がかかります。

それなりの金額がかかるため、はじめは公正証書ではない「私文書」で作成し、必要に応じて公正証書で作成するのもよいでしょう。

公正証書作成の流れ

契約書を作るポイントは?

契約書を作ることでかえって行き違いやケンカの原因にならないように、第三者の専門家から意見を聞きながら、内容を決めるのがおすすめ

パートナーシップ合意契約の目的は、生まれ育った環境の違うふたりが、共に協力し合って人生を共に歩もうという誓いを具現化し、共に暮らすうえでの不安や心配ごと、トラブルになるおそれがあることについて、あらかじめ話し合い、取り決めをしておくことにあります。

そのため、契約書を作ることでかえって行き違いやケンカの原因になってしまっては本末転倒です。そうならないように、行政書士などの第三者の専門家から意見を聞きながら、条項を決めていくことをおすすめします。

そもそも不可能と思われる内容や、貞操義務に反するなど無効となりえる条項を入れることはできません。また、契約を取り消す場合には、原則としておふたりの同意が必要です。

また、第三者には効果が及ばない点にも注意が必要です。

まとめ

パートナーとは愛情と信頼で固く結びついているから、なにもわざわざ契約書を作らなくてもと思われる方もおおぜいいらっしゃるかもしれません。

しかし、約束ごととして書面にまとめておくことで、いざというときにきちんと話し合いがしやすくなり、より安定したパートナー関係を築くツールになることもあります。

もしも、心配ごとやお困りごと、契約書を作るうえでの疑問などがありましたら、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました!^ ^