「好き」もわからない癖に、全人類に好かれたい病気。

 所謂「愛されたい症候群」とは、少し違う。自分のことが嫌いとか、自信がないとかそういうわけじゃない。ただ、本当に私のことを好いてくれている人間がどれだけいるかが気になって仕方ない。他人の評価なんざ、クソくらえと思ってるくせに、嫌われるのは嫌だ。
 『思わせぶり』というのが一番しっくりくるだろうか。今みんな思っただろ、「そんなやつストーカーに遭って当然だ」って。そうそう、そんなの私が一番わかってる。でも、やめられない。完全にシャットアウトする方法がわからない。最近、仲良くなる気のない異性へのLINEの返信の仕方を必死で勉強してる。だいたい、LINEもDMも得意じゃない。好きか、嫌いかも判別できない人間に、会話を強いるな。
 女の子は、こういう人嫌いでしょ。だから、女子ウケもカバーしないといけない。だいたい話すと「意外と喋るんだね」と言われる。そらそうだ、女子校出身、それも生徒会、自己主張の塊だもん。本当は、話しやすい明るい子になりたい。根暗からは程遠いな。それでも、どちらかと言えば好いてくれていると思う子もいる。ただ、私はどこのグループにも属せていない。
 バイト先でも治らない。公文的なところのオープニングスタッフをやることになった。小学生にビラ配り。小学生は可愛い。「お姉さん綺麗ですね」とか「お姉さんが一番可愛いからお姉さんからもらう!」とか言ってくれる。ただ、周りの目は冷たい。なぜか私の周りに女子のバイトは座らない、あの時はたまたまだったかもしれないが。社長は、バイト2日目から私に愚痴ってる。信頼されてるのか、それともなめられてるのか。

 1番自信があるのは(勘違いだと思うだろうけど)見た目だ。だから褒められても何にも嬉しくない。「そんなことないですよ」なんて口では返すけど、「こいつ顔しか見てねぇな」と内心思ってる。捻くれちゃってんだよな。「可愛いね」って言われると、心の中で「お前は顔だけだからな」と幼馴染が囁いてくる。そう、私が人を好きになれなくなった原因の一つの男だ。
 小学生に褒められて喜んでたじゃねぇかと思ったでしょ?年下は別なのよ。真に受けてもいいじゃん。勝手に「小学生は嘘つかない」と思い込んでるし。だから怖かったんだろうな、幼馴染に「お前は顔だけだからな」って言われたのが。ただ、顔だけは褒めてくれたんだと、思ってるから今でも自分の顔は好きなんだろうね。
 ネイルとか髪とかは褒められても、誰にでも言えんだろと思うし。別にいいんだけどさ。
 服とかメイク褒められるのは論外。私はこの服もメイクも好きじゃない。

 だから、性格を膜で覆うことにした。見えなくなれば気にならない。要は、ただの人当たりのいい人になろうとしてる。高校の友達には止められてる。やめた方がいい、また良くないことになるって。多分ストーカーのことを言ってるんだと思う。

 でも、考えて欲しい。私を作り出したのは、私じゃなくて、周りの目だ。やりたくてやった副会長も周りのために怒り役になって。周りの目があるから、会長と仲良くして、全員の仕事手伝って。周りの目があるから、服装もメイクもやりたいものを遠ざけて。それでも、顔だけ?みんなに好かれる条件は着実に押さえてるはずなのに。

 そこでいつも思う「てか、誰のためにやってんだっけ?」って。「誰に好かれようとしてたんだっけ?」って。でも、「周りに人はいてくれてるからこれでも良いのかな。」って、また周りの目に縛られてる。

 いっそ「なんとでも言えばいい。」なんて振り切れたらいいのに。

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