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「筆界特定制度」について

今回は「筆界特定制度」についてご説明します。

「筆界特定制度」は平成17年に成立、公布され、平成18年から不動産登記法第131条の条文を基に各地の筆界特定室(法務局内)にて運用されております。

特に一般の方は土地の境界を決めてくれる制度と勘違いされているケースが多いですが、実際には元々ある筆界(原始筆界)を明らかにする手続きです。逆に境界確定訴訟は境界を作って決める(創設的)な手続きで、大きな違いがあります。

簡単に言うと「筆界確定制度」は土地の所有状況に関わらず、元々の土地の形状を明らかにします。「境界確定訴訟」は土地の所有状況で争い、新しく境界を設定するという違いがあります。そのため、筆界確定では現地の占有状況や構造物とは異なるラインで境界が決まることがあります。

筆界≒所有権界になるので注意が必要です。(重要です!!)

さて、そんな「筆界特定制度」のメリット、デメリットをご説明します。

メリット 

隣地所有者との境界位置の主張相違、隣地所有者行方不明の場合に境界を決め、登記手続き等を行える。これが「筆界特定制度」のメリットです。隣地との意見が相違しようが、行方不明であろうが、境界位置を明らかにして、登記手続きを行えるのです。

デメリット①

所有権界については決まりません。境界の位置については確定しますが、所有権界については確定しません。そのため、境界設置、占有解消、越境物解消といった所有権に関するものには効力を発揮しません。もちろん、法務局という公的なの第三者的立場から境界が特定されることで納得され、所有権も合わせて合意するケースも多いです。

デメリット➁

長期間の時間が掛かります。過去は1年以上掛かるケースがありましたが、最近は9カ月~12カ月で特定される事が一般的ですがそれでも通常の手続きより長期間かかってしまいます。

デメリット➂

費用負担です。「筆界特定制度」の申請手続きに合わせて、立会調査や更に広い範囲の測量が行われます。そのため、通常の境界確定よりも費用が掛かります。

以上のように大きなメリットといくつかのデメリットがあります。

個人的な意見としては今まで解決方法が非常に困難な「隣接地が行方不明」の場合の対処法として非常に良く出来た制度だと思っています。新聞やテレビでも社会問題として取り上げている空家問題がありますが、隣接地が行方不明のケースは年々増加傾向にあり、土地家屋調査士としては非常に困るところですが、この「筆界特定制度」であれば期間、費用がかかるものの解決できるというのは非常に助かります。そして、筆界特定制度では所有権界は決まりませんが、隣地が行方不明の場合、隣接地からの所有権主張の可能性が低いため、筆界特定で境界位置を安定させられる可能性も高いのです。

逆に隣接地との主張相違の場合は手続き前に隣接地と話をしておかないと筆界特定制度が無駄になる可能性があるため、注意が必要です。筆界≒所有権界のため、所有権界で互いに納得できなければ、筆界特定で境界が特定されても、境界確定訴訟に進んでしまえば、筆界特定の費用や時間が無駄になってしまいます。事前に筆界特定の手続きを行うことを伝え、法務局で境界を決めてもらったらそこで納得してもらえるのであれば使用してみてもいいかもしれません。(ただ、どこで決まるかが不明確なのでかなり難しかなと思っています)

私の所属している大阪法務局管轄では年間200件以上もの筆界特定手続きの相談を数名の土地家屋調査士で対応しています。かなりハードな環境ですが、境界問題については以前の事務所より格段に知識、経験を積んでいます。

また、境界問題に対して、筆界特定制度になじむ、なじまないを含め、最適な解決方法、選択肢のご提案などのご相談を受けつけております。

お気軽にお問合せ下さい。



境界確定、測量、登記業務のご不明点があればお気軽にご相談ください。

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株式会社マツモト/土地家屋調査士松本悟事務所




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