雨ってそういうもんだろ。

雨が降ってきた。
どうしていつも、傘を持ってない日に限って雨なんだろう。

「今日は一日晴れるでしょう。」と、
朝に見た天気予報は言っていた。
雨が降るなら、降るって言ってほしかったな。

「誰に言われなくても降るよ。雨ってそういうもんだろ。」
雨は、ぱらぱら降りながら、不機嫌そうに言う。

「まあ、そりゃそうだ。」
別に雨は悪くない。
仕方ないから、濡れて帰った。

それから、しばらく雨は降らなかった。

庭の乾いた土を見ながら、
「そろそろ降ってくれないかなあ。」とつぶやいたら、
その次の日にやっと降ってきた。

「誰に頼まれなくても降るよ。雨ってそういうもんだろ。」
雨は、さらさら降りながら、どこか照れくさそうに言う。

「まあ、そりゃそうだ。」
別に、僕のために降ったわけじゃない。
それでもありがたい。庭に咲いてる花も元気になるだろう。

雲の上から見ると、家の中にいる人間は見えない。
降ってる途中でよく喋っていたあの人、
最近、家から出てこないな。

「誰が見てなくても降るよ。雨ってそういうもんだろ。」
雨は、ぽつぽつ降りながら、寂しそうにつぶやく。

ずっと家にいるのか、
それとも、引っ越しでもしてしまったか。
もしかしたら、晴れの日にだけ出かけてるのかもしれない。

「誰に会えなくても降るよ。雨ってそういうもんだろ。」
と、言ってはみたけど。やっぱり寂しいね。

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