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「人に話さずにはいられない!」経営者向けAIニュース3選 | 2024年4月8〜14日

今週はGoogleから大きな発表と、日本国内での生成AIに関する動きに注目!


ライティングから動画編集まで一括サポート、Google Vids登場!

Googleが新しいWorkspaceアプリ「Google Vids」を発表した。

Google VidsはGoogle DocsやGoogle Slidesのような動画制作用のアプリで、プレゼンテーションやプロモーション動画の作成をサポートする。
動画制作に必要なメッセージのライティング、絵コンテの制作、素材の選定と編集、ナレーション原稿の作成とAI音声による読み上げまでを一貫して行える点が特徴だ。

GoogleのAIモデルGeminiが、ユーザーが入力した短い文章や関連資料から動画の導入部分やストーリーボードを自動生成し、適切な動画クリップや音楽、トランジション効果、AIナレーションを付与する。他のWorkspaceアプリとの連携やコラボレーション機能も備えている。

現在は限定的にテスト提供中で、6月にはWorkspace Labsから利用可能になる予定。

Google Vidsは動画制作に必要な各工程をワンストップでアシストする。

動画を制作のさいに必要となるメッセージのライティングや、動画の絵コンテや流れの制作、音楽・画像・クリップといった素材の選定と展開にあわせた編集、ナレーション原稿の作成とAI音声による読み上げまでワンストップでアシストする点が特徴です。

出典:Ittousai.”Google、AI動画制作ツール『Google Vids』発表。原稿・絵コンテ・動画編集とAIナレーションまでワンストップの新しいWorkspaceアプリ”.techno-edge.2024年4月9日,https://www.techno-edge.net/article/2024/04/09/3148.html (参照2024-4-14)

AIモデルGeminiが動画の導入部やストーリーボードを自動生成する。

Google ドキュメントやスライドのように多数のスタイルのテンプレートを用意しており、動画で伝えたいことを短い文章で形容して関連文書や素材を放り込めば、Google のAIモデル Gemini が動画の導入からストーリーボード(絵コンテ)を自動で生成してくれます。

出典:同上

適切な素材選定やナレーションもAIが行う。

あとはストーリーボードで流れを確認して、必要に応じて入れ替えたり追加削除で編集。Geminiがストック素材やユーザーの素材から適切な動画クリップ、バックグラウンド音楽、トランジション効果などを用意し、AI音声でナレーションすら動画にあわせて生成してくれます。

出典:同上

AIが人間の限界を突破させる

囲碁AIの登場により、人間の棋士の棋力が飛躍的に向上していることが明らかになった。

1950年代から2010年代半ばまで頭打ちだった棋士の手の質が、AlphaGoの登場後には低レベルな棋士でも以前のトップ棋士に匹敵するようになった。AIから学ぶだけでなく、AIの打ち筋から逸脱した新しい定石も発達しており、人間の創造性も高まっている。
この現象は、不可能と思われていたことが突破される他の分野でも見られる。AIの登場は人間の可能性を広げる一方、置き去りにされるリスクもある。しかし、AIから学ぶことで、停滞していた分野の閉塞感を打ち破り、技術をより高いレベルに押し上げられるかもしれない。

AIの登場前は、棋士の棋力は頭打ちだった。

スウェーデンの作家であるヘンリック・カールソン氏によると、AIが登場する以前の1950年代から2010年代半ばまで、囲碁のプロ棋士の棋力は頭打ちで、上達の限界に達していたとのこと。

出典:log1r_ut.”AIの登場で人間の囲碁のレベルが劇的に向上していることが明らかに、囲碁以外の分野でもAIが頭打ちになった分野に成長をもたらす可能性”.GIGAZINE(ギガジン).2024年4月9日,https://gigazine.net/news/20240409-ai-go-human-level/ (参照2024-4-14)

AlphaGoの登場後、棋士の手の質が飛躍的に向上した。

しかし、AlphaGoの登場から数年後には、低レベルなプロ棋士でもAI登場前のトップ棋士に匹敵、またはそれを上回るような一手を差すようになっています。

出典:同上

AIから学ぶだけでなく、新しい定石も発達している。

香港城市大学のシン・ミンギュ氏らの研究チームは「AIの登場によりプロ棋士のレベルは向上していますが、『AI研究』がこの成長に占める割合は40%程度です。一方で、『人間の打ち筋の変化』が占める割合は60%にも上っており、AIの打ち筋から逸脱した定石が発達していることが伺えます」と**(PDFファイル)報告**しています。

出典:同上

他の分野でも、不可能と思われていたことが突破される例がある。

このような「不可能だと思われていたことが可能になる」という事例は囲碁だけではありません。ロジャー・バニスター氏が1マイル(約1609m)を世界で初めて4分以内に走りきると、その後1マイル4分切りを達成するランナーの数が急増。現代では高校生でも1マイル4分切りを成し遂げています。

出典:同上

『機械学習パラダイス』に待った!の声

文化庁や内閣府が生成AIをめぐる著作権の指針や知的財産の骨子案を示し、これまでAI開発者に有利だった"機械学習パラダイス"とも言える状況に変化の兆しが見えてきた。

