見出し画像

<海外ミステリ 感想>殺人者の手記

「エリック・ベリマンの命を奪うつもりだ。お前に止められるかな?」
(本文より)
刑事バルバロッティの元に届いた殺人予告の手紙。
バルバロッティ、同僚の刑事達は、半信半疑でスウェーデン中のエリック・ベリマンを調べ始める。
そして手紙が届いた翌日、エリック・ベリマンの遺体が発見された。
疑いが現実になったのだ。
エリック・ベリマン殺害事件捜査中に、二通目の殺人予告が届く。
警察が必死に捜査しているにもかかわらず、またも発見される遺体。
警察を翻弄することを楽しんでいる犯人は何者なのか?

そして、物語の要所要所で綴られる『ムステルランの手記』
手記の中で語られるのは恐るべき事件の全貌だった。
予告殺人と手記は何か関係があるのか?そして何故バルバロッティに手紙が届けられたのか?

謎が謎を呼ぶ怒涛の展開。次々と発見される遺体。個性豊かな刑事達。
警察小説好きにはたまらない要素が凝縮された『殺人者の手記 上・下』
近年、科学技術の発達が目覚ましいけど、やっぱり捜査は人と人との出会い。
一人が「○○は優しい人だった」言えば
もう一人が「○○は怖かった」と言う。
どちらかが嘘を吐いている?いいえ、吐いてません。
どちらも○○なんですね。
証言する側の人生や価値観によって他人の評価はまるで変わってしまう。その集めた証言から被害者の人物像や犯人を推理する刑事達の試行錯誤・チームワークが警察小説の醍醐味。
そして推理する過程で、刑事達の私生活やそれぞれの価値観も浮き彫りになる。
刑事達も人間。
それぞれ悩みや苦しみを抱えている。
刑事・被害者・証言者・犯人。
それぞれの思いが交錯し、明らかになった真実とは何か・・・
それは読んでのお楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?