太陽の頼み事

「花火が見たい。」と言い出した。
花火といえば夜にやるものだから、
太陽にしてみれば、珍しいものなんだろう。

「線香花火ならあるけど。」
「いいね。」
「今からやるかい?」
「いや、今だと見えないや。」

ちょうどお昼時だし、太陽は真上って感じだ。
たしかに、その角度じゃ線香花火は見えないか。

「じゃ、夕方にしようか。」
「楽しみにしてるよ。」

そんな太陽の横に、昼過ぎごろ、うっすらと月が出てきて、
(花火なんて、珍しくもないのに。)という顔をしていた。
でも、あんまり太陽の機嫌が良いから、
何も言わないと決めた様子だった。

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