自作の聖地巡礼(2)明治村(「不死の宴 第一部終戦編」より)
多くの作品のロケ地となった明治村
愛知県犬山市にある博物館明治村は、明治時代の建造物をはじめとする事物を集めたテーマパークである。実は私の自宅から車で30分圏内にあり、年間パスポート(村民パスと呼ばれている)の所持者でもあり、月に数回訪問して園内を散策している。
多くの映画やマンガやアニメ作品が取材に来ていて、ロケ現場にもなっている。今、再放送されているNHKの「坂の上の雲」をはじめとして、朝ドラ「まんぷく」(帝国ホテル)、マンガ「ゴールデンカムイ」(金沢監獄中央看守所・監房、品川灯台)など、枚挙にいとまがない。
また、ドラマや映画で路面電車の車内シーン、都会を走っているのに車窓の外に緑の木々が見えたなら、それは明治村で動態保存されている京都市電で撮影したとみて間違いない。
自分の作品の取材先でもある
実は、私の長編シリーズ「不死の宴」でも、ここはインスパイア元となった場所である。
北里研究所本館・医学館
日本赤十字社中央病院病棟
歩兵第六聯隊兵舎
他にも、シアトル日系福音教会の建物は戦前から戦後のワシントン州にあった日系人の家で教会として使われていたもの。第二部北米編は1956年の東海岸が舞台なので、ここで当時の日系コミュニティに関するイメージを取材させてもらった。
実物を見る必要性
作家としては、実際に観たものと想像だけで観たことがないものでは、描写に大きな差が出る。形や色などの映像情報だけでなく、手触りや音、匂い、距離感、重さ等の五感を通した体験の有り無しは、大きな差となって現れる。
第三部冷戦編の執筆にあたっては、那覇市内の印象と、市内の距離感を得るために二泊三日で那覇まで取材に行ったほど。
こういった体験のインプット、重要だし、何より楽しいのだ。
博物館明治村
https://www.meijimura.com/