タイプ別メンヘラのトリセツ
皆さんは、身の回りで所謂メンヘラと呼ばれるような人たちに出会ったことはあるだろうか。意外かもしれないが、メンヘラはちょっと慎重に取り扱えばそこまで手懐けるのは難しくない。そこで今回は、メンヘラという大きな括りを複数のタイプに分けて、彼等への対処法についてを考えていこうと思う。
メンヘラへの大きな誤解
第一に、メンヘラの人たちはほとんどの健常者の人たちから大きな誤解をされている。一つの大きな誤解は、「メンヘラは基本的に自分が大好き」である。メンヘラの根底には、大きな劣等感及び「自分が大嫌い」という感情があり、そこから「自分は誰からも愛されるわけがない、愛される資格もない」との考えを保有している。このことから、他人と交際している際には「自分で自分のことを愛することができないが故に、健常者が他者から愛してもらう分+自分が自分を愛せない分を両方補ってほしい」と言う考えを持つようになる。メンヘラが「構ってちゃん」だの「愛が重い」だの云われるのは、自己顕示欲が強いからでは決してない。自分に自信がない、自分を愛せないために、自分の存在理由を全て他人に求めてしまうからなのである。ネット上でよくネタにされているような、「困っている私が好き!」「悲しんでる私が好き!」などとほざくメンヘラは今まで一度も見たことがない。承認欲求が高いという点では一致しているが。この規則はこれから話すどのタイプにも当てはまる。
もう一つ目は「メンヘラは一様に自己愛が非常に強い」である。メンヘラは元々自己愛が強いわけではない。もちろんメンヘラの中に自己愛の強い人たちも一定数いるのは確かだが、それは先ほど述べたメンヘラの根本にある、「自分が大嫌い」の裏返しなのである。なんなら自己愛が強いのは少数派だと思っている。またこの自己愛の強さが昂じて犯罪を犯す人もいることから、メンヘラ=犯罪者予備軍などのイメージを持っている人もいるかもしれない。だがそのような人はごく少数である。
メンヘラの事前知識
次にメンヘラの定義について再確認していこう。
とある。概ね心を病んでいる人たちを指すインターネットスラングで、精神衛生(Mental Health)の略、メンヘルに接尾辞-erをつけたのが由来である。
メンヘラの精神は底に穴の空いたバケツなどとよく表現される。この穴は主に幼少期の家庭環境、もしくは恋愛でのトラブルや失敗によるトラウマから生まれる。家族や恋人は、自身の心の弱みを見せられる数少ない相手である。そのような心を強く預けた人間に強く裏切られたと本人が感じると、バケツの底にぽっかりと大きな穴が空くのだ。健常者は喧嘩やコミュニケーションの不備によってバケツが揺れ水が溢れる。その減った水は仲直りをしたりすることによってすぐに満タンになり、また大きな衝撃が加わらない限り減ることはない。だが、一方でメンヘラのバケツは下部が穿孔されているため、いくら水を入れたとしてもその水は最終的にバケツから排出されていってしまうのだ。
メンヘラは恋人や友人などからある程度愛を注がれている、バケツに水を注がれているということは重々承知している。だが、バケツに穴が空いていることを知らなかったりその対処法を知らなかったりすることで、こんなに色々とやってもらっているのに私はどうしてそれで満たされないのかという自己嫌悪に陥って狂ってしまうのだ。
彼等の精神のバケツに空いている穴は所謂分離不安というやつである。分離不安とは愛着をもっている人から離れることに対して持続的に強い不安が生じることである。分離不安は別に悪いことではない。至って正常の反応である。ほぼすべての乳幼児にこの分離不安は見られ、愛着を持っている相手、基本的には母親が自身の元から離れることに強い不安感を感じる。健常の人間であろうが多かれ少なかれ「大事な人と離れるのは心配」などの分離不安に近いものを感じるだろう。しかし、メンヘラはこれの度が過ぎているのだ。たとえば、愛着のある人が返信してこなかったり、帰ってこなかったりする。そうするとメンヘラの脳内は「私が嫌になっちゃたのかな…だからいなくなっちゃのかな…一生私の元に帰ってこなくなっちゃうのかな」となる。ここから、捨てられたなら気を引かなきゃ→ヒステリー、浮気(ワンナイトなら捨てられても精神的ダメージ少ない)、OD、リスカetc.となるのである。健常者が考えるように、メンヘラは別に自分本位なのではない。メンヘラの行動は根底にこの分離不安の考えがありそれが自分の自身の無さにつながるからこそのものなのだ。
