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新人配車マンへ贈る配車の教科書②

はじめに

こんにちは、物流会社で配車担当をしているたろーです。1回目の「新人配車マンへ贈る配車の教科書」がそこそこ好評だったので、サポートは全然無かったですがモチベーションが湧いたので2回目を執筆しようと思い立ちました(笑)

というわけで、今回も新人配車マンに贈る配車の教科書の続編を書いていきたいと思います。言うまでもなく、中堅・ベテラン配車マンには退屈な内容となりますのでご容赦ください。

また、最後におまけとして私が昔使っていた受注表と配車表を少し改変して(身バレ防止のため)載っけておきたいと思います。一応、ここだけは有料設定にしてますので、もし興味がある方はよろしくお願いします。本編は全て無料で読めますので、あくまでおまけ程度と思ってください。大したものじゃ無いので…。

配車するのに必要なこと

前回の記事にも書きましたが、まず基本に立ち返りまして、配車マンが配車という仕事をするために必要なものはなんだったでしょうか?

そう、荷物ですよね。

配車マンの仕事は、運ぶ荷物と運ぶ車をマッチングさせることでしたね。ですので、車がいなければ仕事はできないし、荷物が無くても仕事ができません。

これは運送会社の配車マンであっても、物流会社の配車マンであっても、水屋の配車マンであっても同じことです。もし私のTwitterを見ている人であれば、私や周りの配車マンたちが荷物がないよーと口々に言っているのを見ていたかと思います。これは車はあるけど荷物が無い状態ということですね。こういう状態だと、我々配車マンは仕事が出来ないということです。

つまり、配車マンの仕事というのは外部環境に大きく左右される仕事であるということですね。

仕事はどうやって取ってくるの?

前回の記事で、新人配車マンがすることを書きましたけど、仕事の内容についてもう少し突っ込んで説明します。

配車マンがまず最初に朝来てから確認することは、自分の手持ちの武器です。状況把握とも言います。未配車の車は何台残っているのか?未手配の仕事はいくつあるのか?これがカードゲームで言えば手持ちの札になるわけです。これを頼りに、仕事を進めて行くことになります。

ちなみに、未配車の車というのは仕事がついてない車の事であり、未手配の仕事というのは車がついてない仕事のことです。

未手配の仕事があるなら未配車の車につければいいじゃん?と思うかもしれませんが、そう簡単じゃ無いのが配車というお仕事。例えば、大阪から東京行きの仕事を持っていたとしても、空車地(荷物を降ろした後に空になる場所)が東京だったらどう頑張っても仕事をつけることができませんよね?ですから、未配車と未手配が混在することも十分ありえるということなんです。

話を戻します。配車マンはこのカードを片手に、朝から協力会社に電話をしたり、荷主に電話をしたりして、仕事や車を探すことになるわけです。

「東京に車二台いるけど、大阪行きの仕事何かない?」

「大阪から東京行きの荷物があるんだけど、大阪に車行ってない?」

こんな感じでやりとりをしていき、手持ちのカードが全部無くなったら配車終了という感じです。かなり大雑把に説明しましたがこんな感じで配車マンは仕事をしています。長距離だとこんな感じでわかりやすいんですが、地場配車はもう少しゴチャゴチャしててので難しいので、今回は割愛します。

配車の仕事はこうやって取っていきます。

新人配車マンが大変な理由

こうしてみると、配車の仕事ってそんなに難しくないように思いませんか?

新人として配車マンになったあなたは、先輩が横でバンバン仕事をこなしているのを見てあんな風に出来るようになるだろうか?と疑問に思ったかもしれませんが、この解説を見ればそのカラクリがなんとなく理解出来たのでは無いでしょうか?

つまり、先輩はカードをいっぱい持ってるんですよ。車も持ってるし、馴染みの仕事や先受けしてる仕事も持っている。だから仕事がバンバン出来る(ように見える)。一方の新人配車マンであるあなたには、カードが一枚もないはずです。なぜなら、最初の研修や仕事の一歩が「会社に電話をしまくれ」というものが多いからです。私もやらされましたけどね。

はっきり言って、そんな仕事全く意味ないですよ。私も、周りの先輩配車マンたちも、毎年毎年新人と呼ばれる人たちから電話をたくさんもらってますが、その時に覚えた人なんて皆無です。逆にゲンナリしていることの方が多いんです。

すでに電話での営業をやっている人だったら、雑に扱われるということを経験しているはず。これはですね、正直仕方ないんです。こっちも毎年新しい人から電話がかかってくる時期になったなーくらいにしか思ってないんですから。

だからこそ、前回の記事でお勧めした、先輩から仕事をもらうor先輩から車を借りる、というのをやって欲しいわけなんです。これはつまり、最初からレアカードを持っている状況と同じなんですよね。このカードが1枚でもあれば、興味を持ってもらえるフックを作れるんです。わかってもらえましたでしょうか?

