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GPT-4がエグすぎる

まずは手始めに、私の専門である知的財産分野でChatGPTに新しく搭載されたGPT-4の実力を試しました。Google Patentsで検索可能な検索式を作成するというお題です。

比較のためにGPT-3.5の結果も載せましたが、GPT-4の方が説明が親切になっていることが分かります。検索式も類義語がORで書かれているなど、より網羅的になっています。

次に、弁理士試験の短答式試験の問題を解かせました。

質問:

特許法第 29 条の2(いわゆる拡大された範囲の先願)に関し、次の(イ)は、正しいか答えよ。

以下において、甲は、自ら発明イ及び発明ロを完成して、平成24年6月1日に特許出願Aをしたものとし、乙は、自ら発明イを完成して、平成 24 年7月1日に発明イに係る特許出願Bをしたものとする。

ただし、特に文中に記載した場合を除いて、特許出願は、外国語書面出願、国際特許出願、実用新案登録に基づく特許出願、特許出願の分割に係る新たな特許出願、又は出 願の変更に係る特許出願ではなく、放棄、取下げ又は却下されておらず、査定又は審決は確定しておらず、いかなる補正もされておらず、いかなる優先権の主張も伴わないものとし、文中に記載した優先権の主張の取下げはしないものとし、また、特許を受ける権利の承継はないものとする。

(イ) 出願Aの願書に最初に添付した明細書には発明イ及び発明ロが記載され、甲は平成 24 年8月1日に出願Aの一部を分割して発明イに係る新たな特許出願Cをし、その後、出願Aは出願公開されることなく取り下げられた。この場合、出願A及び出願Cは、いずれも、出願Bに対し特許法第 29 条の2に規定するいわゆる拡大された範囲の先願としての地位を有することはない。

弁理士試験短答式試験平成25年度[37]

GPT-4の回答:

(イ)の記述に関して、正しいかどうかを判断するために、特許法第29条の2について考慮する必要があります。特許法第29条の2は、拡大された範囲の先願としての地位に関する規定です。

(イ)の状況において、出願Aは発明イと発明ロが記載され、出願Cは出願Aから分割された発明イに係る特許出願です。その後、出願Aは出願公開されることなく取り下げられました。

この場合、出願Aは取り下げられたため、出願Bに対して特許法第29条の2に規定する拡大された範囲の先願としての地位を有することはありません。

出願Cについては、分割出願であるため、出願Aの出願日を継承しますが、特許法第29条の2に規定する拡大された範囲の先願としての地位は分割出願には適用されません。

したがって、(イ)の記述は正しいです。出願Aおよび出願Cは、いずれも出願Bに対し特許法第29条の2に規定する拡大された範囲の先願としての地位を有することはない。

これ正解だと思いますが、解説が素晴らしいですね。

次に、GPT-3.5で苦手としていた数学の問題を解かせてみました。

pを3以上の素数とする.また,θを実数とする.
⑴ cos3θとcos4θをcosθの式として表せ.
⑵ cosθ=1/pのとき,θ=(m/n)・πとなるような正の整数m,nが存在するか否かを理由を付けて判定せよ.

京都大学 理系数学 2023年第6問

GPT-4の回答:

⑴ cos3θ と cos4θ を cosθ の式として表すため、三角関数の加法定理と二倍角の公式を利用します。

まず、cos3θについては、加法定理を用いて次のように表すことができます。

cos3θ = cos(2θ + θ) = cos2θ・cosθ - sin2θ・sinθ

二倍角の公式により、cos2θ = 2cos²θ - 1 および sin2θ = 2sinθ・cosθ です。これらを代入して、cos3θをcosθの式として表すと、

cos3θ = (2cos²θ - 1)cosθ - 2sinθ・cosθ・sinθ
= 4cos³θ - 3cosθ

次に、cos4θについては、加法定理を用いて次のように表すことができます。

cos4θ = cos(2θ + 2θ) = cos2θ・cos2θ - sin2θ・sin2θ

cos2θ と sin2θ の二倍角の公式を再度使用して、

cos4θ = (2cos²θ - 1)² - (2sinθ・cosθ)²
= 4cos⁴θ - 4cos²θ + 1 - 4sin²θ・cos²θ
= 4cos⁴θ - 4cos²θ + 1 - 4(1 - cos²θ)・cos²θ
= 8cos⁴θ - 8cos²θ + 1