メンヘラの4タイプ
私は、メンヘラには大きく4つに分けることができると考えている。それは「自己愛が強い&外向的」、「自己愛が強い&内向的」、「自己愛が弱い&外交的」、そして「自己愛が弱い&内向的」の四つである。また、自信の強弱と外向性の強弱という二つの軸に加えて、これらと比較するとあまり差はないため深くは掘り下げないが、意志の強弱という軸も存在すると考えている。MBTIやBig Five、サイコソフィアのように文字で表すとするならば、自己愛はN(Narcissistic/自己陶酔的)とS(Self-abandoned/自暴自棄の)の軸、外向性はE(Extroverted/外向的な)とI(Introverted/内向的な)、そして自己主張はR(Resolute/意志の固い)とW(weak-willed/意志の弱い)などといったところか。
無論、これらの軸は0/100というわけではなくグラデーションとなっていて、ある人は70%内向、ある人は90%外向などになることはご承知置き頂きたい。
タイプ1のメンヘラの特徴
まずはタイプ1のメンヘラの特徴についてを語っていこう。タイプ1は「自己愛が強い&外向的」メンヘラである。文字で表すとするならばNE-R/Wだ。このタイプのメンヘラは、他人に危害を加える害悪さの度合いがかなり二極化するタイプであると謂える。
一つ目の特徴は、自身が中心となって周囲の人を牽引していくことに長けている点である。彼等はその自己愛の強さから自分自身がした選択に自信を持っている。このため、このタイプに属するメンヘラは自分を中心にグループをつくることができる。
これを聞くと、一見なんの問題もないように聞こえるだろう。確かに、このタイプ1のメンヘラは後述のタイプ達と比較すると、特性が日本の社会を生き抜いていくためにあまり問題にならず、表面化しにくい(特に意志が強いR型の場合)。もしタイプ1のメンヘラが作ったグループが属する皆にとって居心地が良く楽しいものとなるのであれば、タイプ1は最強となる。周りから称賛され自分の自己愛が満たされるwin-winの状態になるからだ。この状態になれば彼等の中にあるメンヘラの特性は特に害をもたらすことはない。
但し、前述したようにタイプ1には自分を中心に周りを巻き込もうとする特性がある。このため、もしグループがうまく機能しなかった場合は凶悪な存在となり得る。タイプ1はその自己愛の強さにより、自身は他人より優れていると考えるため、グループに属する人たちを手当たり次第口撃し、傷付ける残虐な兵器と化す。また、それに気付くことができないのも害悪度合いを増大させているだろう。
二つ目は友情が大好きという点だ。後述する「自己愛が弱い&外向的」のタイプのメンヘラにも一定数見られるが、このタイプ1のメンヘラはその外向性の高さにより、会社などの組織に対する帰属意識が非常に強い。また常に自分がどのような評価を受けているかということを迚も気に掛ける。だが、「自己愛が弱い&外向的」のタイプのメンヘラとは違って、自分に対して低い評価をつける人たちのことは気にせず、すっと関係性を断ち切ることが比較的上手なので、社会で生きるのに大きな障壁とはならないと考えられる。ちょっと横柄で傲慢な人というイメージである。
総括すると、このタイプは外に出て、他人と関わりを持って、そこで評価されることに幸せを感じるような人たちであると謂える。
タイプ1のメンヘラへの接し方
このタイプの1番の問題点はグループが機能不全に陥ってしまった際の他者への対応である。彼らは、自己愛の強さから無意識に他者を傷付けてしまう。このため、このタイプのメンヘラの人には、彼らが自身がやっていることが他者を傷付けているということを認識させることが大事である。これを解決すれば、このタイプとの関係構築に大きな支障を来すことは無いだろう
タイプ2のメンヘラの特徴
次にタイプ2のメンヘラの特徴についてを語っていこう。タイプ2は「自己愛が強い&内向的」なメンヘラである。文字で表すとするならばNI-R/Wだ。このタイプは他のタイプと比較して気持ちが大きく背叛しているタイプである。
