星と疫病 (255字)

星を落とす03 星を落とすなら心臓を狙え/星にも心臓はあるのだ/鋭い槍で突き通すだけ/力はいらない/星はバターより柔らかい/すぐれた動体視力と多少の審美眼さえあれば、星など幾らでも手に入る/もちろん、夜の川に遊ぶ蛍と、子供たちの虫かごに捕らえられた蛍とでは、その光が明確に違って見えるように、落ちた星にも価値なんてない/だけど/どんなに美しい星だって、空に浮かんでいるあいだは疫病をまき散らすものだし、その光に感染した者は、やがて星を落とさずにはいられなくなる/どうあがいても末路は同じ/ぶざまに失墜するだけだ/星も/私たちも