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PMOがプロジェクトを見るポイント ~初心者の方へ~

今回は、PMOとしてプロジェクトに対峙する際に、どんなところに注意すればよいかを初心者向けにお話します。

  • 基本は、品質・コスト・スケジュールとスコープの変動に注意


基本的には、よく言われるQCDを注意深く見ていきます。
QCDは、品質(Quality)、費用(Cost)、納期(進捗・スケジュール)(Delibery)の略です。品質・コスト・進捗は相互に深く影響しあうため、それぞれの状況を網羅的に統合的に監視しなくてはいけません。
プロジェクトマネジメント的には、QCDに加えてスコープ(何を実現するか)の変動にも留意する必要があります。

品質とスケジュール

ここでは品質という言葉が何を指すのかという説明は省略しますが、ひとえに品質といってもいろんな種類の定義があります。
私が居るIT業界・ソフトウェア開発の領域で品質というと、バグ(不具合)が多いかどうかという捉え方が今でもメジャーだと思います。これは例えば機能性という品質の1つの側面にすぎません。
いろんな種類の品質特性が定義されているので、全部ひっくるめて品質とひとことで言ってしまうと、その言葉が示す範囲が広すぎて何が良くて何がダメなのか伝えにくくなってしまいます。

どんな品質特性に対してもプロジェクト計画の時点でプロジェクト目的にかなう品質目標を設定します。プロジェクト遂行途中で、何らかの原因で品質目標を達成できないとなると、それに対する対策が必要になります。
対策実行して効果を判定しようとするとスケジュールは遅延します。

逆に、何らかの事情でスケジュールを短縮しようとすると、ある程度品質を犠牲にしなくてはいけなくなるでしょう。

スケジュールとコスト

プロジェクトの進行は往々にして計画したスケジュール通りにはならないことが多いです。

とある工程のとあるタイミングで、計画時点の見込みでは3日で完了するはずの作業が、2日たった時点で状況確認すると、まだあと2日かかりそうだ。このような状況で計画通り3日目に完了させるには、どうしましょうか?
例えば、要員を追加投入して残り2日分の作業を1日で完了させるということが考えられます。追加投入する要員はどこからもってくるのでしょう。他のプロジェクトから人を借りてきて手伝ってもらうとか、スポットで人を雇うとか方法はいくつかありますね。いずれにしても、プロジェクトは追加投入する要員に対して追加費用がかかることになります。

品質とコスト

プロジェクトが生成するプロダクトやサービスの品質が計画通りに達成されていない場合、その原因を見極めて対策を実行する必要があります。プロジェクト計画時点で盛り込まれていない品質対策・品質強化を実施するためには追加のコストが発生します。

このように品質・コスト・スケジュールのいずれか一つでもうまくいかないと必ず他の要素に悪影響を与えることになります。プロマネが「大丈夫、なんとかなる」と言っていても、PMOの立場では定量的なデータをみて計画との乖離がどこに影響しそうか厳しい目で監視しましょう。

スコープにも留意する

PMBOKガイドのスコープの定義はわかりにくい書き方になっています。
スコープというのは、簡単に言うと「何を実現するか」と考えてよいでしょう。

  • プロジェクト・スコープは、スコープを実現するために実行する作業

  • プロダクト・スコープは実現するものの特徴や機能

プロジェクト遂行中に、スコープが変動することがよくあります。
スコープが変動すると達成すべきQCDも変動します。PMOの立場ではプロジェクトがプロジェクト計画の見直しを確実に実行するよう働きかけましょう。

まとめ

  • 基本は、品質・コスト・スケジュールとスコープの変動に注意

QCDという略語で表される品質・コスト・スケジュールはそれぞれ相互に影響しあうため、プロジェクトの前提条件や制約条件を見て、どこに注力するかを判断します。PMOは定量的なデータを監視し、少しでも計画から乖離があれば、その影響がいつ頃どこに出てくるか目星をつけてプロジェクトに働きかける必要があります。

また、スコープを適切にマネジメントすることがQCDを安定化するためには必須です。スコープが変わった場合は、必ずプロジェクト計画に立ち戻って見直しをするようプロジェクトに働きかけましょう。

用語(PMBOKガイドの用語集から要約)

スコープ
スコープというのは、PMBOKガイド7版の用語集では「プロジェクトが提供するプロダクト、サービス、所産の総体」と定義されている。

プロジェクト・スコープ
「規定された特性やフィーチャーをもつプロダクト、サービス、所産を生み出すために実行する作業」
プロダクト・スコープ
「プロダクト、サービス、所産を特徴付けるフィーチャーや機能」

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