一つ目の特徴は、自分自身で自分を肯定しきれないという点である。自己愛の肥大化によって自分をより大きく見せようとして、周りから評価されようとする点はタイプ1の「自己愛が強い&外向的」メンヘラと共通しているが、内向型のため本当は自分一人でいる方が好きなのだ。タイプ2のメンヘラは自己愛が強いため自分自身でも自分の評価をする(過大評価)が、これが周りから得た自分への評価と乖離しているとパニックを起こしてしまうことがある。
第二の特徴は被害妄想がかなり強いということである。自分で行動する方が好きなのに、自己愛が強いが故に他人と関わろうとして気持ちが矛盾してしまう。この際に自分の抱えるストレスを適切に処理するのがあまり得意ではないため、その責任をすべて他人に押し付けてしまう。
第三に共感能力が異常に低いということである。内向型のため自分自身でストレスを溜め込んでしまうという特性があり、自分と相手の解釈の違いを読み取ったり解釈したりするのが苦手になる。また、相手との意見の摺り合わせに苦労することもあるだろう。
だが、もし自分がある程度の成績を残していることによって外部的に良い評価を受けている状態にあれば、タイプ1の人と同様にハイパー無敵になる。たとえば絵画を描く、作曲するなどで外部から良い評価を得ている場合などがそれにあたるだろう。
しかしながら、このタイプ2の人たちが厄介なのは所謂社会不適合者の人たちが入ってきてしまった場合である。社会からの評価が得られないのに評価を求め、自己評価は高いのだから大変だろう。
タイプ2のメンヘラヘの接し方
正直のところこのタイプのメンヘラは結構面倒だ。このタイプの人たちと接する時は彼らには適度に自分の時間をあげつつ、会った時はすかさず評価してあげることが重要だと考えられる。
タイプ3のメンヘラの特徴
第3にタイプ4のメンヘラの特徴を見ていこう。タイプ3は「自己愛が弱い&外向的」なメンヘラである。文字で表すとするならばSE-R/Wだ。このタイプは自分を誇張しようとするが故の行動が他のタイプと比べて多いと言えるだろう。
このタイプの主な特徴は虚栄心が強いという点である。このタイプはタイプ1の「自己愛が強い&外向的」メンヘラと同様に周りの人と関わりたいという気持ちがあり、また周囲の人間が自分にどのような評価を下しているのかが気になる。しかし、自己愛が弱いため、自分のことをより大きく見せようと、外連味たっぷりの行動(無理な散財、経歴自慢、虚言)をすることが多い。
しかし、このようなハッタリが徐々に見破られていくことによって、他者からの評価が下がり、また実際の自分は自己愛が低いこともあり、苦しみのループに陥ってしまう。
タイプ3のメンヘラへの接し方
このタイプは自己愛が低いこととそれによる虚栄心が強さが大きな問題となる。そのためまずは彼らの言うことをただ肯定してあげることが大切だ。その後は、彼らのコンプレックスを洗い出して、彼らが本当に好きなことをやらせてあげることが重要だと考えられる。
タイプ4のメンヘラの特徴
最後にタイプ4のメンヘラの特徴を見ていこう。タイプ4は「自己愛が弱い&内向的」なメンヘラである。文字で表すとするならばSI-R/Wだ。このタイプは上記3タイプと比べて一番深刻なタイプであると謂えるだろう。何を隠そう斯く言う私もこのタイプである。
一つ目の特徴はめちゃくちゃネガティブということである。彼等は自己愛が低いため自分の考えや言葉に自信がない。それに加えて内向的なので自分の抱えた感情やストレスを自分自身で抱え込んでしまうのだ。このことによって以下のようなシーンが見られることが往々にしてある。他人によって非難乃至は否定されたタイプ4のメンヘラの人たちは、突然スイッチが入って「あーはいはいもう私が全て悪いんだ、全て私の責任なんだ、自分なんて嫌いだ嫌いだ×∞」という感情が頭の中を駆け巡り、ときたま感情が爆発したり、絶望で体が動かなくなってしまったりする。
二つ目の特徴は超自責思考という点である。このタイプは、他者に対して何かを根に持つことは無い。どんなにあってもすぐに脳内から消え去る。その代わり自己愛が弱いので自分に対して根に持ってしまう。しかもさらに厄介なのは自身の矛盾しているというその特性が思考の優先順位のかなり高いところに位置しているという点だ。つまり、このタイプの傾向が強い人は常に自分が全て悪いという思考が脳内を巡っているということだ。このことによって、いくら自分が有能であろうとも「自分は能力がない」と考えることによってその能力を制限してしまう。
