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バンドック ロータス使用レポート。


バンドック ロータスはピコグリルやTABIではなく、ペトロマックスのファイアーボウル、あるいはコールマンのファイアーディスクの系譜にある。
ごく薄い火床、それを支える必要最低限のフレーム、という点では間違いなくTABIやピコグリルと同じなのだが、そこで熾す焚火は間違いなくファイアーディスクと同じスタイルだ。
焚火台は焚火をするためにある。
それらをグループに分けるとしたら、まずはその焚火のやり方を優先すべきだろう。
バンドック ロータスは折り畳みのできるファイアーディスクと考えていただきたい。
それは自力で焚火ができる人の焚火台だ。

焚火台の機能を考えてみる。

僕がキャンプを始めたころには、「焚火台」という商品は無かった。
スノーピークがその名も「焚火台」を出したのは1996年。ではそれ以前には焚火台を使う人がいなかったのか、というと、じつは「BBQグリル」を焚火台として使用していたのである。
僕が初めて「焚火台」として買ったのは、たぶんロゴスだったと思うのだけど、「折りたたみ式のBBQグリル」として売られていたものだ。
当時は雑誌「ビーパル」が直火をやめようキャンペーンをやってはいたが(「ローインパクト」と言っていたなあ)、明確にそれを禁止してるキャンプ場はそんなに多くなく、焚火と言えば石を積んでかまどを組んで、ということを普通にやっていたし、それを批判する声はそんなに多く無かった。
芝生があったり、テント区画が立て込んだりしていて、炊事場のかまど以外では焚火禁止というキャンプ場もあったが、そういうところでは焚火そのものが禁止で、「直火か焚火台か」という区分けはあまりなされていなかった。
キャンプ地を探すときに確認するのは「焚火ができるかできないか」であり、禁止のキャンプ場では煮炊きはすべてバーナーを使う、ということが普通だった。
まあつまりは「焚火台」が必須な時代では無かったのだ。
僕はどちらかと言うとキャンプ場をあまり利用しないツーリングキャンプをしていたので、なおさらその時期に「焚火台」を買う必然性はあまりなかった。商品としてもあまり出回っていなかったし。
では僕がなぜ「焚火台」を買ったかというと、焚火をするコンディションを安定させたかったからだ。
僕のツーリングキャンプの主な宿泊地は河原で、地面は石だったり土だったり砂だったりして、直火で焚火をするにはあまりにも毎回の条件が変わりすぎる。さらにそれ以前の天候にも大きく影響されるので、焚火をするための現地での準備が時間的にも仕事量としても大変だった。
それでも、一日中走ったあと、夜に焚火をするのとしないのではやはり満足感というか、充実感がまったく違うので、ツーキャンでは焚火がしたかったのです。
折り畳みのできるBBQグリルを焚火台として使用すれば、いつでもドライである程度の深さのある火床を毎回用意できる、と考えた僕は、バイクの限られた積載量の中に「焚火台」を加えたわけだ。

焚火台の機能とは「焚火をする環境を持ち歩く」だと、僕は考える。地面に与える影響が少ないのは、「焚火をする環境をパッケージングした副産物」でしかない。
ピコグリルやTABIの環境はドライな上に通気性まで確保していて、普通に直火をやるよりも着火も維持も楽にキャンプができるが、ファイアーディスク系はあくまでも「ベストな直火」でしかない。
だから、炎を出したければ薪の積み方から考える必要があるし、時には火吹き棒を使わなければ消えてしまう可能性すらある。
だがそれが良い。
バンドックロータスは放っておいても勝手に燃え続けてくれる焚火台ではなく、時には直火ができるスキルを要求してくる。だかそれは、ロータスで焚火ができれば直火にも応用が効くスキルが身につくということのだ。

まとめ。

バンドックロータスには「ロータス+」という新機種がある。(2023年5月現在)
これは上部サブフレームの構造を改良し、薪の継ぎ足しがやりやすくなっていたり、網やゴトクが改良されていて、今から買うのなら間違いなく「ロータス+」だろう。
基本的な構造は変わっていないので、焚火の難易度は変わらないが、それはバンドックのロータスの価値の評価がブレていないという証であると思う。

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