カードゲームの例えわかりづらいですかね?(笑)

協力会社の得意分野を把握しよう

前回の記事で、自社の専門を理解しようと書きました。これは協力会社についても当てはまります。協力会社がいつも何を運んでいるのか?主要荷主は誰なのか?長距離やってるのか地場やってるのか?それを把握しないことには配車マンとして効率よく仕事をこなすことができません。

例えば、飲料の輸送を例にとりましょう。飲料の輸送は基本的に箱型の車両でしか運びません。というのも、飲料というのは段ボール製品がメインのため水濡れ厳禁だからです。

この飲料の長距離輸送の仕事をお願いするときに、平ボディの地場しかやってない協力会社に電話しても意味ないですよね?頭の中で飲料ができる運送会社はここだ、というのが理解できていないと仕事をお願いすることができない、ということです。

取扱の仕事においてはこの瞬発力が結構重要になってきます。というのも、一本の電話間違いで仕事を取り損ねることが大いにあるからです。会話で例をあげましょう。

荷主「すいません、AからBまで飲料の輸送をお願いしたいんですが」

あなた「わかりました、ちょっと車探してきます!」

あなた「もしもし?AからBまで飲料の輸送なんだけど車いる?」

協力会社A「いますよー、その仕事やります!」

あなた「じゃあ仕事とってきますね!」

あなた「もしもし、車いましたよー」

荷主「じゃあお願いします」

これがスムーズに取扱で仕事を取れた会話の一例です。もちろん、改善の余地はある荷物の取り方ですが、とりあえず新人ならこれで問題ないでしょう。しかし、次の例を見てください。

荷主「すいません、AからBまで飲料の輸送をお願いしたいんですが」

あなた「わかりました、ちょっと車探してきます!」

あなた「もしもし?AからBまで飲料の輸送なんだけど車いる?」

協力会社B「いやー、うちは飲料やってないんで」

あなた「あ、そうなんですね。すいません別で探します」

あなた「もしもし?AからBまで飲料の輸送なんだけど車いる?」

協力会社A「いますよー、その仕事やります!」

あなた「じゃあ仕事とってきますね!」

あなた「もしもし、車いましたよー」

荷主「ごめーん、ちょっと前に他で車でてきちゃった」

このように、一発で仕事を受けてくれる会社に電話をできていれば受けることができていた仕事ですが、選択を間違えたばっかりに仕事を取ることができなくなってしまうということが往々にあるのが配車という業務なのです。

頭の中で、この荷物はここ、この荷物はあの会社、というようにパッと出てきて電話を出来るようになれば、ようやく一人前の配車マンということになるでしょう。

そういった意味で言えば、電話帳の上から下まで電話をして、何の仕事をしているのかを聞きまくるというのならば悪くないのかもしれません。実際、新人で電話を掛けてくる配車マンというのは、

「何かお荷物情報ありませんか?」

という定番のワードを繰り出してくることしかせず、

「今は特にないですね」

という答えに対しては、

「わかりました、また何かありましたらお声かけてください」

という結びで終わらせてしまいます。何度も書きますが、こういうやりとりはベテランであればあるほど聞き飽きているのです。いちいちその子のことなど覚えていません。逆に言えば、ちょっとでも差別化できれば相手の印象に残ることになります。

相手のペースを見計らって雑談をしてみてください。忙しそうだなーと思ったら無理に雑談をする必要はありません。しかし、相手が聞く耳をもってくれそうだな、と思ったら積極的に雑談するべきです。

「さっきから電話しまくってるんですけど、全然荷物動いてないみたいで誰も取り合ってくれないんですよね…。御社はどのような荷物を探してるんですか?私、それをもとにちょっと探してきます!」

これくらい言ってくれれば、時間に余裕がある配車マンだったら答えてくれるはずです。むしろ、新しい配車マンで見込みのある奴というのは少ないので、こういうちゃんとした会話が出来る人ならばいい取引相手になるかもという打算が働き、喜んで教えてくれる配車マンも多いと思います。

仕事は創意工夫です。自分のカラーを生かした話術で、うまく相手の情報を引き出してみてください(くれぐれも忙しそうな配車マンや怖そうな配車マンにはやらないように笑)。

売上の管理をしよう

仕事をしたら、売上の管理をしなければなりません。小売や飲食店なら、売上伝票というのを逐次発行するでしょうが、配車の仕事というのは電話一本で済んでしまい、何もしなければそのまま過ぎ去ってしまう恐ろしい仕事です。

誰からどんな仕事を受けて誰にやってもらったか、これを自分で管理しておく必要があるんですね。まぁ大き会社になるとシステムが入ってるので、その場その場で打ち込んでいくんだと思いますが…。小さい運送会社だと手帳に書いておいたり、Excelに打ち込んでいたりと様々です。

どちらせよ、新人配車マンはとりあえず自分が受けた仕事をメモっておくことをお勧めします。システムが入っていても打ち込み忘れをしていたり、あとで振り返ってなんだっけ?ということも十分あるからです。ていうか、私もいまだにありますしね。