タイプ4のメンヘラへの接し方
このタイプのメンヘラは、常に彼等の言うことを根気強く聞いて肯定してあげる必要がある。メンヘラを解消しようとするカウンセラーの中には、「ネガティブにならずにポジティブになろうね」のような声かけをする人が一定数いるが、このタイプには全くの無意味、むしろ逆効果になる。
発展的なトリセツ
このように、それぞれのタイプのメンヘラに接する際の注意点が少し異なる。もし、メンヘラとの関係をさらに発展させたいのならば、ほとんどのメンヘラと接する時に共通する原則を頭に入れておいてほしい。
一つ目は、声がけをするのではなく、成功体験を積ませるということが重要である。「愛してるよ」などの言葉というのは、バケツに水を注いでいるだけに過ぎない。もし注がれる相手が健常者ならばそれで構わないが、相手はメンヘラなら、その言葉はすぐにバケツから流れていってしまう。分離不安のある人間への諭しは全く意味を成さない。単刀直入にいうとメンヘラは幼児みたいなもので、少しずつ、お留守番のトレーニングして彼らを安心させていくことによって彼らの自己肯定感は少しずつ上がっていくだろう。
二つ目は報告を徹底するということである。注意すべきなのは健常の人と比べてより詳細に話す必要があることだ。自身の予定を事前に5W1Hを使って報告することによって彼らの不安をいくらかは軽減できる。たとえば、今日は渋谷で20時から××で高校の同級生の○○と△△と飲むよー 帰る時間はまだ未定だけど終電までには帰るからその時また連絡するねー」のような連絡をもらったり、飲み会の写真を送ってもらったりするとメンヘラは少しは安心できる。「今日飲みいくよー」だけではメンヘラは安心しきれず鬼電、鬼LINEをしてしまうのである。
三つ目は彼らが感じたこと肯定してあげるということである。もちろん彼らが断定的なことを言った際に否定したり反論したい気持ちもよくわかるが、それをすると彼らの精神はズタボロになり、自己嫌悪のループに陥ることになる(特にタイプ2/4)。そのため、彼らが感じたことを「そうなんだね」「そんなことないよ(タイプ4以外)」、「そう思わせてたならごめんね」、「その通りだと思うよ」などのように、まずは彼らの感じたことを肯定してあげるのが肝要だ。その後に自分が考える意見を述べることで彼らはよりその意見に傾聴してくれるようになるだろう。(タイプ4の場合、「あー相手に気を使わせてる自分なんて大嫌い」となる可能性もあるので注意が必要)
四つ目はメンヘラは大体反語ということである。彼らが言う言葉はそのまま信用してはいけない。特に「嫌い」「どっかいって」「別れたい」などの突き放す言葉は要注意である。これらは「大好き」「ここにいて・構って」「ずっと一緒にいて」である。
五つ目は物理的な時間を過ごすということである。喧嘩中やヒートアップしているメンヘラにとって、相手が一時的、もし数分でもクールダウンのために自分を離れると「捨てられた。自分のことなんて嫌いなんだ。自分なんてどうせ誰からも愛されないんだ。」となる。なんとも面倒くさいものだ。そこで、おすすめなのは「何しても別れない」と言ってハグをすることだ。パニックになっているメンヘラに理論は無意味である。分離不安から「お前もいつか絶対に裏切るんだろ」という感情が根底にあるため、まずはゼロ距離になって体に叩き込むことが重要だ。その後2、3の方法をすることでメンヘラは渋々了承してくれるだろう。
また、メンヘラは躁鬱や発達障害を持ってることがザラにあるので、欲求に対する認知がバグっていることがある。そのため、こまめに食事、睡眠をとらせてあげることでメンヘラのパニックが落ち着くこともある。私自身もご飯を知らず知らずに抜くことがザラにあるので、目に入るところにでかい時計を配置している。
結論
メンヘラは多くの健常者から見ればめんどくさい人間だと捉えられる事もあるだろう。しかし、実際はただ精神を病みまくって半ば幼児退行しているだけの人たちなので、優しく接してあげると単純で可愛い人たちになる。
本稿でメンヘラに対する認識が少しでも変わったり、メンヘラへの知識が少しでも深まったら幸いだ。
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