詩)ギターを憑依させる男

ギターには興味がないが踊れる子がいた

「立ってギターを弾くフリのついでに踊りなさいな」というと

さっそくギターと自分の重心で上手く踊った

「そもそも音を借りて踊るのに、音を出すものには一切無関心とはどういうつもりだ」

私が責めるように問いかけると

「時間がないから」と面倒くさそうに答え

ギターからペキペキと音を出した

「お前の指はどうしたいんだ?」と訊くと

「多分、私が踊れるぐらいには、なりたいんだと思う」

私は黙って頷きギターを渡した

その子はギターを練習し始めて

ギタリストになっちまったぜ ニヤリ











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