1ヶ月仕事をしたら、荷主ごと、協力会社ごとに請求と支払いをまとめて、請求書及び支払書を発行します。これを郵送して、配車マンの仕事は一応終わりって所でしょうか。この辺は会社によっては経理の方がやってると思いますが、一応どんなことやってるのかは知っておいた方がいいですね。問い合わせは配車マンにくることが多いので。

1日の売上、1ヶ月の売上、1年の売上、これを更新していくことであなたの配車マンとしての実力が上がっていくことになります。基本的には配車マンは営業というポジションなので、売上に対する拘りは持っていた方がいいと私は思っています。頑張りましょう。

配車表と運行指示書を作成しよう

ここからは、新人配車マンに任されるかどうかはちょっと微妙なところですが、将来必要になるので合わせて書いていきます。配車表と運行指示書を作成することについてです。

配車表というのは、どの車がどの行程で走るかというのが一目でわかる行程表のようなものです。基本的には配車表は自社のものしか作成しませんが、必要であれば傭車の分も作成します。これをする理由は、荷主や運送会社から問い合わせがあったときに、パッと確認するためです。

「今日の昼から〇〇で積み込んで××行ける車いない?」

みたいな問い合わせがあったとき、配車表を見ればどの車が空きそうかがわかりますよね?

「〇〇から××の仕事なんだけど、まだ来てないみたいなんだよね。どこにいる?」

こんな問い合わせが来たときも、配車表を見れば誰が走ってて前後にどんな行程をやってるかがパッと答えられます。

おそらく、この配車表は先輩配車マンが作っているはずですので、新人であるあなたがやることはないと思います。また、配車表を受注表だけで代用する配車マンもいるので、配車表は必ずしも作らなければならないものでもありません。この辺はお好みという感じですね。

一方の運行指示書は2泊3日以上の運行をさせる場合は必ず作成することが義務付けられています。運行指示書に必要な記載は以下の通りです。

1、運行の開始及び終了の地点及び日時
2、乗務員の氏名
3、運行の経路と主な経由地における発車、到着の日時
4、運行の際に注意を要する箇所の位置
5、運行の途中で乗務員に休憩を与える場合は、休憩場所(地点)と休憩時間
6、乗務員の運転または業務の交代がある場合は、交代する地点
7、その他運行の安全を確保するために必要な事項

ということなのですが、すいません私はあまり長距離で自社便を走らせたことがないので、この辺り詳しくありません…。地場だと運行指示書がいらないので、楽ちんなんですが長距離だと必須な業務となります。義務ですからね。

すいません、これ以上詳しいことが説明出来ないので、運行指示書については他の文献を参考にしてみてください。

運行管理者試験を受けよう

最後になりますが、運行管理者試験は必ず受けましょうというお話。

一応専任の運行管理車が他にいる場合、規模にもよりますがあなたがすぐさま運行管理の資格を取らなければならないというわけではありません。自社車両が29台までであれば、専任の運行管理者は1人いればOKです。

ただし、それは法律上のお話です。運行管理の資格というのは、配車マンをやっていく場合必ず必要になる知識が詰まっています。乗務員の1日の拘束時間は何時間なのかあなたにわかりますか?また上記の運行指示書のルールなども試験に出題されます。

運行管理の試験に受かるにはそういう知識が必要になってきます。使いようによっては武器にもなりますので、是非試験にチャレンジしていただきたいですね。

試験を受けるのには受験資格があります。会社によってはすぐに試験を受けられない可能性もあるので、詳しくは運行管理車試験のHPを覗いてみてください。

調べてみればわかると思いますが、運行管理者の試験は合格率がおおよそ20%台から30%台となっています。昔は50%くらいだったらしいので、簡単だったようですが昨今のトラックの重大事故が多発していることを鑑みて、難易度が若干あがっているようです。

私は2015年にとったのですが、そのときに合格率が22%くらいだったようです。受験した8割が落ちるということですが…、正直そこまで難しくはありません。ではなぜこんなに合格率が低いのかというと、会社から無理やり取りに行くように言われて来ている受験生が大半だからなのだと思います。

しっかりとテキストを読んだ後、過去問を解きまくれば大体同じような内容の問題が出て来ますので(法律だから同じ内容になるのは当たり前)、しっかりと対策をしていれば恐れることはありません。

まぁ、私も最初の受験で何も勉強せずに落ちた口なので、あまり大きいことは言えませんが、しっかりと過去問を勉強して受験に挑んでみてください。

まとめ

この記事で書きたかったことは、仕事をいかにとってくるか?仕事を取るにはどうしたらいいか?どう考えたらいいか?という部分です。もちろん売り上げ管理も大事ですが、とりあえず仕事ができなければ売り上げも何もないですからね。

配車表や運行指示書、運行管理者試験については、こういうこともあるんだな、という認識ができればとりあえずOKだと思います。おいおい覚えていく部分なので、そういえばこんなこと書いてあったなーくらいに思い出してくれれば幸いです。

では、また次の記事でお会いしましょう〜。

一応、これより先はおまけ記事なので有料となります。はっきり言ってあまり読む価値はないので、興味がある方だけご覧ください(笑)

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