文化庁は、著作物の非享受目的の利用は引き続き権利制限の対象だが、享受目的が併存する場合は適用外とする方針を明確にした。内閣府は創作の労力の扱いなど、著作権以外の課題も整理した。
法と裁判には限界があるため、法・技術・契約を組み合わせて業界の健全なエコシステムを育てる必要があるが、対価還元の仕組みづくりは課題として残る。文化庁と経済産業省は関係者間の認識ギャップを埋めるネットワークを立ち上げ、政府主導から業界の自主ガバナンスへの移行を図るが、その実効性が注目される。

これまでAI開発者に有利だった著作権法の解釈は修正の方向に向かっている。

著作権法では著作物を他人が享受しない場合は著作権が制限される規定がある。この制限規定のために著作物は学習し放題とされ、AI開発者にとって"機械学習パラダイス"と言われてきた。文化庁の指針では非享受目的は引き続き権利制限が適用されるものの、享受目的が併存する場合は適用がなくなることが示された。

出典:小寺貴之.”“機械学習パラダイス”…AI学習し放題に歯止め、文化庁など業界に指針”.ニュースイッチ.2024年4月12日,https://newswitch.jp/p/41200 (参照2024-4-14)

創作の労力に見合う対価還元の仕組みづくりは課題として残る。

そこで労力を保護したとも評価できる裁判例を紹介している。このように法と裁判には限界があり、法と技術と契約を組み合わせて業界で健全なエコシステム(生態系)を育てていく必要がある。内閣府の白鳥綱重参事官は「対価還元はこれからの課題。国がこうすべしと指定すべきではない」と説明する。

出典:同上

官民の認識ギャップを埋める場として関係者ネットワークが立ち上げられる。

文化庁と経済産業省は「AIと著作権に関する関係者ネットワーク(仮称)」を立ち上げる。文化庁や内閣府ではクリエーターや事業者、AI開発者それぞれの意見を聞いてきたが、認識に大きなギャップがあるとしている。

出典:同上

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【筆者のひとり言】

ついにGoogleからも動画生成AIが誕生した。

Googleは2023年2月にGoogle独自で開発したLLMを搭載し、「Bard」という名前でChatGPTを追う形でリリースされた。
その性能は、正直なところChatGPT(GPTモデル)を超えるほどではなく、Microsoft Copilot(当時はMicrosoft Bing または Bing AI)と同等か、それ以下という印象だった。

ただし、資本力や検索エンジンとしての強さ、また既存サービスであるGoogle Workspaceとの連携によって、例えばGoogle スプレッドシートやGoogle スライドに生成AIが搭載され、Microsoft Office関連のように、それらのサービスが簡単な指示で効率的に作業を行えると期待されていた。

実際のところはまだそれらの機能はまだ実装されておらず、ChatGPTやCopilotが注目される中、ひっそりとアップデートは繰り返され、2024年2月には同社が開発したLLM「Gemini」が搭載され、名称もBardからGeminiに変更された。

名称が変更されてからも、他の生成AIサービスほどの注目を浴びることはなかったが、この度動画生成AIである「Google Vids」を発表したことにより、大きな注目を集めている。

Google VidsはOpenAIが発表した動画生成AIである「Sora」のような、映像作品を生成するAIとは少し方向性が違うようで、プロモーションムービーを見る限りでは、Googleスライドやドキュメンの様に、主にプレゼンテーションやプロモーション用の動画を作ることに特化している印象を受ける。

正式リリースはまだ発表されていないため、実際のところ"どのくらい使えるレベルか"というのは未知数だが、こういった生成AIの登場によって、確実に人間の生産性は向上する。

さらにAIは人間の限界を引き上げてくれるという研究結果もある。

囲碁や将棋の世界では、たった数年でそれまでトップ棋士のレベルが飛躍的に向上している。
AIから学習し、そのうえでAIから逸脱することで、今までにない一手を指すことができるようになったのだ。

そのような人間を拡張する可能性を秘めた生成AIだが、足元ではその可能性の広さから、規制の動きも進んでいる。

諸外国から比べて規制が緩かった日本においても、生成AIを使用した成果物の著作権違反について、文化庁や内閣府が骨子案をそれぞれ示した。

日本の著作権法と生成AIについては、特に著作権法第30条の4が焦点となっており、著作物が無断で生成AIの学習に使用されるのは「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用」として認められるのか、が議論されている。

今までの解釈では、生成AIの学習に使われるのは「傍受を目的としない利用」に該当する可能性が高いとされてきていたが、技術の進化によってクリエイターの利益が搾取されるという世論を受けて、パブリックコメントとして意見を求め、それらを反映したうえで骨子案が作成された。

生成AIの学習に関しては、OpenAIが動画生成AIのSoraにおける学習に、100万時間以上のYouTube動画を使用していることも問題視されている。

新しい技術には新しい問題が発生する。

しかし人々が必要とする技術が生まれてしまった以上、その進化を止めることはできない。

AIを使って自分を拡張する

生産性の向上という観点だけでなく、自分を次のステージに連れて行ってくれる存在としてAIを捉えてみると、AIの進化は自分の進化につながると感じることはできないだろうか。

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