春の終わり、夏の始まり 11
同窓会、当日。
12時に羽田空港を発った漆黒のスターフライヤーの機体は、定刻通り関西国際空港に到着した。
関西空港のターミナルに足を踏み入れると、即座に懐かしい匂いと音が唯史を包み込んだ。
有名な大阪土産の豚まんの匂い、そして関西ならではの勢いのある大阪弁。
故郷に帰ってきたという実感とともに、唯史の心の中には安堵感が広がっていった。
関西空港駅から、唯史は電車に乗った。
窓の外は、南大阪の田園風景が広がっている。
田植え前の田んぼからは、春先の土の匂いが漂ってくるように