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境界確定費用って高い!?

土地家屋調査士 松本悟

土地の境界を決める手続き、「境界確定」の費用ってご存じですか?

例として 住宅地で150㎡前後、市道に面しており、市との官民境界と隣接地が3件 現地は高低差なく、測量の難易度も資料との整合性、隣接地権者と依頼主の関係性も良好なケースです。(条件良すぎますが・・)

相場としては50万前後です。

一般的な感覚からすると少し高いと思います。私もこの世界に入ったのは親戚が土地の境界確定した際の費用をみて、儲かる!!!と思ったからなんです。

ちなみに私の師匠も同じく、家を買ったときに司法書士と土地家屋調査士に数分会っただけで何十万円も支払い、めっちゃ儲かる!!!と思って転職されたそうです。

さて、土地家屋調査士に転職し、実際に境界確定をして思うことは・・・

妥当な費用です。めっちゃ儲かりません。(資格勉強中の方はすみません)

製造業や小売りと違って人件費と交通費以外はほぼ使いません。しかし、初期投資に測量機器やCADと高額な投資が必要です。

そして何よりも、作業工程が多く、対人業務が多いので、効率化が難しく、作業時間的にみても妥当な値段になってしまうのです。

それではどんな工程があるのでしょうか?一連の工程をご説明いたします。

①登記情報提供サービスや住宅地図での調査

登記情報提供サービスにて近隣土地の図面、土地の隣接関係、隣接地の土地所有者を調査します。境界確定で立ち合う必要がある土地の調査、市への境界確定の申請適格があるか、法務局の図面と現地の位置関係等を確認します。

②法務局や市役所等の公共施設での調査

次に登記簿以前の資料を調査します。土地沿革や古くの図面等を確認します。ここまでやって、やっと測量作業の計画が立てられるようになります。

脱線しますが、私はこの作業が好きです。昔の図面や資料を確認することで土地の成り立ちや人の思いが判ってくるのがとても面白いのです。

例えば、大阪市内であれば、側溝の水面部分は民地である事がほとんどです。大阪市外は側溝は肩部分も含めて官地である事が多いです。これは、戦前以前、排水は家の後ろで行っており、その後、下水が整備され、雨水を家の前に排水するようになりました。排水は通常自分の敷地内で行います。そこで大阪市では水面部分が民地の中にあるのです。逆に大阪市外は人が増えるにしたがって、下水を設備し、側溝を作って、人を呼び込みました。官としては側溝は排水の為のものであるが、勝手になくされても困るし、公共のものなので官で管理することにしました。その名残から側溝は肩部分も含めて官地である事が多いのです。町の成り立ちが異なるため、境界位置が異なるのです。(これは所説あります。私はこの説が好きです。)大阪市外の分譲地でたまに側溝の水面部分が民地であることがあります。調べてみると大阪市内の業者が行っていたりするので、なるほど!と感動したりします。

③現況測量、確定測量

現地の測量です。よく勘違いされるのが、対象土地だけ測ると思われていることです。対象土地はもちろんの事、周辺の土地も測量します。これは周辺土地との関係性を見ないと境界位置がはっきりしないからです。現地状況と境界位置が大きく異なることもあり、周辺の測量と確認なしでは境界確定作業が行えません。皆様が思っているよりも時間をかけて、広い範囲を測量していると思っていただけると幸いです。

④官民境界確定の申請

資料を揃えて、担当行政へ官民境界確定を申請します。最近は郵送で出来るところも増えてきましたが、直接持っていくことが多いです。担当省庁によっては「が」「の」の助詞や句読点の修正を受けることもありますので・・・

⑤隣接地権者の捜索

登記簿を頼りに隣接地権者を捜索します。大半は現地にお住まいが多いですが、別所在の方も多いです。また、簡単には見つからず、近隣で聞き込みや張り込みする(探偵?)といった事もあります。

⑥境界位置検討と追加測量

官民境界申請で開示された資料や隣接地権者から頂いた資料と測量結果を基に境界位置を検討します。新たに入手した資料や検討の中で不足している測量データがあれば、再度現地で測量します。

⑦立合日程の調整

対象土地所有者、隣接地権者、関係人(行政や水利組合、区長等)の皆様の立会日程を調整します。出来る限り日数を減らすのが腕の見せ所です。

⑧立会準備

現地の境界付近にマーキングや立会時の説明資料を準備します。スムーズにご理解いただけるように説明の練習もします。

⑨立会

現地で対象土地所有者、隣接地権者、関係人(行政や水利組合、区長等)の皆様と立会します。境界位置がここになる理由をご説明し、境界位置を一カ所ずつ確認します。全員がご納得いただければ立会完了です。ご納得いただけない場合は資料準備の上、再度ご説明させていただいたり、お話を伺ったりして、納得頂けるまで何度も通います。

⑩境界設置

立会で決まった位置に境界標(金属プレート、コンクリート杭)を設置します。

⑪官民境界確定図面、筆界確認書の作成

立会で決まった境界位置で図面を作成します。官民境界の図面はかなり細かく、複数回修正が入ることもあります。(行政毎に仕様やルールが異なります。同じ行政でも毎年改定等もあり、時間がかかります。)図面が出来たら、対象土地所有者、隣接地権者、関係人の皆様に捺印を頂きに訪問します。

⑫官民境界確定図面の提出

捺印がすべて終われば、担当行政へ図面を提出します。内部の決済が終われば、官民境界の確定です。


以上が一般的な境界確定の手続きの流れです。手続きは多く、隣接地権者の捜索、意見が食い違うといった対人業務が多く効率化が課題です。今後も調査や測量といった作業工程を経験と新型機器導入で効率化し、よりリーズナブルな価格でご提供できるように精進致します。


株式会社マツモト/土地家屋調査士松本悟事務所

境界確定、測量、登記業務のご不明点があればお気軽にご相談ください。

info@hakarumirai.com

https://hakarumirai.com/

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土地家屋調査士 松本悟
大阪市の土地家屋調査士です。 土地家屋調査士は法務省管轄の国家資格で不動産の法律、測量の専門家です。 境界確定、測量、登記、建築規制の自分用備忘録として記載します。