となりの星は青い

寒い。
太陽が沈んだから、余計に寒い。

「太陽さんよ、もう少し照らしていかないか。」と、
西の空に向かって声をかけてみる。
「悪いけど、順番だ。こっち側も照らさなきゃ。」と、
太陽の声が降ってきた。

「太陽はいいよな、暖かくてさ。」と、
東の空からも声がする。
見ると、月が昇ってきていた。
「月の光じゃ、暖めるには足りないよ。」

月の光って、太陽が無ければ光らないんだっけ。
たしかに、太陽ほど明るくないし、暖かくもない。
でも、綺麗だ。
周りの星と一緒に光っているのを、つい見上げてしまう。

「月はいいよな、綺麗でさ。」と、
今度は太陽の声がする。
「太陽なんか、目も合わせてもらえないんだ。」
そりゃまあ、そうだ。だって、目が焼けてしまうから。

「君たちはいいよな、空にいられてさ。」と、
足元からも声がする。
「地球だって光ってるんだぞ。見てもらうどころか、踏まれてる。」
そりゃまあ、そうだ。だって、僕は地球に住んでるから。

「地球って、そんなに綺麗なのか?」と、
空に向かって聞いてみる。
「綺麗だよ。青く光っててさ。」と太陽は言う。
「綺麗だよ。街の明かりがいっぱいあってさ。」と月は言う。

足元で、ちょっと地球が照れたような気がした。

「地球が青いのって、海があるからだろ?」と太陽は言う。
「海って、綺麗なのか?」と月は言う。
「綺麗だよ。波があって、風があって、生き物がいっぱいいてさ。」

また少し、地球が照れたような気がした。

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