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「エグゼクティブのための生成 AI ガイド」。効果的なプロンプトを作成するための 10 ステップ

※この投稿は米国時間 2023 年 9 月 13 日に、Google Cloud blog に投稿されたものを独自に翻訳してこちらで紹介しています。


複数の関係者に調査し、組織が生成AIに着手するための10のステップとその他の重要なポイントをまとめました。以下は、その要約です。

わずか1年前まで、生成AIの概念はほとんど知られていなかった。しかし、今日、それはあらゆるテクノロジーの中で最も重要で、最も急速に進化する要素となり、企業のエグゼクティブたちは一様にその重要性に気づいています。

しかしながら、多くのリーダーはジレンマに直面しています。生成AIは新たな時代を切り開く可能性を秘めたテクノロジーであり、組織の運営を多面的に変革する可能性があることを認識している一方で、新しいテクノロジーへの即座の移行は容易ではありません。ここ数か月で初めてエンタープライズ環境で実用化が進んできたテクノロジーのため、特に未知の領域での導入には慎重さが求められます。

この課題に対処することは将来的に重要なテーマとなることは明らかですが、現在、多くのリーダーは何から始めるべきかに頭を悩ませています。

こうした緊急性とニーズに応えるために、「エグゼクティブ向けの生成AIガイド」を新たに作成しました。このガイドは、Google Cloud社内での経験やお客様の声をもとに、生成AIに関する業界のベストプラクティスや最新のトレンドなどを分かりやすくまとめたものです。

以下では、このガイドを参考にし、組織が生成AI計画の基本的なステップを進めるのに役立つ大まかなアプローチを紹介します。

特定の分野から始める

前述の通り、一夜にして全てを成し遂げることはできません。生成AIを導入する最初のステップは、どの分野でその恩恵を受けるかを絞り込むことです。例えば、カスタマーサービス、医療受付事務、企業活動、マーケティング資料の作成などが考えられます。分野を選定する際に以下の視点を考慮しましょう:

  1. 従業員が反復的なタスクに多くの時間を費やしている分野は何か?

  2. 標準化された手順に従う業務はどの分野に存在するか?

生成AIは手順の明確なタスクを自動化し、高速化するのに適しています。例えば、複数の情報源から情報をまとめる作業はその一例です。このような業務を効率化することで、従業員はより創造的で戦略的な業務に専念できるようになります。

  • クリエイティブな過程における支援:
    従業員がクリエイティブなタスクに取り組む際に、途中で行き詰まることがあります。生成AIは、アイデアの手助けをし、適切な文章が浮かばない時に支え、多彩な概念を繰り返し提示してくれます。その結果、これはいわばクリエイティブなプロジェクトにおける「いつも頼りにできる共同作業者」といえる存在となっています。

  • ハルシネーションと正確性の課題
    生成モデルは確率的な原理に基づいています。そのため、時折不正確な情報や「ハルシネーション」と呼ばれる合理性を欠くコンテンツを出力することがあります。情報の正確性がますます重要になるほど、インテリジェントアプリのアーキテクチャは複雑になるでしょう。基盤モデルが正確性を保証しきれないため、デベロッパーは根拠づけや情報検索の新たなスキルを身につける必要があり、特定のデータでモデルの出力を微調整する必要が生じることもあるでしょう。

  • 創造力と正確性のバランス
    生成AIを利用して能力向上を図る場合、そのユースケースが創造性を必要とするのか、正確性を求められるのかを明確に把握し、ますます複雑な技術が組み込まれる前に、社内プロジェクトで技術の経験を積むことが重要です。その後、新しいテクノロジーを顧客に提供する際により成功を収めるでしょう。

  • 社内データコーパスの有効活用
    社内で効果的に利用できそうな大規模なデータコーパス(「コーパス(Corpus)」とは、自然言語の文章や使い方を大規模に収集し、コンピュータで検索できるよう整理されたデータベースのことです。日本語では「言語全集」などとも呼ばれます。)が存在していますか?生成AIは、大量のデータを分析し、人間が見過ごす可能性の高いアイデアを浮かび上がらせてくれます。例えば、これまで分析の対象外だったデータに潜む貴重な情報を明らかにすることができたり、複数のレポートや記事から共通の要点を見つけ出すのに役立ちます。このような分析能力を駆使して、ナレッジベースや検索エンジンを構築し、従業員が必要な情報を手軽に見つけられる環境を整えることができます。


出典: Google Cloud の調査

特定の職種を検討する

分野を絞ったら、次に、生産性向上が求められる職種を選定することが重要です。たとえば、カスタマーサービスの場合、担当者は生成AIを活用して問題を効率的に解決し、マーケティング分野ではコピーライターがメッセージのバリエーションを拡げるために活用できます。

過去に見られた成功事例の中で、特に注目すべきは、従業員の定着率が低く、単調な業務が多い職種に生成AIを導入した企業です。こうした職種では、繰り返し作業が頻繁に発生し、従業員の不満が高まりがちです。生成AIを活用することで、単調な業務の負担を軽減し、従業員により重要な判断を委ねることができます。これにより、従業員の満足度、生産性、そして定着率を向上させる機会が生まれます。

たとえば、アメリカでは健康保険の事前承認が必要であり、そのプロセスは数兆ドル規模の産業ですが、MRIや専門医の診療承認には数時間から数日かかることがあり、患者にとってはストレスの要因となっています。主な原因は、プロセスの多くが紙ベースで行われていることです。他の例として、投資覚書の作成業務もあり、同じ情報を反復して収集する必要があります。生成AIは、こうしたルーチン業務を効率的に処理し、従業員がより充実感のある業務に専念できる環境を提供すると同時に、顧客にもプロセスの合理化の利益をもたらすことができます。


これまで筆者が数多く見てきた成功事例は、従業員の定着が難しいような職種に着目した企業のケースです。生成 AI によって単調さを最小限に抑え、より人間的で重要な判断を任せることができるようになります。


以下は、次のステップについての概要です。生成AIの活用において進むべきステップを示しており、これまでの説明に加え、以下のステップについて説明しています。

  1. 対象職種の生産性向上に必要なデータソースを特定する。

  2. 専門チームを編成し、生成AIのパイロットプロジェクトを開発する。

  3. 目的、目標、成果物、OKR(Objective and Key Results)を明確に定義する。

  4. プロンプト(生成AIへの指示文)を設計し、ユーザーエクスペリエンス(UX)とユーザーインターフェース(UI)を考慮する。

  5. 運用計画を策定し、大規模な機械学習モデルの管理方法を確立する。

  6. パイロット版のユーザーや活用分野を拡大していく。


冒頭の画像は、Google Cloud で Midjourney を使って「A mixed group of execs looking at a guide to generative ai in Bauhaus style(生成 AI ガイドを眺めるエグゼクティブの混合グループをバウハウス スタイルで)」というプロンプトで作成しました。

  • Google Cloud、AI &ビジネス ソリューション担当グローバル VP Philip Moyer

  • Google Cloud、AI 編集者 Michael Endler

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