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ゴードンだけがジンさ

とあるハードボイルド小説で、凄腕の暗殺者がジン・トニックを頼むセリフに憧れていた。

「ジン・トニック。ソーダとトニックウォーターのハーフ・アンド・ハーフで」

おお。何かかっこいい。

「ジンは、なんにいたしましょうか」

これまた凄腕の若いバーテンに問われた際の次のセリフである。

「ゴードンだけがジンさ」

おお。言ってみたい。

以来、男はジン・トニックを頼むならジンはゴードン一択。ソーダとトニックウォーターは、ハーフ・アンドハーフで頼むもの。

という不文律が、出来上がっていた。

そして北千住で初めて行った素敵なバーにて、言う機会に恵まれた。

「何にする?」

「ジン・トニックをソーダとトニックをハーフ・アンド・ハーフで」

「それはジン・ソニックだね」

「…」

「ジンは?」

「ゴードンだけがジンです」

「あ〜ゴードンはめっきり度数が落ちたからあんまり美味しくないよ。タンカレーにしとくね」

「…はい」

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#ここで飲むしあわせ

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