以上より、
cos3θ = 4cos³θ - 3cosθ
cos4θ = 8cos⁴θ - 8cos²θ + 1

⑵ pが3以上の素数で、cosθ = 1/pであると仮定します。ここで、θ = (m/n) * πとなるような正の整数m、nが存在するかどうかを判断するために、以下のように考えます。

cosθ = 1/pを満たすようなθは、0 < θ < π/2の範囲に存在します。これは、cos関数がこの範囲で単調減少し、cos(0) = 1からcos(π/2) = 0まで変化するからです。

θ = (m/n) * πと仮定した場合、0 < m/n < 1/2である必要があります。さらに、cos(2θ)の公式を使って次のように表すことができます。

cos(2θ) = 2cos²θ - 1
cos(2θ) = 2(1/p)² - 1
cos(2θ) = (2p² - 2p) / p²

2θ = (2m/n) * πであるため、0 < 2m/n < 1となります。しかし、cos(2θ)は0 < 2θ < πの範囲で単調減少し、cos(0) = 1からcos(π) = -1まで変化します。上記の式から、cos(2θ)は必ず負になります。これは、0 < 2m/n < 1の範囲ではcos(2θ)が正であるべきであることに矛盾します。

したがって、θ = (m/n) * πとなるような正の整数m、nは存在しないことが証明されました。

まじか・・。以前は簡単な計算も出来なかったのに、かなり詳細に説明していることが分かります。(1)の計算は合ってました。(2)は予備校の解答とは異なるようですがどうなんでしょう。

大学入試レベルは解けそうなので、大学院入試の問題を解かせてみました。

V を有限次元複素ベクトル空間とし, S, T : V → V を対角化可能な線形 写像で ST = T S が成り立つものとする.r ≥ 2 を整数, α, β ∈ C を複素 数, λ1, . . . , λr ∈ C を相異なる複素数とする. 零ベクトルでない V の元 v, u1, . . . , ur は v = u1 + u2 + · · · + ur を満たし, かつ 1 ≤ j ≤ r なるすべての整数 j について uj は固有値 λj に属す る S の固有ベクトルとする.さらに v は固有値 α に属する T の固有ベクト ルであり, u1 は固有値 β に属する T の固有ベクトルとする.このとき α = β が成り立つことを示せ.

令和 5 年度 京都大学大学院理学研究科 数学・数理解析専攻 数学系 入学試験問題

GPT-4の回答:

まず、SおよびTが対角化可能であることから、それぞれの固有値と固有ベクトルが存在します。また、与えられた条件から、次のような式が成り立ちます。

v = u1 + u2 + ... + ur
Suj = λj uj (1 ≤ j ≤ r)
Tv = αv
Tu1 = βu1

ST = TSが与えられているので、両辺にvを掛けて、以下のようになります。

STv = T(Sv)

ここで、Sv = λ1 u1 + λ2 u2 + ... + λr urであることに注意してください。これは、Sが各ujに作用するとき、ujはSの固有ベクトルであり、対応する固有値でスケーリングされるからです。式に代入して、以下のようになります。

STv = T(λ1 u1 + λ2 u2 + ... + λr ur)

さらに、Tが各ujに作用すると、u1はTの固有ベクトルであり、それ以外のuj(j≥2)はTによって別のベクトルに変換されます。したがって、以下のようになります。

STv = βλ1 u1 + T(λ2 u2) + ... + T(λr ur)

一方、Tv = αvであり、v = u1 + u2 + ... + urであることから、以下のようになります。

STv = S(αu1 + αu2 + ... + αur)

Sが各ujに作用すると、ujはSの固有ベクトルであり、対応する固有値でスケーリングされるため、以下のようになります。

STv = αλ1 u1 + αλ2 u2 + ... + αλr ur

これで、以下の2つの式が得られました。

STv = βλ1 u1 + T(λ2 u2) + ... + T(λr ur) STv = αλ1 u1 + αλ2 u2 + ... + αλr ur

これらの式が等しいので、両辺のujの係数を比較します。特に、u1の係数を比較すると、以下のようになります。

βλ1 = αλ1

λ1は0ではないことがわかっているので、両辺をλ1で割ることができます。

α = β

これで、α = βが成り立つことが示されました。

絶句。さっぱり分かりません。人間超えてます笑。


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