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エモ、ポストロック、マスロックの違いについて
エモ、ポストロック、マスロックの違いってよくわからなくないですか?
自分なりに調べたのでまとめてみようと思います。
1.歴史
エモ
エモは1980年代にワシントンD.Cのハードコアパンクシーンから派生したジャンルです。
スケートボード専門誌THRASHER MAGAZINEがD.C.のハードコアパンクをemo-coreと呼んだことが由来だそうです。
この時期の中心となったバンドがMiner thread、Fugazi、Rites of Spring、Embranceなどになります。
ここがエモのルーツとなります。
そこからインディーロック、オルタナティブロック、グランジ、パンクを取り込んだエモが出てきます。
1990年代以降にJimmy Eat World、Weezer、The Get Up Kids、New Found Gloryがビルボードにランクインしたりと商業的に成功していきます。
しかし、2010年くらいにはこの商業的なエモは衰退します。
ここら辺の時期にSnowing、algernon cadwalladerなどのMidwest Emoに影響を受けたエモバンドが出てきました。
ここら辺以降のバンドがエモリバイバルと呼ばれています。
エモリバイバルはキラキラしたサウンドやフレーズが多くtwinkle emoなどとも呼ばれたりします。
そして2010年代後半になるとHotMulliganやOrigamiAngelなどのバンドがでてきてエモリバイバルからさらに発展しようとしています。
ポストロック
ポストロックとは1994年にMojoという雑誌に書かれたレビューが語源といわれています。
HR/HM、グランジ、ポストハードコアなどの1990年頃以前のロックと異なるコード、リフやテクスチャーに重きを置いたサウンドなどが用いられた音楽を指します。
アンビエント、マスロック、エレクトロニカ、ジャズ、クラウトロック、ミニマルクラシック、IDMなどに大きな影響を受けています。
音楽的な起源として1960年代後半にアメリカのグループ、The Velvet Undergroundのドロノロジーとよばれるドローンサウンドを用いた音楽から大きな影響を受けています。
1990年代初頭になるとslint、Talk Talkなどバンドが出てきました。
ここら辺を起点にポストロックシーンが形成されていきます。
1990年後半になるとGod Speed You!やTortoiseがでてきます。
Tortoiseの「TNT」というアルバム以降ポストロックという音楽が世界的に認知されるようになりました。
2000年代にはいるとポストロックという言葉は使われなくなっていきます。
ポストロックという幅広く、抽象的なジャンル故に音楽ジャンルとしてポストロックという言葉が使いにくくなりました。
しかし、この頃はRadio Head、Mogwai、Sigur Rósなどが出てきて人気自体はありました。
マスロック
変拍子が用いられた複雑かつ変則的なロックサウンドのジャンルを指します。
ルーツとしてはKing Crimson、Rushなどのプログレバンド、Steve Reichなどのミニマルミュージックがあります。
マスロックという言葉はもともとは俗称であったが音楽ジャンルを定義する言葉として用いられるようになりました。
1990年頃のマスロックはDon Caballero、Hellaのようにインストゥルメンタルバンドが多かったそうです。
ボーカル有のバンドもいましたが多くは楽器的にもちいられていました。
2000年代に入りエモの影響を受けAmerican FootballやTiny Moving Partsの初期、TTNGなどのバンドがでてきました。
2.相違点
ここからは自分の考えです。
エモのルーツはハードコアパンクの熱量だと思います。
個人的には音楽的な面よりスタイルといったほうがしっくりきます。
現代の日本で定義されているエモは2000年代以降の綺麗なアルペジオを用いたバンドやサビでぶち上がる曲を指している気がします。
ポストロックはドローンや電子音など取り込んだ実験的音楽をロックに取り込んだことがルーツだと思います。
そういう意味ではこちらも思想や発想に重きが置かれているのかなと思います。
既存のサウンドやビートから外れ続けた結果広義化しすぎたのかもしれませんね。
現代の日本で言われるポストロックは既存と違うコードというところに重きが置かれてるのかなと考えてます。
マスロックのルーツはプログレにあると思います。
音楽評論家が提唱したわけではなく元々は俗称であったため変拍子をもちいたロックバンドという漠然とした定義なのではないかと。
現代の日本で言われるマスロックは2010年代のエモリバイバルの影響を受けたバンドだと思われます。
3.まとめ
ここら辺のジャンルはお互い影響を受けあっているので結局曖昧な気がします。
けど、自分の考えとしてはルーツを知っておくとそのジャンルの聞き方が変わるし先人たちがどのようなアイデアで新たなジャンルやスタイルを生み出していったか分かる気がします。
また、パンクやストレートエッジのような思想から生まれたジャンルもあるのでここら辺に関してはその思想や概念を理解することで初めてそれらのジャンルを名乗ることができるのではないか?と思ってます。
逆にその思想や精神があれば周知に他ジャンルと定義されていてもそれらのジャンルを名乗れると思います。
なぜこの記事を書こうと思ったかといいますと、流行りに便乗してエモをよく知らないフェイクエモバンドマン達が自分たちはエモバンドです!っていうのが何となく気に食わなかったからです。数年前からジャパニーズエモのシーンが盛り上がっており、現行のバンドが好きだというツイートをよく目にするようになりました。それ自体は全然良いですし、自分も現行のエモバンドも大好きです。
ただ、自分たちはエモバンドです!って名乗るなら元々あった思想や概念は知っといてほしいなと思います。逆にそれさえ知っていればあなたはトゥルーエモです。
自分もエモバンドをやっており、ライブの際に同じシーンの方と話すと、この人たちは本当に音楽やエモが好きなことやリスペクトしているのだなと感じます。
そのため、この様なサッドエモ警察が生まれました。
また、エモはオマージュに寛容な文化です。
それが成り立つのは先代のエモバンドの人たちもさらに先代のエモバンドを多大にリスペクトしており、自分たちも大好きなバンドがやってるような音楽がしたいという気持ちが強くあるから許されているのだと思ってます。
4.最後に
今回はザックリとした感じで書きました。
いつかエモについてもっと掘り下げたいです。
新たに発見した事や間違いがあれば加筆修正しようと思います
トゥルーエモフレンズが増えるのはめっちゃうれしいので色々なエモをディグって欲しいです。
特にytkさん(@yutadaa)のやってるemotive sunday(@emotive sunday)やskream!のcinema staffの辻さんが書いてる「萌えもemo」などを見てみると参考になると思います。
また、Twitterのトゥルーエモフレンズはマジで音楽詳しいのでおすすめのエモ教えて!ってツイートすると自分の知らないバチくそかっこよい曲をたくさん教えてくれます。
オススメのエモ
アメリカのアイオワ州の3ピースバンド、stars hollowです。
キラキラしたアルペジオ、トゥウィンクルなリフ、skramz系のボーカル、最高です。
2020年の来日ツアー行きました。
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