それでも私がお酒をやめない理由
「酒は百薬の長」ではないと知ってもなお
お酒は少量でもリスクがある。
2018年、世界的権威のある医学雑誌「ランセット」において、酒飲みにとっては衝撃となる論文結果が発表された。
195の国と地域で継続的に行われた調査によるエビデンスレベルの高い結果で、これによって今まで信じられてきた「お酒はまったく飲まないよりも、少量飲んだほうがカラダにいい」という説を思い切り覆すものとなった。
私は昨年、この事実を医師取材の際に知った。
「ショック」以外の言葉がみつからなかった。
しかし、未だ酒は止めていない。
というか、私は一生お酒をやめるつもりはない。
それにはこんな理由がある。
①円滑なコミュニケーションがはかれる
お酒を飲むことによって、理性を司る前頭葉が解放されると、初対面の人とでもスムーズに会話ができる。
若い方にとって「飲みニケーション」という言葉は死語になりつつあるというが、未体験のままそう思っているならもったいない。「だから昭和生まれは」と言われそうだが、私はお酒の席で多くの仕事を得てきた。もちろん、単なる酒席での盛り上がりで、スルーしてしまうこともあるが、それはそれ。今でも酒席で知りあった仲間と、楽しく仕事をさせていただいている。
②食事がさらにおいしくなる
お酒の大きな魅力は、料理の味を格上げしてくれること。刺身単体で食べるより、日本酒とともに食べたほうがよりおいしいし、箸も盃も進む。口の中で、双方がピタッと調和した時の幸福感といったら、もう……。考えただけでも喉がなる。
③酒席の雰囲気が好き
人が集まって、いろんな会話が生まれて、笑い声が響く。そんな酒席の雰囲気がたまらなく私は好き。ポジティブなパワーを与え合うことで、モチベーションが上がり、「明日からまたがんばろう」という気持ちにさせてくれる。ビジネスライクな会合は正直苦手だが、「気」のいい大好きな友人らとの飲み会は、時間を割いてでもいきたい。
「お酒は少量でもリスクがある」と知ってもなお、お酒をやめない理由は上記の3点がリスク以上に魅力的だから。
とはいえ、飲み方は以前と大きく変わった。
「飲酒寿命」を延ばすためにやっていること
大学に通っていることもあるが、家飲みは基本的にしない。
(おいしいアテがある時は例外)
お酒を飲むのは外食時のみで、それも週2回程度。
特に約束がなければ、まるまる10日間飲まないなんてこともある。
ガマンをしているのではなく、食後に勉強するようになり、必然的にこうなった。
これが私にとって、すごく心地いい。
お酒に支配されるのではなく、「自分でお酒をコントロールできている」という感覚が自尊心をかきたててくれるからだ。
私はこのスタイルを「操酒」(そうしゅ)と呼んでいる。
お酒のリスクを知った上で、飲み方や量を自分でコントロールする。
これができれば、何も好きなお酒を止める必要はない。
止めるほうがよっぽどストレスになるし、ストレスのほうがお酒よりもよっぽどカラダに悪い。
「お酒と健康」をテーマに執筆するようになり8年。
「お酒を悪者にするな」とお叱りのメールをいただくこともあるが、そんな短絡的に考えないで欲しい。
とことん悪者にするなら、とうに断酒している。
私はこの先もお酒を止めるつもりは一切ない。
(病気になったら一考するけど)
お酒に支配されることなく、一生健康で飲み続けるために、上手につきあっていく。